個性を輝かせるおしゃれ。美しく生きる人は自分の色を知っている。

個性を輝かせるおしゃれ。美しく生きる人は自分の色を知っている。

佇まいがおしゃれな人は、特別なアイテムを使いこなしているというより、自分のカラーをうまく着こなしているような気がします。自分に似合う色をどうやって見つければよいのでしょう? ファッションの秋。自分を素敵に見せるカラーを知って、ワンランク上のおしゃれを楽しみたいものです。


すっかり秋らしくなりました。街中のファッションも次第に秋色に染まっていきます。今年はパープルを着ている人が多い気がします。

もともとワインレッドは大好きな色。それがこの秋のトレンドカラーなら早速手持ちの服に合わせてみようかな、と思ったものの、いざ挑戦してみると、色がきれいなだけにカラーコーディネートがうまくいきません。

インパクトのある色をおしゃれに着こなすってなかなか難しい。

■『クローゼットは3色でいい』

クローゼットは3色でいい
著者:杉山律子
発行:KADOKAWA
単行本:192ページ
発売日:2017/5/26
価格:1300円+税

[公式サイト]
http://www.kadokawa.co.jp/product/321701000489/

こんな本を見つけました。『クローゼットは3色でいい』。なかなか思い切ったタイトルです。著者は売れっ子パーソナルスタイリストの杉山律子さん。

本の帯には「手持ちの服を着まわせ、誰でもかっこいいコーデが組めるステップ」と書かれています。それができたら苦労しないと、半信半疑で読み始めたものの……。結論、たいへん参考になりました。

「おしゃれになるには順番があるのです」

これが冒頭の一文。

……着こなし方は、おしゃれに向き合った分だけ、「体得」していけるもの。基本を知らない人が上級者のマネをしていきなりトレンドファッションに身を包み、カッコよくアレンジしようとしても、「がんばってる感」が目立つだけ……と、文章が続きます。

うわあ、耳が痛い。

自分の体型を知り、基本の服を揃える

だったらどうすればいいの? という私の心の中の問いに、この本は明解な答えを与えてくれます。

まずは、自分の体型を知り、基本の服を揃えることが肝要だと著者は言います。著者の提唱する体型別着こなし術はとても具体的。

「下半身が細い人は、スキニーパンツで細い脚をアピールしすぎないよう注意」「首が長い人こそタートルではなくクルーネックを着るべき」という具合に。

特に胸にぐさりときたのは、「無理すれば入るからといって小さいサイズを選んではいけない」というアドバイス。

「ちょいゆる」つまり、「ちょっとだけゆるいサイズ感」にすることは、すべての体型の人に共通するスタイルアップのコツだと、著者は言います。

でも……ぴったりサイズのほうが痩せて見えないのかな?

自分のベースカラーを見つける

自分の体型と基本の服をしっかり押さえたところで、話はようやく自分に似合う色選びというテーマに進んでいきます。

「自分をセンスよく見せるベースカラーを3色選べば、クローゼットのなかはその3色でじゅうぶん。さらに、その1色は必ず白にするべし」というのが筆者の説。

白はコーディネートのアクセントになる万能カラーだから、必ず一カ所に白を使うのが、洗練されたファッションへの近道なのだとか。

でも……秋冬に白はどうかなあ?

ベースカラーの3色のうち1色が白ならば、あとの2色はどうすればよいかというと、まずは黒かネイビーのどちらかを選ぶというのが著者の提案。

多くの人は黒派とネイビー派に大きく分けられるとか。そして、残りの1色はグレー、ベージュ、トープ、カーキの4色から選ぶのだそうです。著者の提案はどこまでも明快です。

でも……そんな地味で平凡な色ばかりでいいの?

自分のおしゃれを身につけるための正攻法

ベースカラーを決めたら、まずは上下の色のトーンを合わせるコーディネートから始め、次にベースカラーのうちの2色を使ったワンツーコーデに進みます。

さらにプラスワンカラーとして、一色ずつ個性的な色や存在感のある小物を足していくというのが著者のアプローチ。

色の足し方、柄の取り入れ方、小物の色合わせ方などは、カラーチャートや写真を使ってわかりやすく解説されています。

必ず押さえておくポイントは、トップスでもアクセサリーでも靴でも、主張のある主役級のアイテムを取り入れるときは、それ以外のトーンを抑えること、だとか。

でも……それって面白味に欠けるのでは?

自分を知るクローゼットの整理法

本書の最後の章は、プロの整理収納アドバイザーでもある著者らしく、クローゼットの整理整頓法について触れています。

「クローゼットのなかを似合う色の服に厳選する」「アイテムごとにグラデーション収納する」「太って見える服はいますぐ手放す」など、など、著者の提案には迷いがありません。

でも……着たことのない色やデザインに挑戦してはいけないの?

■究極のおしゃれとはなにか

実は本書を読みながらずっと思っていました。「そこまで色やアイテムを絞り込んで、一皮むけたおしゃれ上級者になれるのかしら」と。

でも、改めて街ゆく人を眺めてみると、目を惹くおしゃれな人は著者の提案するコーディネート術に見事に当てはまっていることに気づきます。

ベージュのトップスに薄ブラウンのパンツで、大きめの白のバッグを肩にかけて颯爽と歩く社会人女性。全身グレーのグラデーションで、耳元に大きめの白パールのピアスをつけた上品なマダム。黒Tシャツと黒デニムに真っ白なスニーカーを履いている大学生。

どの人も、特別な色やデザインを着ているわけではないのに、なんとなく洗練されています。しかも、どこかに必ず白を取り入れている……。

■究極のおしゃれとは、「個性的になる」ことではなく「個性を輝かせる」こと

「おしゃれ」とは何かがなんとなくわかってきたところで、騙されたと思って、著者の言葉に従ってみることにしました。

まずは、クローゼットの整理から。実際にやってみると、自分のクローゼットには、黒、白、ベージュが圧倒的に多いことを発見。

自分のベースカラーは思いのほかあっさり決まってしまいました。手持ちの服を、色、アイテムごとに、スーツも上下ばらばらにして並べてみると、違う景色が見えてくるから不思議です。

色からコーディネートを考えるというアプローチは、実際にやってみると意外に失敗がなく、色のトーンを合わせて素材を変えたり、ワンピースに同系色のスーツのジャケットを合わせたりと、いままでにない発想で組み合わせを楽しむきっかけを与えてくれました。

人の意見には素直に耳を傾けてみるものです。

ちょうど衣替えの季節、良い本に出会いました。美しく生きている人は、自分のことが客観的に見えている人なんですね。

この記事のライター

早稲田大学卒業後、高校教師を経て翻訳家の道へ。主な訳書:『ファッション・アイコン・インタヴューズ』、『ヴィヴィアン・ウエストウッド自伝』、『ブルックリン・ストリート・スタイル:ファッションにルールなんていらない』、『メンズウ...

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