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ランジェリーで叶える、自分だけの美しさとは?

興味はあるけれど、なかなかじっくりと選んだり考えたりすることの少ないランジェリー。今回はランジェリースタイリストとして活躍する中根菜穂子さんが、自分の身体を大切にしてほしいからこそ知ってもらいたい、ランジェリーの選び方~第一歩編~をお伝えしていきます。

ランジェリーで叶える、自分だけの美しさとは?

現代の大切な価値観のひとつに多様性があります。

「美しさの概念はひとつではない」

化粧品メーカーをはじめ、さまざまな場所でこのような声を聞くようになりました。そんな時代だからこそ、ランジェリースタイリストである筆者からは、「自分だけの美しさ」をランジェリーで見つけるのも良いのではないか……と提案したい。

私は約10年間ランジェリーの仕事をしてきました。その半分以上は百貨店での勤務。年齢でいうと下は10歳から、上は80代までの幅広いお客様と触れ合ってきました。もちろん年齢に限らずとも、理想とするランジェリーやバストへの考え方もさまざまなはず……と思いきや、「小さいバストは大きくする」「大きいバストはスリムに見えるように」といったように、”一般的”な理想の体型へと自分を合わせていくような方がほとんどでした。

下着=体型補正のために着るものというイメージの方も多いと思いますが、下着(ランジェリー)には体型補正だけではない魅力がたくさん。”一般的”とはまた違う自分の美しさに気づかせてくれたり、自分の理想へ導いてくれるものだと私は考えています。

■なりたい自分になるためのランジェリー選び

自分の体型に自信をなくしていた20歳の頃、あるランジェリーショップの前を通りかかりました。そのランジェリーは、当時着けていたランジェリーの数倍の価格ではありましたが「試してみるだけでも……」と思って試着をし、鏡の中に映った自分を見ました。

当時、「もっと痩せなければ自分は美しくない」と考えていましたが、その鏡の中に映った自分の姿を見たとき、「今のままでもいいところはある」と思えるようになったのです。その感覚は”諦める”、”開き直る”とはすこし違う、”ありのままを認める”という感覚だったと記憶しています。

日本では、「体を補整する(バストのサイズを変える)」「洋服を着たときに透けないものにする」など、機能的な選び方をする傾向が強かったように感じます。ですが「この経験を伝えながら新しいランジェリーの選び方を広めたい!」と考えてから、私の気持ちの変化の正体について調べました。服飾分野にも広げて、被服と女性の心理についての本や論文を読み始めました。そこで、被服心理学(身に着ける被服が、人間の心理や行動において与える影響を研究した学問)に出会います。

調べていくと、本の中にこんな記述を見つけました。



人は現実の自己像と常に向き合っているが、被服を媒介として理想的な自己像に少しでも近づく事が可能となり、その結果心にうるおいがもたらされ、心理的充足感が得られるものと考えられる。

――『新版 被服心理学 中川早苗編』発行所/日本繊維機械学会より引用

20歳の頃の私は「痩せることで綺麗になる」「痩せなければ綺麗ではない」と思い込んでいました。ですがある日偶然に出会ったランジェリーを介して、自分がほんとうに理想とする美しさに近づくことができました。その結果、今のままでもいいところがあるという気持ちの変化を感じることができたのです。

■まずは、好きなランジェリーを選んでみよう

被服心理学の研究では「好きな被服は嫌いな被服よりも理想の自分に近いところにある」と言われています。皆さんの中にはさまざまな事情で、本当に好きな洋服やメイクを日常的にできない人もいると思います。

装いに関しては周囲からの目を気にしてしまうこともあり、自分の好きを100%反映するのは難しいですよね。でも、洋服の下にあるランジェリーは人から見られることなく自分の好きを100%表現できるところであると私は考えます。

ここからは、DRESS読者のみなさんがランジェリーを通して、自分の理想とする美しさに出会うための方法をお伝えしていきます。

「価格」ではなく「好きという直感」で試着を

百貨店に勤めていた頃からお客様には、購入するかどうかは別として「そのランジェリーを着けたご自身の美しさを感じてみてください」ということをお伝えしています。

体験しなければ、感じることはできません。着けてみて「自分には似合わない」「やっぱり違うかも」「気後れしちゃう」など、いろいろな感情が湧くと思います。でも、自分を肯定できる感覚、理想の自分に近づいた感覚を持てる場合もあります。なので、まずは<試着をすること>をおすすめしています。

「価格ではなく、好きの直感で試着を」とお伝えしている理由のひとつに高級ランジェリーを着けると自信が湧くというのは心理学の研究結果があります。必ずしも高級なランジェリーである必要はありませんが今自分が着けているよりも高価なランジェリーを選んで着けてみるのもおすすめです。

まずはさまざまなランジェリーブランドを眺めてみて

ここからは、皆さんの運命のランジェリーになるかもしれないランジェリーブランドを紹介します。試着はちょっと……という場合には、まず”見る”ことから始めてみてください。

1.オーバドゥ
フランスの高級ランジェリーブランド、セクシーでエレガントなテイストが人気。

2.シャンタルトーマス
フランスの高級ランジェリーブランド、女性っぽく魅惑的な世界観が人気。

3.トレフル
ワコールのプレステージランジェリーブランド。
繊細なデザインは、技術力が高いからこそなせる技。優美なデザインが人々を魅了している。

4.L’ANGELIQUE(ランジェリーク)
日本のランジェリーブランド。
大人の肌を美しく見せてくれるアンニュイなカラーとナチュラルな着け心地が人気。

5.ナオランジェリー
日本のランジェリーブランド。深い思いやりこそが、最も美しいという考えのもと、女性の自尊心を満たすランジェリーを発表している。デザイナーのこだわりが細部にまで詰まっています。

6.バサラ
シルクランジェリーブランド。フランスの最高級シルクサテン生地を使用。リラックス感のある着け心地と美しさが人気。

7.プリスティン
オーガニックコットンブランド。こだわり抜かれた素材の心地良さと、締め付け感のない着け心地が人気。

***

「雰囲気が好き」「なんか気になる」

そんな風に感じたブランドはありましたでしょうか?

価格にとらわれず、まずは好きを感じることから始めてみてください。そして、気になるブランド、商品があればぜひご試着を。
今までの下着の概念に縛られることなく、自分の好きを信じて、ランジェリーを通して自分だけの美しさに気づく方が増えますように。

そして、美しさの概念はひとつではありません。だからこそ、自分の理想の美しさへとアップデートしていくときに、ランジェリーその力になれたらランジェリースタイリストとしてこれ以上うれしいことはありません。皆さまのランジェリー選びの参考にしていただけたら幸いです。

中根 菜穂子

ランジェリースタイリスト 日本ランジェリースタイリスト協会 代表理事 雑誌やウェブメディアを中心に下着企画の監修・スタイリングを行うほか、‘ランジェリーを学ぶ・楽しむ・仕事にする’をテーマとしたスクール「ランジェリー...

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