“スキルの掛け合わせ”で鉱脈を掘り当てる
いまどきのアイドルや芸人は、1つのスキルに依存することなく、スキルの掛け合わせで活躍している人が多い。この掛け合わせを私たち、ビジネスパーソンに当てはめた時にどうなるのか。これを機会に後述する「ライバル分析」を利用して、新しい境地を開拓してみては?
講談社主催のアイドルオーディション企画『ミスiD(アイドル)2014』の選考委員を務めることになり、先日、渋谷ON AIR EASTで開かれたイベントに列席してきました。
芸能にまつわるあれこれに対してまったく無知であり、かつ免疫のない私にとっては、新しい時代を担うアイドルを選出する一員となったことに多大なプレッシャーを感じているのですが……この心境は別の機会に披露するとして、今回はイベントに参加してとても驚かされたことについて書こうと思います。
■いまどきのアイドルの多芸さ
いわゆる歌って踊るアイドルから、ファッションモデル、グラビアアイドルまで幅広く登場したのですが、皆、発言力がある。
言葉に力があるし、はきはきと自分の意見を言える度胸と、お笑い芸人の司会者や観客のヤジやツッコミにも素早く笑いで返す頭の回転の速さも備えている。それだけでも充分に感心モノなのですが、彼女たちはMCをやらせてもうまいし、書き初めをしても達筆。おまけに、寸劇テーブルクロス引きを披露する子まで。
次々と繰り出される彼女たちの才能にひたすら驚嘆しながら、私自身も負けてはいられないと一念発起させられましたし、こうした「アイドルの多芸化」は時代の流れによるものなのだなとつくづく実感させられました。
ここで思い出すのは、「●●芸人」です。
家電やキン肉マンなどに詳しい芸人さんをスタジオに呼んで、マニアックな語りで視聴者を楽しませる人気番組がありますよね。芸人さんはもちろんのこと、家電に詳しかったり、料理が得意だったりする俳優さんが、その才能によって新たに仕事の幅を広げるという事例もあります。
これこそまさに、「芸は身を助く」。
「女優は女優らしく、アイドルはアイドルらしく」、それぞれの領分におさまることがプロフェッショナルだとされていた風土は既に過去の話。「アイドル×コメント力」「アイドル×文学」「アイドル×コスプレ」「アイドル×料理」など、「アイドル×●●」の「●●」に当てはまるスキルをつくっていくのが、アイドルにとっての現代における生き残り戦略なのです。
単に、歌や踊りがうまいだけでは他のアイドルと同じ土俵での勝負になりますが、他にはなかなか見かけることのない意外なスキル(や要素)を掛け合わせることによって、上記のようなアイドルの「新境地」を開拓していけるのです。
そしてその分野のパイオニアとして、多くの人の心に記憶されるアイドルとなる― これが、スキルの掛け合わせによって「鉱脈」を掘り当てるということです。
■スキルの掛け合わせで「ブルー・オーシャン」を見つけ出す
この戦略は、私たちのような一般のビジネスパーソンにも当てはまります。
私たちが普段領分としている仕事や職能に「&」で掛け合わせていくスキルや要素を見つけ出し、磨き、アピールし、使っていくことで、この鉱脈を自分で掘り当てていくのです。
こうして掛け合わせによって見つけ出すニッチな領域を、ビジネス用語で「ブルー・オーシャン」と呼びます(魚、つまりライバルのいない青い海。
反対語は「レッド・オーシャン」といい、魚が多すぎてエサがなかなか食べられない競争状態を指す)。
■ライバル分析で新しい境地を開拓
ここでひとつだけ、私自身が実践している戦略をご紹介します。
それは、「ライバル分析」というワーク。自分と同じ職種や職能を持つライバル(有名•無名問わず。架空のキャラクタ―はご遠慮ください)を思い浮かべて、それぞれの人と自分を比べて以下の2つの点を書き出してみます。
① ライバルにあって、自分にないもの
② ライバルになくて、自分にあるもの
たった2つだけのシンプルな質問なのですが、同じ領域で活躍する人と自分を比べてみて、徹底的に②を洗い出すことがこのワークのポイントです。
ライバルという対象を引き合いに出し、自分自身を客観的に眺めることによって見えてくる、自分の「持ち味」というものに気づくと思います。それを「&」をつくるヒントとしてお役立てください。
そんな私も、これまでは「起業家×ソーシャルメディア×ノマドワークスタイル×出版×PR」などと、色々とスキルや要素を掛け合わせて「自分だけの土俵」をつくってきたつもりなのですが……
彼女たちを見習って、現状に安住することなく、そしてひるむことなく新しい境地を開拓していこうと思います。
若きアイドルたちの多彩な才能と挑戦に、新しい時代の働き方の萌芽が感じられたことに心からの感謝を。