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【産婦人科医が解説】妊娠中の“安定期”に気をつけたいことと、必要な検査

妊娠すると、女性の体はどう変化していくのでしょうか。今回は妊娠15〜20週頃(安定期)の体の変化、この時期に気をつけたいことについて解説します。

【産婦人科医が解説】妊娠中の“安定期”に気をつけたいことと、必要な検査

妊娠15週を過ぎると「安定期」といわれる時期に入ります。
多くの方はつわり症状が消失していき、体調も安定してきます。また、突然の流産の可能性も低くなります。

何も妊娠中のトラブルがなければ、そのまま通り過ぎる方が多い時期ですが、いくつか気をつけなければならないこともあります。

■流産や早産の兆候がないか

通常、この時期の子宮の入り口(子宮口)はしっかり閉じているものです。しかし、時に少しずつ開いてきて流産や早産の原因となることがあります。多くの場合、出血やお腹の張りといった症状をきっかけにわかりますが、無症状でも子宮口が開いてくることがあります。

その原因には、主に以下のふたつが挙げられます。

頸管無力症(けいかんむりょくしょう):もともと子宮口が弱い

原因のひとつに、「頸管無力症」という、もともと子宮口が弱いという病態があります。妊娠するまでわからない病態ですので、子宮口が開いてしまってから診断がつくこともあります。

開いてしまった子宮口はそのままにしておくと流産や早産になるため、シロッカー縫縮術など、専用の紐で子宮口を縛る手術が行われることもあります。また、ひとり目の妊娠で頸管無力症がわかっている場合、ふたり目以降の妊娠においては、子宮口が開く前に縫縮術を行ないます。

子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん):子宮頸管の炎症

別の原因として、「子宮頸管炎」という病態から子宮口が開いてくることがあります。細菌感染などによって子宮頸管に炎症が起きることで、子宮頸管が弱くなることによって生じます。

早期に炎症が収まれば改善することはできますが、炎症が頸管から卵膜(子宮内にできる膜)まで波及すると、弱くなった卵膜が破れて破水することもありますので、非常に怖い病態です。

したがって、この時期の妊婦健診では、「経腟エコー検査で子宮頸管の長さを測定すること」や、「帯下(おりもの)の細菌検査」が重要な検査となります。

■羊水検査について

母体の腹壁から針を刺して、羊水を採取し、染色体検査を行なうことを「羊水検査」といいます。

超音波検査で胎児に異常が疑われる場合や、高齢妊娠の女性を対象に行われますが、最近ではNIPTといった着床前診断で異常が疑われた際に、診断を確定するために行われることも多くなりました。

ある程度羊水の空間がなければ、胎児に針があたるリスクがあるため、羊水検査は早くても妊娠16週以降でなければ行なうことが困難です。「羊水検査は妊娠20週頃まで」とよく言われますが、これは検査結果がわかるのに2週間ほどかかるため、できるだけ早期に結果を知るためです。20週を過ぎてからでも、妊娠中期や後期に胎児に異常が疑われる場合には行なうこともあります。

羊水検査で得られる胎児の情報は、時にとても重要な意味を持ちますが、羊水検査の手技には破水や感染などのリスクも伴うため、行なうかどうかは主治医とよく相談して決める必要があります。

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