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人生を楽しくする無駄との付き合い方

いそがしい毎日を過ごせば過ごすほど、無駄なことを敬遠してしまいがち。でも人生の楽しみは、無駄に見えるものの中にこそ見いだせるもの。今回は無駄と思えることから人生の楽しみを見出す考え方をお話しします。

人生を楽しくする無駄との付き合い方

仕事には効率を、人生には無駄を

仕事では責任のあるポジションを任され、多くの人と関わるなか、納期を守るべくさまざまな調整をこなす。ときには叱咤し、ときには激励し、なんとか納期通りに間に合って、ほっと一息。

もしくは、ひとり黙々と作業に没頭し、多少の息継ぎはしつつも、一気に仕事を片付ける。最後の納品の報告をしたあと、椅子に体を投げ出して、やっと肩の荷が下りる。

確かに仕事では無駄を省き、効率よく進めることは大切ですが、こと人生においては、無駄を恐れると、彩りや感動が褪せていってしまいます。

しかし、あなたが憧れるような素敵な人生を送っている人、人生を自分らしく楽しんで生きている人は、むしろ人生の「無駄」を愛おしんでいるとも言えます。

それは、一見すると無駄に見えるようなことでも、そこから人生の楽しみを見出すことができているから。そして、その積み重ねが、自分の人生をさらに輝かせることを知っているからです。

ゆとりが大事。何事もね。

遠回りしてでも景色を見る

以前お世話になった、ヨーロッパで活躍している、とある日本人の方との実際にあったお話です。

海辺の街で1泊2日で研修旅行を行ったとき、早朝に太平洋から昇る日の出を見ようと、皆で散歩に出たことがあります。

1日目はマリーナ沿いの美しい道を歩いて浜辺にたどり着き、皆で美しい朝日を見ることができました。

しかし、2日目の朝は、皆が自然と「こちらを通れば早く浜辺に着く道」を歩こうと、まっすぐ浜辺を目指していました。

そのとき、主催者の方が「そっちじゃない、遠回りでもマリーナ沿いを歩こう」と、いったん全員で引き返してまで、美しいマリーナ沿いの道を歩きました。

「ゴールに早くたどり着くことが人生の愉しみじゃない。プロセス自体が人生で、一見無駄に見えるようなことでも、それを愉しんでこそ本当に豊かと言えるんだよ」と、そのとき彼は教えてくれました。

遠回りして見た景色は、確かに美しかった。

生き方の基本形が目的達成になっている

私たちは常に、「目的に向かってその達成を目指す」という生き方をしています。これはもう、古く縄文や弥生の時代から連綿と続いてきた私たちの基本なので、それ自体がどうこうというわけではありません。

しかし、現代のように多くの人が何かに追われるような日々を過ごすようになってくると、目標達成が必要以上に重要視され、個人がおろそかになってしまうこともあります。

関わる人の数も増え、責任が広範囲に渡ることも多くなると、自分のペースで何かをするよりも、全体のペースに合わせて自分を動かすことも少なくないでしょう。

そうすると、自分がリラックスするとか、ちょっと心を安らぐための時間とか、そういうものが後回しになり、全体のことが終わったときには、思った以上にぐったりしてしまう。そして、英気を養う時間もないまま、次の大きな流れにまた身を投じることも。

無駄と思えるものの中にこそ、豊かさを見出せる

旅の目的は、旅行の行程を消化することではなく、その都度起こる出来事や、その都度体験する感動です。そしてそれは、毎日の効率的な生活の中では味わうことができない、非日常な経験や出来事でこそ、味わうことができるものです。

また、趣味と言われて思いつくような多くのことも、実際それは効率的な生活に必要かと言うと、そうでもありません。

私たちがよく飲むお茶も、ただ飲むだけなら、熱いお湯といいお茶の葉があればそれで十分です。しかし、日本には茶道があり、お茶を飲むための多くの作法や教養を十分に身につけて、1杯のお茶をいただくところに愉しみがあります。

目標達成と、そのために無駄を省くという生き方ではなく、プロセス自体に意味と価値を見出し、プロセスそのものも十分に味わう生き方にこそ、人生の豊かさを見出すことができるのです。

1杯のお茶に、すべてを込めて。

無駄を恐れず、プロセスを愉しもう

例えば、いつもなら飲まないようなお茶を買ってみる。いつもなら行かないようなお店でごはんを食べてみる。いつもなら買わないような色のアウターを買ってみる。

いつもと違うことをすると、もしかしたら失敗することもあるかもしれません。でも、失敗したとしても、失うものはそれほど多くありません。

確かにコート選びを失敗したら、そのコート代金は失ったように感じるかもしれませんが、ネットオークションやフリマに出せばいくらかは回収できるかもしれないし、もしかしたらフリマが縁で新しい出会いや新しい世界が広がるかもしれません。

無駄を恐れるということは、失敗を恐れてクリエイティビティを失うことでもあります。でも、例え失敗しても、そこから面白いことを発見できたり、楽しい出来事に変えることができたら、それはもう失敗ではないのです。

無駄を恐れず、起こった結果を楽しみ、笑う。それだけで、毎日はもっと明るく、楽しくなります。

安 憲二郎

20年で22回の転職、40の職種を経験。現在は【ことばライフデザイナー】として「人生誰でも右肩上がり」になるアドバイスをAmebloをメインに提供している。また、クリエイティブな才能を活かし、ボーカリスト、映像作家、コミュニ...

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