Vol.3：「DRESSな女」がオーガニック市場を牽引する

「オーガニック」がブームです。少し前まで「LOHAS」も同じような種類の言葉として、人々の口の端に上っていましたが、最近はすっかり下火になってきており、定義が曖昧なバズワードの一つとして扱われています。こ…

「オーガニック」がブームです。少し前まで「LOHAS」も同じような種類の言葉として、人々の口の端に上っていましたが、最近はすっかり下火になってきており、定義が曖昧なバズワードの一つとして扱われています。この2極化の傾向は、WEB上で検索されている状況を確認してみると如実に表れていることが分かります。どうしてこうした事が起こるのでしょうか。実は、DRESSな女たちがカギを握っているかもしれないのです。
まず、各々の言葉の定義を説明すると、LOHAS（ロハス）というのは“Lifestyles Of Health And Sustainability”の頭文字をとったもので、健康や環境問題に関心の高い人々のライフスタイルを営利活動に結びつけるために生み出されたマーケティング用語であると、フリー百科事典ウィキペディアに書かれています。一方で「オーガニック」は、「有機的な」という意味の単語であり、有機栽培や無農薬野菜、自然食品、健康食品等の関連用語として日本では広まってきました。最近では身体にやさしいだけでなく、土や自然環境にもやさしく、地球環境を守ることにつながるため、オーガニックを取り入れたライフスタイルが生活の質も高めてくれるといった意味合いで捉えるようになってきています。こうしたことから、現在は食品関連に止まらず、LOHASやその他マクロビオティックなどの思想や健康法、ライフスタイルをも含む概念に発展しつつあります。「高品質」、「安全」、「クオリティーオブライフ」、「高級感」、「知識層としての意識」、「自然への理解と健康の探求」などが組み合わさって包括的なコンセプト「オーガニック」という概念は、発展し続けています。

検索状況における「オーガニック」というワードの持続的な成長の要因を概観すると、「オーガニック」に関連するキーワードはほとんどがコスメやシャンプーが支えてきました。その傾向は数年来続いており、どうやら一過性のブームとは言い切れないようです。私たちの話す日本語が常に新しい言葉や言い方を産むのと同じように、「オーガニック」という概念は、ライフスタイルを中心に現在も常に発展し続けているのです。そのけん引役は、身の回りのことにもこだわりや豊かさを追求している経済的にも自立した女性達と言えるのではないでしょうか。まさに「DRESSな女」。雑誌DRESSは「女性の毎日を豊かに彩るライフスタイルの提案」を発信しています。性別や家族構成といった属性情報で分類するのではなく、豊かな経験やキャリアを重ね、仕事も恋も自分の「責任」の中で思うままにライフスタイルをデザインして歩んでいく。「DRESSな女」の多様なライフスタイルへのこだわりが波及することで市場を形成しています。

オーガニックブームが表しているものは、ライフスタイルにこだわりを持って生きている人が増えているということなのでしょう。その「こだわり」は「具現化できる豊かさの象徴」でもあると思うのです。「豊かさ」は人によって価値観が違いますが、毎日の生活の中で、口にするもの、触れるもの、身に着けるものなど、自分の意思で決めることが出来るものを厳選し、自分らしさを追求することが出来れば豊かな生活は得られると思うのです。そういうことをこだわり持って、実践する人が増えているということがオーガニックブームの正体だと思うのです。たくさんの情報の中から自分に必要な情報を選んで、自分が心地よいと思えるライフスタイルを確立し、こだわりを持って自分と自分を取り巻くあらゆる環境や背景を大切に生活することこそ「豊かな生き方」なのだと思います。そういう意味では、「DRESSな女」の概念は、「独身のアラフォー世代の女性」といった括りから、もっと広い意味を持ったものになるのではないでしょうか。

【坂本雅志（さかもとまさし）】
1971年横浜生まれ。顧客との関係性を構築するCRM戦略を核とする経営コンサルティング会社「㈱スマートウィル」代表。ファッションやビューティ、コスメティック、ライフスタイル、メディア関連業界の企業を中心にCRM戦略をサポートしている。DRESSのCRMも手掛け、本誌コンテンツ作りのサポートも行っている。青山学院大学大学院（MBAコース）で講師も務める。
CRM：Customer Relationship Management（顧客関係性マネジメント）
http://www.smartwill.co.jp