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結婚後は夫婦同姓があたりまえ――これはいつまで続くの?

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現在の民法は、夫と妻の姓(氏)が異なる形での婚姻を認めていません。そして、結婚に際し、男性の姓を選んで変更する女性は全体の96%となっています。

結婚後は夫婦同姓があたりまえ――これはいつまで続くの?

■結婚後は夫婦同姓があたりまえ――これはいつまで続くの?

昨年末に話題になった選択的夫婦別姓裁判。結婚した夫婦に同じ姓を名乗ることを求めている現行の法律(民法)が、憲法が保障している「氏の変更を強制されない自由」を侵害し、平等原則にも反する等として、5名の原告が訴えを提起しました。最高裁の下した判決は「合憲」でした。
 


そもそも選択的夫婦別姓制度とはどのようなものなのでしょうか。

現在の民法は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」(民法第750条)と規定しています。つまり夫と妻の姓(氏)が異なる形での婚姻が認められていないのです。

そして、結婚に際し、男性の姓を選び、女性が姓を変更するケースが全体の96%という現実があります。

選択的夫婦別姓制度とは、文字通り、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦が結婚前の姓(氏)を各々名乗ることを認める制度です。

「選択的」ですから、従来のように、結婚後に夫婦で同じ姓を名乗りたい場合には同じ姓を、別姓でいたい夫婦は別姓を選択できるという制度です。

判決書の中で、海外事例に言及している最高裁判事もいらっしゃいました。

かつて日本と同様に夫婦同氏制を採っていたとされるドイツやタイ、スイスなどの多くの国々でも夫婦別氏制が導入されており、現時点において、例外を許さない夫婦同氏制を採っている国は、日本以外にほとんど見当たらないそうです。


■韓国は「夫婦別姓」を採用

そこでお隣の国、韓国の事情を友人に聞いてみると、興味深い情報を教えてくれました。韓国は「選択的」ではなく、「夫婦別姓」制度を採用しています。子供は、夫婦が婚姻の際に協議し、母親の姓を引き継がせることとした場合を除き、原則として父親姓を引き継ぎます(なお、2005年以前は、子供の姓として母親姓を選択することは、一切認められていなかったそうです)。 



韓国における夫婦別姓は、李氏朝鮮よりも前から続く伝統であり、「姓」とは、「血統/血筋」を表すもので、「血筋」が生涯をかけて変わることがないのと同様に、「姓」も生涯変わることはないという強固な価値観が背景にあるそうです。そしてこうした価値観は、古く10世紀頃の儒教に端を発するもので、「男系」を重視する家族観(家父長制など)と親和的とのこと。

日本で検討されている女性の権利尊重、アイデンティティの確立といった話とは、だいぶ異なる考えに基づく制度のようです。

このように、夫婦の姓をどうするかという問題は、各国の歴史や文化、慣習に関わる部分が大きく、外国は皆「選択的夫婦別姓」を採用しているから、日本も! と気軽には変更できない部分もあるのだと思います。



さて、選択的夫婦別姓制度を導入すると、どのような不都合が生じるのでしょうか。

最も声高に主張されるのは、子供の姓をどうするのか、という点の議論が成熟していないということです。諸外国は、原則父親の姓を名乗ると規定している国が多いようです。

日本では、仮に父親と子供が同じ姓、母親が異なる姓になった場合、家族としての団結力、一体感が減少するのではないかと懸念されています。苗字が同じだって、崩壊している家庭はいっぱいあるよ、というご意見もあります。この点は、まだ議論が成熟していないのはその通りで、だからこそ、裁判所も判断を避けたのだと思います。



今回の判決では、現行の制度は合憲との判断が下されました。しかし、やっぱり選択的夫婦別姓制度は日本では認められないのねと結論づけてしまうのは、早急すぎます。判決書を読むと、最高裁は、「姓」は、人が個人として尊重される基礎であること、個人の人格を一体として示すものであること、よって、姓を改めることにより、アイデンティティの喪失感を抱いたり、個人の信用や評価、名誉感情などにも影響が及ぶという不利益が生じたりすること、昨今の晩婚化により、その不利益度合が増していることについて、一定の理解を示しています。



そして選択的夫婦別姓制度の導入については、子供の姓の問題、婚姻制度や「姓」そのものに対する考え方などについて、国民の代表者が集う国会で議論し、同制度の導入の可否を判断していくべきであろうと述べているのです。

日本では不要です、認められませんとシャットアウトしたわけではありません。

■「旧姓でいたい女性」を男性はどう思う?

私は10〜20代の頃、好きな人と結婚して同じ姓になることに、一種の憧れのようなものを感じていました。しかし、20代で結婚した私の友人でも、意識の高い友人は、その当時から夫婦別姓を貫いている(籍を入れない)人もいました。

ただ、皆最終的には子供ができて、籍を入れるという選択をしています。

40代で結婚してみて、姓が変わることの不都合さをひしひしと実感しています。まず、諸手続きが面倒くさい、皆さんもご経験ありますよね? 銀行、クレジットカード、パスポート、お店のメンバーズカード、ありとあらゆるものの名義変更をしなければならない。なぜ私だけ? そう思ったりもします。



私は旧姓で仕事をしているため、未だに旧姓で呼ばれることの方が圧倒的に多いです。そのせいか、新しい姓で呼ばれることに違和感を持つこともあります。姓と名が一体となっての自分自身なのだ、と改姓して、改めて気付きました。



男性は、結婚して自分と同じ姓に変えたくない、旧姓でいたいという女性に対し、どのような感情を抱くのでしょう。自分に対する愛情が足りないとか思うのかしら。
結婚したから姓を同一にすることが当たり前、この当たり前が当たり前でなくなる世の中は、あと何年くらいで訪れるのでしょう。

今回の最高裁の判決書は、選択的夫婦別姓制度に対する国民の議論の活発化を促しています。

平易な言葉でわかりやすく書かれていますので、最高裁の判決書全文を読んだ上で、ぜひ選択的夫婦別姓について、考えてみていただきたいと思います。

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菊間 千乃

弁護士。1972年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。1995年フジテレビに入社。バラエティや情報・スポーツ番組など数多く担当。 2005年大宮法科大学院大学に入学。2007年12月司法試験に専念する為、フジテレビを退社。 ...

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