自分の人生は自分でデザインする - パラレルライフワークスタイルとは
新しい生き方、働き方「パラレルライフワーク」を実践する中里 彩(なかざと あや)さんによる、生き方・働き方をテーマにした連載がスタートします。第1回目は自己紹介とあわせて、ご自身が考えるパラレルライフワークについてお伝えします。
はじめまして。中里 彩(なかざと あや)と申します。今月から「DRESS」にてコラムを連載させていただくことになりました。皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。第1回目は自己紹介と合わせて、私が実践するパラレルライフワークについてお伝えします。
■一度もリクルートスーツを着ることなく社会に飛び出した
私は“人々がもつモノ・コトの価値をリデザインしたい”という想いから、主にファッションとまちづくりの分野で幅広い活動をしているパラレルワーカーです。現在は生まれ育った埼玉・飯能と東京の2拠点をベースに、ちょっと異色な“ツープレイス”のライフワークスタイルを送っています。
社会に出る前は大学でエジプト考古学を専攻するかたわら、熟練の職人の元でメンズスーツのテーラリング技術を学んでいました。実はずっとエジプト考古学者になりたかったのですが、現地の治安悪化の問題に直面し、悔しさを残しながらその道を諦めました。
その後はディープでマニアックなメンズファッション(とくにオーダーメイド)の世界にどっぷりとハマり、一度も就職せずにそのまま起業。独自の感性と発想力をいかしながら、さまざまなプロジェクトを進めています。2〜3年後にはレディースのオーダースーツブランドを立ち上げる予定です。
ファッションの仕事と並行して進めているまちづくりの分野では、ふるさとの埼玉・飯能のローカルWebメディア事業を立ち上げています(9月にサイトがプレオープン)。
■肩書きにとらわれず自由でクリエイティブに働いて、パラレルライフを実現
名刺をお渡しして自己紹介をするときに、お相手から必ず聞かれるのが、「中里さんはどんなお仕事をなさっているんですか?」というひと言。実は、名刺には意図的に肩書きを入れないようにしています。なぜなら、“肩書き”というカテゴリーを取り払うことで、自分のチャレンジの幅を広げていきたいと考えているから。
幸いにもありがたいことに、現在の仕事はファッションスタイリングやコラム執筆、Web制作、Webメディア運営、商品企画、講演会のパネリストなど多岐に渡ります。はじめから「自分にはできない」と決めつけず、“フレキシブルにチャレンジしてみる!”というスタンスで仕事を受けようと心がけているからか、自然とさまざまな内容のものが舞い込むのかもしれません。
正直に申し上げれば、ビジネスをする上で肩書きがあるほうが楽です。たとえば、「Webデザイナー」と名乗れば、当然ながらWebページ制作の案件を任せてもらいやすくなります。でも、周囲から「この人はWebデザイナー」という認識だけを持たれていると、ファッションスタイリングやコラム執筆、講演会のパネリストの依頼は入ってきません。
肩書きがない状態でお仕事をいただくためには、「自分には何ができるのか、これからどんなことにチャレンジしたいのか」を周囲にしっかりと伝えていくことが大切です。ブログやSNSなど、Web上での発信手段は自分を認知してもらうための強力なサポーターになってくれます。
また、独自のアイディアや企画を持っているときには、この人は業界のキーパーソンだなという方に「こんなアイディアがあるんですけど、どう思いますか?」と話を持ちかけることも心がけています。何かの機会に「そういえば、こんなことを話していた人がいたな」と思い出してくださって、仕事のご連絡をいただけたこともありました。少しずつでも”自分の価値”の発信を積み重ねていくと、いつのまにかそれが仕事につながるのです。
このように自分の多様性を信じてさまざまなことにチャレンジしながら自身の価値を高めていけたら、こんなに幸せなことはありませんね。数十年間ひとつの職業に身を置きながら専門性を高めるよりも、複数のことを同時に進めながらいろいろなことを経験してみたいという想いは日に日に強くなるばかりです。知的好奇心がそそられる未知の世界がまだたくさん広がっていると思うと、ここでぐずぐず立ち止まってはいられません。