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選ばれるのなんか待たずに自分から。それが女性の自由への近道。

別居して2年、離婚して1年。出産は3回。40歳で再び独身となり、恋愛市場に放り出された私。この条件は厳しい。しかも職業「社長」。だいぶ修羅場も乗り越えてきたからすっかり自立してる私。恋愛についてちょっとあきらめ、フタをしていた部分があった。

選ばれるのなんか待たずに自分から。それが女性の自由への近道。

別居して2年、離婚して1年。出産は3回。
40歳で再び独身となり、恋愛市場に放り出された私。
この条件は厳しい。
しかも職業「社長」。
だいぶ修羅場も乗り越えてきたからすっかり自立してる私。
恋愛についてちょっとあきらめ、フタをしていた部分があった。

そもそも私は恥ずかしながら、恋愛経験が少ない。
初の彼氏は大学生の時。
その後、25歳で一目惚れした相手と5年付き合い30歳で結婚、今に至る。
仕事は毎日充実しているけれど、プライベートはやや物足りなく過ごしていた最近、ふと、初めて男性とお付き合いした20歳の春を思い出した。 

中学、高校と「超」のつく進学女子校で過ごした私は、男性に対する免疫ゼロの、まさに箱入り女子大生となった。
青春時代を勉強にささげ、浪人までして合格をもぎとった慶應義塾大学経済学部。
第二外国語は中国語。
教室には、50人中女子はたったの二人だった。

私はおめでたい期待に満ちていた。
まわりは男子ばかり。
こんな環境なら、自然に素敵な慶應ボーイの王子様たちが見つけてくれて、で、一番素敵な人と恋愛がはじまって……。
しかし、である。
それどころの騒ぎではなかった。 

もう一人の女子は、慶應女子校あがりのラクロス部員。
モテの王道をいく、まさにお姫様だ。
服の着こなしも、仕草も、そして髪の一本一本まで、とにかく可愛い! 

ものすごいオーラである。
おまけに、本当に育ちのいい子というのは、びっくりするほど性格までよい。
私まで惚れそうなパーフェクト女子だった。 

一方の私は、どうにもさえない。
クラスに二人しか女子がいないので、当然、男子からの視聴率は二人に集中。
そして、視聴率争いの完全なる敗者として(もはや、私は男子の視界にすら入っていない)、つけられたあだ名は「つね吉」。
ある意味人気者だったが、これで男子の仲間入り確定。 

しかし、そんな私も恋をした。ある日、上級生との合同ゼミ。
コの字型に配置された机の向こう側に、一人の先輩が、後光がさしていてオーラ全開(と、私には見えた!)口元に笑みをたたえ、座っていたのである。
目が合った瞬間、完全にハートを打ちぬかれた。 

私、この人好きだ。心が言っている。
必死で先輩の情報を集めた。
親は建築家、田園都市線沿線のセレブタウン在住、中学から慶應生。
毎日、黒のセリカのオープンカーで、華麗に通学。
当然、ものすごくモテていた。 

私のほうは、超庶民。バイトにいそしみ、部活もガッツリ。
千葉から通い、門限は23時。
何度も、あきらめようかと思ったが、もう、好きすぎて無理だった。
そんな中、彼が有名お嬢様学校の女子大生と別れたという情報が。
やった、フリーの期間は短いはず、なんとかしよう。
相変わらず女子力に自信はなかったけれど、もう、待つのをやめた。
自分で動けばいいんだ。
自分から視界に入り、自分で告白しよう。 

ゼミを通じて、お互いを知り合ったタイミングで二人で飲みに行くことに。
話が止まらなかった。
育った環境は違うけど、共感できた。
何時間か話して「好きです」と自分から伝えた。
お付き合いを前提に会うようになり、間もなく恋人同士になった。
彼とは就職やら色々あって結局お別れしてしまったけれど、
沢山のことを彼から学び、おかげで最高の大学生活を送ることができた。 

今、自分自身を含め、仕事に関しては前のめりなほど積極的な女性も、こと恋愛に関しては受身が多い。
でも、相手から来るのを待っていたら、チャンスを逃す。
モテないことを嘆いていたら、素敵な男性が目の前にいても「どうせ無理」と無意識にターゲット外にしてしまうかも。 

自由に生きていきたかったら、仕事だけじゃなく、恋愛や結婚も「この人」と思う人を自分で見つけて、自分で動いて、自分の気持ちをまず伝えよう。
ちょっとくらい傷つくことをさけて、素敵な男性を逃すほうがよっぽどもったいない。そう気づいた。
大学生の私に勇気をもらって、久しぶりに、恋愛市場にも前のめりぎみに出てみようかな、なんてね。

選ばれるのなんか待たずに自分から。
それが女性の自由への近道。


経沢香保子

Text / Kahoko Tsunezawa Photo / Kisei Kobayashi
DRESS 2015 2月号 P.140~掲載

経沢香保子(つねざわ かほこ)
桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な 安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。オンラインサロン「女性起業家サロン」も人気。

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経沢 香保子

桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びキッズラインを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社...

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