親の所得は子どもの学力に影響するか?【佐藤あつこ】

親の所得は子どもの学力に影響するか?【佐藤あつこ】

公立小中学校の大きな存在意義の一つは、保護者の所得が学力に影響しないようにするためにあることです。しかし、はたして「影響がない」と言い切れるのでしょうか? 今月はこのことをテーマとします。


■難関中合格者の大半は、絵本の読み聞かせ経験を多く積んでいる

まず、多くのお母様が乳幼児から絵本の読み聞かせをします。

子どもは、お母さんの温かさや優しさ、しぐさを全身で感じ、絵本のなかにある物語を全身で受け止めます。それが本来の絵本の読み聞かせによる物語体験です。

最近はこれだけでなく、就園・就学までに学習の先取りをしたいという目的もあります。

実際に、難関中学校に進学をした子どもたちの大半は、乳幼児期から多くの種類の絵本を覚えてしまうほど、たくさん読み聞かせしてもらっていることもわかりました。

一例ですが、

読み聞かせていた絵本はたくさんありますが、中でも息子が特に気に入っていたのは、「バムとケロ」シリーズです。未就園児の頃ですから、文字も読めないんですが気に入っていて、何度も何度も読み聞かせていたからか、お話の内容を一字一句覚えていて、ページを自分でめくりながら、私に読み聞かせてくれてびっくりした思い出があります。
(難関中に進学した中1男子の母)

『バムとケロのにちようび』
作: 島田 ゆか
出版社: 文溪堂
発行日: 1994年09月

娘が生まれて間もなく読み聞かせを始めましたが、良いと思った本は、私が母に読み聞かせてもらった本を含めて何冊買ったかわかりません。中でも特に繰り返し繰り返しリクエストされたのは『三びきのやぎのがらがらどん』です。
(難関中に進学した中1女子の母)

『三びきのやぎのがらがらどん』
作: (ノルウェーの昔話)
絵: マーシャ・ブラウン
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店

息子が大好きでしたので、何回も読み聞かせていたら、覚えてしまった絵本がこれです。
初めて自ら暗記暗唱したのです。
(難関中に進学した中1男子の母)

『うずらちゃんのかくれんぼ』
作:きもと ももこ
出版社:福音館書店
発行日:1994年02月

■家庭の経済状況で、子どもが塾に通えるかどうかが決まる

就園すると、水泳、体操、バレエなどのスポーツや文化、英語教室などに通い、週の多くが習い事の日となります。

就学すると、さらに公文やそろばん、習字が加わり、やがて3〜4年生から塾通いがスタートします。

このように、保護者にはかなりの出費と労力が必要となります。しかし、子どもの教育に手を抜くことはできない……。

できることならば、小学校の学習はすべて理解させた上で中学校に進学させたいし、そのためには、通塾するのが一番手っ取り早い……。

せっかく通塾させるのであれば、進路指導に不安のある公立中学ではなく、中高一貫、あるいは大学までエスカレータで通える学校を選択しよう。

子どもに通塾させる決断に到った保護者は、このように考えることが多いようです。結果、通塾の経済的余裕がある家庭の子どもは、塾でメキメキと学力をつけます。

■小3〜4で、算数の理解度に差が出始める

算数について振り返ってみると、理解度に「ちょっとした差」を感じるのは、小学3〜4年生でした。

3年生から少人数指導が始まり、九九の応用や割り算、長さ、時刻などを習い始め、その時期から通塾を始める子どもも増えます。

やがて5〜6年生になると、その差が定着してしまっているな、と感じ始めました。

私の暮らす地域で毎年実施している児童・生徒の学力向上を図るための調査結果によると(公立小中学校:児童842名・生徒407名を対象)、小学校の算数と、中学の数学で一つの課題が浮かび上がります。

算数・数学で、東京都の定めた「習得目標値」(教科書の例題レベル)に達していない子どもの割合が小学5年生で8.5%(71.5人/842中)、中学2年で21.7%(88人/407中)。

小学5年生への「前の学年までの算数の学習内容を理解している自信があるか?」との問いに対し、「ない」「どちらかといえばない」と答えた生徒は10.2%(86人/842中)、中学2年生への「小学校で習った算数、中学1年で習った数学を理解している自信があるか?」との問いに対し「ない」「どちらかといえばない」と答えた生徒は35.6%(145人/407中)。

■すべての子どもが充分な学力を身につけられる公立教育施策を

算数や数学の教科書において例題レベルを理解していない児童・生徒は小学5年生と中学2年生で一定数が存在し、そのうち小学校の段階で、すでに前学年までの内容を理解していないのです。

つまり、数学に問題のある生徒は、その多くが小学校の内容を理解していない蓋然性があります。

このように、学力の格差は所得の格差となりかねません。

所得の格差に関係なく、誰もが自分らしい将来に夢と希望を持つためには、公立小中学校における学力向上を目指すしかありません。

公立小学校における算数の定着強化を施策とする、または家庭と連携した指導体制を強化する、もっと根本的に、教員の教える力を維持発展させるための施策を実施する。

このような公立教育施策を徹底させたいところです。


この記事のライター

地方議員であり、子育てママとして日々奮闘中。地元である東京都中央区では、自民党において戦後55年体制からたった2人目の女性議員(子育てママとしては唯一)である。 2017年は地方議員として活動しながら、子どもの「お受験...

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