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日本では、複数の仕事を持つことに、あまりいいイメージがないようで、「企業が副業解禁に踏み切った」というニュースが飛び交っても、「お金がない人が仕事を掛け持ちするんでしょ」と、思われてしまいがち。今の生活に困っていない人は、「貧乏な人は大変だな」と他人事で済ませているのかもしれません。しかし、これは他人事でもなんでもなくて、誰もが考えておかなければならないこと。
ひとつの仕事に依存することがどれだけ恐ろしいことか、私の仕事でたとえてみましょう。
私のサロンは六本木にあります。もし今東京で震災が起きたら、サロンは確実に被災して、私が生きていたとしても、建物そのものが倒壊するなど、到底営業ができる状態ではないでしょう。たとえ、サロンが営業できる状態に復旧できたとしても、サロンにいらっしゃるお客様も東京近郊の方。同じく被災しているので、美容鍼を受けにくるわけがありません。
普段の日常が戻ったとしても、すぐに美容にお金をかけるようになるかというと、そんなことはないはず。事業が再開できたとしても、売上が立つ見込みがなく、収入はゼロになります。いつになったら収入が得られるのか。私が美容鍼しかできない人間だった場合、この時点で私の人生は詰みます。
もっともそうなった場合は、別の土地の美容鍼のサロンで働くなど、何らかの方法をとることになります。それでも、どこに行けばいいのか、働き口はすぐに見つかるのかなど、問題は山積みです。
ここでもし、美容鍼以外のなんらかの「ナリワイ」、たとえば場所を問わずできる仕事を持っていたとしたら――。それが少額の仕事であったとしても、収入はゼロにはならないため、気持ちに余裕が生まれます。収入が0と1とでは大違いです。
しかも、
・メインの仕事に復帰できるまでのつなぎにする
・いっそこちらの仕事をメインにする
・「ナリワイ」を作った経験を生かして、新しい収入源を模索する
など、考えられる可能性もかなり増えます。
緊急事態の際に、
・どの事業を優先するか考えておく
・代替案を確保する
・資源を分散させる
など、企業のBCP(事業継続計画)で考えることと同じですね。
企業だと、「万が一に備えていないなんて、何を考えているんだ!」と叱責されるのに、これが個人になると、「ひとつのことを続けること・集中することが良し」とされてしまうことに、むしろ疑問を感じるのは私だけでしょうか?
個人的には、複数の仕事に優劣をつけておらず、セカンドビジネス・サードビジネスと考えていて、その都度収入の割合を変えたっていい、と思っています。
「私はこれしかできないので、こういうときこそ国が私たちを守ってよ」と、困ったときだけ都合よく、自分の人生を他人任せにするのは、怖いことだし、美しくない。
ひとつのジャンルにこだわらず、いろいろなスキルや経験値を少しでも増やしておけば、
・その時々で力を入れる仕事を変えてみる
・趣味の延長線上でお小遣いを稼ぐ
・思いのほかナリワイがうまくいったから、そっちをメインにしてしまう
そう考えると、起業や独立をしなくったって、自由な働き方ってできそうですね。そういう生き方も楽しそうじゃないですか?
2017年11月14日 公開
2020年5月12日 更新