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「星野リゾート 界 津軽」宿泊記。津軽こぎん刺しの魅力に目覚める

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「津軽こぎん刺し」ってご存知ですか。シンメトリーな模様が特徴的な、津軽地方の伝統的な刺しゅう方法のこと。近年では雑貨や小物などにも取り入れられています。星野リゾートが全国に展開する「星野リゾート 界 津軽」は、「津軽こぎん刺し」の魅力をテーマにした温泉宿です。

「星野リゾート 界 津軽」宿泊記。津軽こぎん刺しの魅力に目覚める

■41室すべての客室がご当地部屋「津軽こぎんの間」に

「界」は、星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランドです。2019年9月現在、全国15カ所に展開中。それぞれの土地の食や伝統工芸、芸能などを満喫できるおもてなし「ご当地楽」に力を入れています。そうそう、旅って、その地域のものを存分に味わいたいですものね。

それぞれの「界」には、その地域の歴史や名産品などその土地の特徴を表現したモチーフや伝統工芸品を使用した「ご当地部屋」があります。

一施設あたりのご当地部屋の数は、施設によって異なりますが、たとえば、「星野リゾート 界 伊東」なら椿をモチーフにした客室、「星野リゾート 界 加賀」なら加賀水引や加賀友禅などの伝統工芸をちりばめた、加賀伝統工芸の数々に包まれる客室といった感じで、ご当地感満載です。

今回、私が訪れたのは、15カ所の「界」のなかで、もっとも北に位置する「星野リゾート 界 津軽」(以下、「界 津軽」)。

青森県・弘前市の大鰐温泉の郊外に小高い丘に抱かれるように建つ「界 津軽」の「ご当地部屋」は、津軽の伝統工芸である津軽こぎん刺しをテーマにしています。

実は2019年4月のリニューアルオープンを機に、大胆にも全41室、すべての部屋をご当地部屋「津軽こぎんの間」にしてしまったのだとか。これはぜひ見てみたいと、夏休みを兼ねて出かけてみました。

■津軽地方の伝統的な刺しゅう「津軽こぎん刺し」はレトロにもモダンにもアレンジ可能

そもそも津軽こぎん刺しは、雪深い冬を温かく過ごすため、仕事着の強度補強や防寒対策の一環として生まれた、津軽地方の伝統的な刺しゅう方法のこと。シンメトリーな模様が特徴的で、レトロにもモダンにもアレンジできることもあって、近年では雑貨や小物などにも取り入れられています。

「津軽こぎんの間」は、とても愛らしく、そして居心地も抜群でした。リニューアルにあたって、すべての客室にローベッドとソファーを誂えたのだそうです。

客室へのアプローチも気がきいています。約60メートルある客室棟の廊下には、こぎん模様の灯りが灯り、こぎんの文様が天窓や壁などへ映し出されます。陽が落ち始める夕方はとくに幻想的で、この廊下に座り込んで酒盛りを始めたいくらい。

■障子や掛け軸、行灯、ベッドライナーもみんな「津軽こぎん刺し」

「津軽こぎんの間」では、その名に雄弁に語っている通り、こぎん刺しの模様を現代風にデザインした障子や掛け軸、行灯、ベッドライナーなど、客室の至るところにこぎん刺しを取り入れています。

こぎん刺しの模様を投影するライトもあり、ライトをつけると、天井にこぎん模様がパッと浮かび上がります。津軽金山焼の茶器にも、津軽こぎん刺しの模様があしらわれていました。

玄関の行灯や障子のデザインも、こぎん刺しに使われている文様で統一。聞けば、部屋ごとにテーマとしている文様は異なるのだとか。

「モドコ」と呼ばれる津軽こぎん刺しの基礎模様は、約200~300種が文献などに記録されていて、今回は、その中でも明るかったり、縁起の良いイメージがあったりする、41種類の伝統的なモドコを採用しました。

この模様にどんな意味があるのか考えながらくつろぐのも楽しそう! 別の部屋も気になります。

■そろそろ自分でも刺してみたくなる!

ここまでとことんこぎん刺し推しだと(笑)、「じゃあ刺してみましょうか」という気持ちになるものですが、そのあたりはご安心を(笑)。

1階のトラベルライブラリーには、オリジナルの紙製のしおりを使い、無料でこぎん刺しを体験できるキットが用意されていました。より本格的に楽しみたいなら、有料(1,000円、3セット限定)の貸し出しキットもあります。

また、トラベルライブラリーの奥では、こぎん刺しのアイテムも販売しているのですが、ピアスやコースターなどがとてもかわいらしく、ついお財布の紐が緩んでしまいます。ここに来るまで、こぎん刺しにまったく興味などなかったはずなのに!

話はズレますが、トラベルライブラリーのバーカウンターには、コーヒーメーカーやポットが置いてあり、24時間、自由に飲み物がいただけます(うれしい!)。

ここでいただけるりんごのお茶が個人的に大ヒットでした。自然な甘さに癒されるんです。すっかりハマってしまい、帰りに売店で購入しました。

■季節ごとに表情が変わる「津軽四季の水庭」

さて、リニューアルのもうひとつのポイントは、1階ロビー奥の「津軽四季の水庭」。「津軽金山焼」や伝統工芸品・津軽びいどろの「浮き球」が配された、シックで可憐な空間です。水辺にせり出したテラスで、ゲストは思い思いの時間を過ごすことができるのです。

日が沈み、津軽びいどろの浮き球に灯が入る頃には、土曜日限定で水庭に浮かぶ舟の上で津軽三味線のライブ演奏が開催され、幽玄な世界に力強くも美しい津軽三味線の音色が響き渡ります。

奏者は、津軽三味線全国チャンピオンの渋谷幸平さん。雨の日や土曜日以外でも大丈夫。毎晩21時から、日本画の巨匠・加山又造氏が描いた壁画の前で、渋谷さんとスタッフによる津軽三味線の生演奏が行われています。

演奏後には、津軽三味線を体験する時間も。「え、無理無理~」と躊躇するのですが、渋谷さんやスタッフがやさしく指導してくれるので、いっぱしの三味線奏者になった気分が味わえますよ。

■「横綱」を上回る「行司」評される温泉とは?

「界」は温泉旅館。温泉の情報もマストでしょう。そもそも温泉は、「界 津軽」の最大のウリのひとつ。「界 津軽」で楽しめる大鰐温泉は、歴代津軽藩主も愛した名湯中の名湯。江戸時代の全国温泉番付で、草津や有馬が称された「横綱」以上に評価が高い、「行司」と評価されているんです。

ペーハー値はなんと7.6。とろっと、肌にやさしい弱アルカリ性の「美人の湯」です。樹齢2千年を超える古代檜の湯殿から眺める津軽の景色の美しさも、滞在中、何度でも足を運び、脳裏に焼き付けたくなるほど。温泉に青森ヒバのりんご(夏場以外は本物のりんご)が浮かべられているのも風流です。

■こんな食べ方があったとは! 鮑の「氷しゃぶしゃぶ」に悶絶

温泉旅行に「おいしい郷土料理」は欠かせません。日本海、太平洋、津軽海峡と、豊かな漁場に囲まれた青森では、どの季節にいっても、質の高い海産物が味わえます。

私が今回いただいたのは、夏に旬を迎える鮑。親潮と黒潮がぶるかる三陸の海の海藻類はミネラルたっぷり。その三陸の海藻類を食べて育つ三陸の鮑がおいしいのは素人の私にも想像が難くありません。

旬を迎える夏はとくに身も太くなるのだとか。これを「氷しゃぶしゃぶ」でいただくんですよ、なんと贅沢なことでしょう(笑)。

良質で新鮮な鮑をさっとお湯にくぐらせ、冷たい八方出汁につけて、いただきます。出汁のほか、藻塩、肝だれ、オリーブオイルも用意されているのですが、どれもこれも個性があり、そして美味。

次の1枚はどうやって食べるべきか、迷いながらしゃぶしゃぶするのがまた楽しいんですよね。鮑そのものの味わい方も、コリコリとした食感が楽しめるお造りから、しっかり火を通して柔らかくしたものまで、自分でチョイスできるのも乙。

そうそう、付け合わせもワカメも侮れません。なんといっても、世界に誇る三陸産です。歯ごたえがあり、潮の香りが上品に漂い、存在感抜群です。かなりの量でしたが、ペロリといただいちゃいました。

■秋は大間のマグロをたっぷりと

秋から冬(9月から2月)にかけては、大間産まぐろの季節の到来です。青森といって、多くの人がまっ先に思いつくのは、「黒いダイヤ」とも称される大間のまぐろ、ですよね?

「界 津軽」では、お造り、握り、まぐろ節で出汁をとった牛しゃぶ鍋、〆の漬け丼など、まぐろ尽くしの会席がいただけるのだとか。春はこぶし大の小さな蟹「とげくり蟹」が登場します。

地元では「花見蟹」と呼ばれる、この蟹の身をハーブでふんわりと蒸して仕上げていただくのだとか。これもおいしそう! 想像しただけでお腹が空いてきました。

「界 津軽」が位置する津軽地方は、青森県の中でも一年を通して四季の移ろいをはっきり感じられるエリア。春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色を愛でるのも楽しそうです。自慢に水庭にも、枝垂れ桜や色鮮やかに紅葉するもみじなど、さまざまな木々が植えられています。

青森の旬の味覚と風景を愛でに、季節をかえて足を運びたい宿です。気の置けない友人や恋人との旅はもちろん、母娘旅行にもおすすめですよ。鮪を食べがてら、そろそろ、りんご茶も仕入れにいかないと!

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長谷川 あや

フリーランスライター。出版社勤務後、フリーに。食、旅、エンタメなど、ライフスタイル系を中心に、雑誌、ウェブ媒体などに執筆。共著に、『魅惑のミュージカル鑑賞入門』(世界文化社)、『日経エンタテインメント! 大人のディズニーSp...

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