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フリーランスになる前に知っておきたいお金のお話<収入編>

フリーランスという自由な働き方が気になる方もいるのでは? そんな方に知ってほしい「お金の話」シリーズ。フリーランス歴13年目で、ファイナンシャルプランナーでもある筆者が、「フリーランスはどれくらい収入があれば良いか」を解説します。

フリーランスになる前に知っておきたいお金のお話<収入編>

筆者は会社員として働いた後にフリーランスになり、フリー歴はもうすぐ13年目。小学生の子どもが二人います。

2005年に会社を辞めた際は、恥ずかしながらお金の知識がほとんどなく、会社を辞めて初めて、「会社員が(お金の面などで)非常に恵まれていたこと」に気づき、驚きました。

独立と同時に勉強を始めて、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金についてのさまざまな取材、勉強、体験を重ねていき、「独立前にお金の知識があれば、幸せなフリーランスの方がもっと増えるのでは」と感じ、自分ができることを通じて、応援するようになりました。

フリーランスという働き方が気になっている方に向けて、これから数回に渡って、フリーランスのリアルをお伝えしていきます。初回のテーマは、「収入について」です。

フリーランスは、会社員時代の「手取り」と同額だと厳しい?

フリーランスは、いったいどれくらい稼げれば安心なのでしょうか。仮に会社員で手取りが20万円の場合、「フリーランスでも、月に20万円稼げれば大丈夫なのでは?」と、フリーランス希望者から聞かれることがよくあります。実際、私も会社員時代、そのように思っていた時期がありました。

ところが、「会社員にはあっても、フリーランスにはないお金」がたくさんあります。そう考えると、会社員時代と同じ手取り額では厳しい。会社員時代と同じくらいの生活と安心を求めるには、会社員時代の「手取り額」ではなく、実は「収入額」を意識する必要があるのです。

健康保険料や所得税は、収入の中から自分で支払う

会社員の方は、毎月の給与明細を見てみてください。収入から、さまざまなお金が引かれていないでしょうか?

仮に月の収入額(いろいろ引かれる前の「総支給額」)が25万円ほどだとすると、健康保険料や雇用保険料、所得税、住民税などで数万円引かれた結果、手取り額が20万円ほどになっていると思います。

健康保険料や所得税などは、本来は自分で支払うお金ですが、会社が代わりに手続きしてくれているため、会社員のときにはなかなか気づかないお金です。ところがフリーランスになると、収入の中から自分で支払う必要があります。

それらの出費をすべてあわせると、(収入の多い少ないなどによって異なるのでかなりざっくりとですが)収入のおよそ20%~25%くらいでしょうか。つまり、収入額の8がけ~7がけくらいが、手取り額になっているというわけです。

「有休」や「福利厚生」がなく、仕事をしないと収入はゼロ

また、フリーランスになると、「有休」がない点が、骨身にしみて感じるところです。

体調不良や個人的な用事、旅行などで休んだ場合、会社員なら「有休」を使って、休んだ分でもお給料をもらえます。仮に日給が1万円だとして、有休が20日間あってまるまる使った場合、(かなり大まかにいうと)仕事をしなくても20万円をもらえる権利があるともいえます。

ところが、フリーランスは仕事をしなければ収入はゼロです(日々の体調管理やプライベートの計画は非常に重要です)。

また、「福利厚生」の有無も挙げられます。会社にもよりますが、家賃補助のほか、会社と提携しているサービス(ホテルや旅行会社、スポーツジムなど)を利用する際の補助、ベビーシッター代の一部補助があったり、毎年一定量の医薬品がもらえたりというケースも。

社内預金の金利が密かに高い会社や、財形貯蓄(給与天引きで貯蓄される制度)をするとプラスαの金額支給がある会社など、会社員にはさまざまな福利厚生がありますが、フリーランスは基本的にはありません。

その他、仕事に関する交通費は、会社員は基本的に出るかと思いますが、フリーランスでは出ない場合も(打ち合わせだけで仕事に結びつかない場合、その時間に対する収入がない場合も……)。

その他、PCや携帯電話、細かいところでは文房具の支給の有無についても、大きく異なります(フリーランスは好きなものを使えるというメリットもありますが!)。

【まとめ】フリーランスとお金の話

これらを総合して考えると、フリーランスになって、会社員時代と同じような安心感を得るためには、(職種にもよりますが)会社員時代の1.5倍くらい収入があるとよいな、という感触です。つまり、会社員時代の総支給額+αのイメージです。

ただし、これは会社員時代と同じくらい“出費”がある場合。

フリーランスになって、好きなことに絞って仕事をするようになったら、「会社員時代は、ストレス解消のための出費(飲み代や外食費、マッサージ代など)が多くかかっていたけれど、それらが一気になくなった」という方も多くいます。「会社員時代は、毎日ランチを外で食べていたけど、毎日自宅で食べるようになった」という方も。

出費が減れば、会社員時代の1.5倍の収入でなくても、会社員時代を上回る楽しみや幸せを味わえるでしょう。

今回は、お金の面で少々厳しいお話をしてしまいましたが、「会社員にはなくて、フリーランスにあるもの」もたくさんあります! それこそがフリーランスで働く醍醐味だと思いますので、今後お伝えしていきたいと思います。

西山 美紀

ライター・コラムニスト・ファイナンシャルプランナー。出版社勤務後、2005年にライターとして独立。ファイナンシャルプランナーの資格を取得。女性誌やビジネス誌で女性の生き方などをテーマに取材執筆を行うほか、貯まる人・貯まらない...

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