「ステロイド」は総称。ドーピング問題のステロイドとは違う【赤池智子】

「ステロイド」は総称。ドーピング問題のステロイドとは違う【赤池智子】

「ステロイド」を怖いと感じる方は少なくないよう。でも、ステロイドに関して、正しく理解できていますか? ステロイドに関して恐怖を感じさせる文章を載せたサイトが多い中、医学的な知識をもとに、ステロイドの本当のところを赤池智子医師が解説します。


ステロイドは怖くない【赤池智子】

https://p-dress.jp/articles/4410

「ステロイド」と聞くと、あまりプラスのイメージを持たない方もいるのでは。でも、ステロイドに関して、正しい知識を持っていますか? ステロイドに関して恐怖を感じさせる文章を載せたサイトが多い中、医学的な知識をもとに、メリットやリスクをお伝えします。

今回からは早速、「ステロイドとは一体なんなのか」という核心に迫ります。ステロイドとは、ステロイド核という構造を持った物質の総称です。

構造式と聞くと難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、下の図を見てみてください。蜂の巣の一部のような、子供が遊ぶブロックを組み合わせたような六角形と五角形が組み合わさった構造を持つ物質のことです。

この基本の構造に、側鎖(そくさ)と呼ばれるさまざまな飾りがつくことでバリエーションが生まれ、いろいろな物質が数多くできます。

■ステロイド=「ステロイド核を持つ物質を総称した、幅広い概念」のこと

例えば、皆さんもよくご存知のコレステロール。コレステロールもステロイドなのですよ。次の図で示すようにステロイド核と同じ構造を持っているのがわかりますか。

胆汁酸もステロイド核を持つ物質のひとつです。これは食事中に含まれる脂肪を吸収しやくするため消化の際に働きます。

その他には男性ホルモンであるテストステロン、女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンなどの性腺ホルモン、今回のテーマである副腎皮質ホルモンがあります。

これらはステロイド核を有するホルモンなので、あわせてステロイドホルモンと呼ばれます。このようにステロイドホルモンは、私たちの体の中で作られているものなのです。

そもそもホルモンとは、血液中に分泌され、血液を介して遠く離れた臓器の細胞にある受容体に結合し、さまざまな働きをする伝達物質のことです。よく知れば知るほど、この仕組みは実によくできていて、賢く調整されています。

ホルモンはわたしたちの体を正常に働かせたり、生命を保つのに非常に重要な役割を果たします。そのため、あまりにたくさん分泌されすぎたり、逆に分泌が足りなかったりすると命に関わってきます。

そのために、ホルモンの分泌をする臓器をしっかりコントロールする臓器がさらに存在し、複雑な仕組みで非常に細かい範囲で分泌が調整されているのです。

ここまで説明してきたように、ステロイド自体は「ステロイド核を化学構造で持つ物質を総称した、非常に幅広い概念」でしかないということです。

■ステロイド=危険、という思い込みをなくして

私が常々思っていたことは、ネットで検索すると星の数ほど「怖い」「危険」などと書かれたサイトがあるにもかかわらず、このようにしっかり解説されたものはほとんどないということです。ステロイド=危険、と短絡的に述べられていることが多いです。

これは大きな問題です。今回のテーマであり、よく議論となるステロイドは、アトピーや喘息その他治療の際に広く使われる副腎皮質ステロイドホルモンのことです。これまでの説明で、コレステロールや胆汁酸などいろんな物質がステロイドにはあり、同じステロイドと呼ばれても、それぞれまったく違うものだとわかると思います。

さらに、世の中で誤解されがちな「ドーピング」などで問題となっているステロイドも、正確には副腎皮質ステロイドホルモンとは違うものです。
これは今回覚えていただきたいことです。

ドーピングなどで問題となるステロイドは、アスリートの方が筋肉を増強させようと、蛋白同化作用(同化と言う。わかりやすく言うと、蛋白を作るというイメージです)がある性腺ホルモン、とくに男性ホルモンの作用を持つ薬物を摂取することによります。

これらの違いを理解していただいた上で、次回からは、アトピーや喘息その他治療として幅広く使われよく議論されている「ステロイド」である「副腎皮質ステロイドホルモン」について説明していきます。

※図は筆者作成

この記事のライター

医師、内科/皮膚科医。内科認定医。2006年準ミス日本。 患者の視点に立った医療を行うことを何よりも大切にし、論文執筆、学会発表と共に日常診療を第一に行っている。 2006年準ミス日本の経歴も生かし、女性ならではの視点か...

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