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知っておきたい、体外受精の基礎知識#1

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体外受精という不妊治療が一般的に知られるようになった昨今。不妊症に悩むカップルは6〜10組に1組と言われる今、体外受精を受けている方は珍しくありません。この体外受精という治療について、山中智哉医師が数回に渡って詳しく解説します。

知っておきたい、体外受精の基礎知識#1

不妊症のカップルの割合は、6~10組に1組といわれるように、不妊治療を受けられる方が増えてくるにつれて、「体外受精」という治療も、一般的に知られるようになりました。

記事を読まれている方の中にも、ご自身が体外受精を受けられていたり、ご友人や知人の中に治療を受けられたりしている方がいらっしゃるかもしれません。

今回から、数回に分けて、体外受精という治療についてお話ししていきます。

■体外受精のはじまり

私が小学生のころだったでしょうか。

「試験管ベビー」という言葉が世の話題に上り、まるでSF映画みたいな話だなと感じた記憶があります。

世界で初めて体外受精で生まれた方は、イギリスのルイーズ・ブラウンさんという女性で、1978年7月25日が誕生日で、現在39歳になります。日本で初めての体外受精での妊娠、出産は、その5年後の1983年でした。

私がその言葉を耳にしたのは、おそらくその頃だったのでしょう。

現在では、試験管ベビーという言葉を聞くことはほとんどありません。当時はまだまだ体外受精が特殊な治療であり、未知のことが多かったため、それを揶揄するような言い方だったのかもしれません。

あるいは、体外受精は英語で「IVF」と略して言うこともあります。IVFは、「in vitro fertilization」の頭文字を取った略語で、「in vitro」には「試験管の中」、「fertilization」には「受精」という意味があります。

体外受精が初めて成功した当時、生まれてきた赤ちゃんは、大きな驚きとともに世の中に迎えられ、そしてその治療が一般的となり、体外受精で生まれる赤ちゃんが約20人にひとりとなった現在では、試験管ベビーという言葉も過去のものとなりました。
 

■体外受精と顕微授精の違い

体外受精と似た言葉に顕微授精という言葉があります。

顕微授精は「ひとつの精子を卵子の中に注入する方法」です。体外受精は「卵子のまわりに一定の濃度の精子を振りかける方法」となりますが、広い意味では、顕微授精も含めて治療全体を「体外受精」ということもあります。

顕微授精による初めての妊娠、出産は1992年で、体外受精の成功から14年後のことでした。

もともと、体外受精は、女性の不妊の原因が卵管閉塞のような卵管因子に対して行われていました。しかし、乏精子症や無精子症といった、男性に不妊の原因がある場合には、卵子の周りに一定濃度の精子を振りかけることができないため、受精卵を得ることが困難でした。

顕微授精はひとつの良好な精子があれば受精卵を得ることができますが、卵子に細い針で穴をあける必要があるため、卵子にいくらかのダメージを与える可能性があります。そのダメージを最小限に抑え、良好な受精卵を得るための技術が現在では確立されています。

体外受精あるいは顕微授精で生まれた方のその後の経過については、現在まだ追跡調査中ということになりますが、今わかっている範囲では、自然妊娠で生まれた方と明らかな差はないとされています。

ただし、男性因子で乏精子症や無精子症の原因が遺伝因子による場合には、顕微授精で生まれてきた子供にその因子が引き継がれる可能性があります。先に挙げた体外受精で生まれたルイーズ・ブラウンさんは、自然妊娠で出産をされたそうです。

次回からは、体外受精について、その治療の内容などにより詳しく説明していきたいと思います。

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山中 智哉

医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医 現在、東京都内のクリニックにて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっています。 不妊治療は「ご夫婦の妊娠をサポートする」ことがその課題となりますが、...

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