ペパーミントのアロマオイルが花粉症と心の痛みを和らげる
植物の力を上手に使えば、つらい季節と時期を乗り切れる。
**「私」(40代ワーキングママ由樹子)の目を通した「ちょい足しボタニカル生活」をお届けします**
いつも元気なステ子が2日も会社を休んでいる。“風邪大丈夫? ごはんちゃんと食べてる?”とLINEをしたが、既読もつかない。
欠勤が3日目になった日にはさすがに心配になり、何回か遊びに行ったことがあるステ子の部屋を訪ねてみることにした。
「ステ子、具合どう?」
「……」
「具合が悪くて動けなくなってるんじゃないかと思って」
ベッドの上の布団のかたまりが、暗やみの中でもぞもぞ動いている。そっと毛布をめくってみると、ひざを抱え頭から毛布をかぶったステ子が、おせんべいにハムをのせて泣きながらかじっていた。
「由樹子さあああああん。#$&*?“」
泣きじゃくっていて、何を言っているのかさっぱりわからない。
ステ子に先月新しい彼ができたこと、最初は優しかったのに実はとんだDV野郎だったこと、さんざん振り回されたあげく、八王子近くの中央高速の分離帯で突然車から放り捨てられたことを、数時間かけてようやく聞き出した。
「辛かったね、辛かったね」
私は思わずステ子の細い肩を抱いて、ひたすら背中をさすった。
「ずっと泣いてたの? 顔がパンパンだよ」
「これは花粉症で。は、はら(鼻)かみすぎ」
ステ子がかぶっていた毛布の中には、大量のティッシュがちらばっていた。しばらく 泣く→鼻をかむ→泣く→鼻をかむを繰り返したあと、ステ子は泣き疲れてスースーと寝息を立てて眠ってしまった。
私はそっと立ち上がるとキッチンで簡単なうどんを作り、その横にメモを添えた。
「うどんを作ったので、食べてね。おせんべいとハム、変化球オードブルみたいで美味しそうだったけど(笑)。
茶色い瓶はペパーミントのアロマオイルです。コットンに1滴たらしてティッシュで包んで下着の胸元に入れると、鼻づまりの息苦しさが楽になるよ。寝るときはパジャマのポケットに入れて。風邪用にと思って持ってきたけど、花粉症にも効くそうです。つらくなったらいつでも呼んで。待ってます」
食べるのも寝るのも忘れるくらい、心が大きく揺れ動く恋愛。私がそんな気持ちから遠ざかって何年経つだろう。素直に泣いて笑って、心が折れたときはもうダメだと人に甘えることができて。ちょっとお騒がせだけど私にないものをたくさん持っている恋多き女・ステ子のことが、妹のようにいつも気にかかる。
そういえば私、最近泣いてないなあ。傷つくことがたくさんあるのが20〜30代なら、何もないよりたとえ傷ついても心が動く何かが欲しいと、心の底で憧れるのが40代なのかもしれない。
+++ もなみのちょい足しポイント +++
「踏みとどまれない40代は、植物の力を借りて元気に過ごす」でもアロマオイルの簡単な活用法をご紹介しました。アロマをお湯にたらして湯気をあびる「鼻サウナ」と同じくらいすぐできるのが、今回ご紹介した「コットン活用法」です。アロマオイルをメイク用コットンに1滴たらしてティッシュで包んだものを下着の中に入れると、自分の体温でコットンが温まり、洋服の胸元から自分の鼻にほどよくアロマの芳香が届きます。アロマオイルをたらした部分は、直接肌や洋服に触れないようにご注意ください。自分の状態に合わせてアロマオイルを使い分けると、花粉症対策だけでなく、心身のコンディションを整えるのに役立ちます。手に入りやすいアロマオイルの効能例をいくつかご紹介しておきます。
アロマオイルの効能例
・花粉症、風邪の鼻づまり→ユーカリ、ペパーミント
・気分を上げたい、元気を出したい→オレンジ、マンダリン
・緊張をやわらげ安眠を促す→カモミールローマン、ベルガモット