性交後憂鬱(PCD)とは? セックス後の憂鬱の原因と対処法を産婦人科医が伝授
性交後憂鬱(PCD)は、セックス後に感じる憂鬱感や無気力感のことです。「性交後憂鬱/性交後の情緒不安定(post-coital dysphoria、通称:PCD)」と呼ばれます。セックス後に憂鬱な気持ちになる可能性は誰にでもあるのだとか……。症状や原因、対処法を産婦人科医に聞きました。
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セックス後、幸福感で満たされる人もいれば、セックス後、ブルーな気分になる人もいます。そう聞くと、セックス後、男性が虚脱感や虚無感をおぼえる時間、通称「賢者タイム」を連想する人も多いのでは。
でも、セックス後に憂鬱な状態になるのは男性だけではありません。女性もセックス後に気持ちが落ち込むことがあるのです。
セックス後に起こる、性交後憂鬱(PCD)の定義と症状
女子大生230人に行った海外の調査によると、46%がこれまでに一度はセックス後につらい状態になったことがあり、さらに5%は過去数カ月に数回、同様の症状に悩んでいたと回答しています。
セックス後に落ち込みや悲しみ、無気力などの感情を抱いたことのある女性は、半数近くにも及ぶことがわかったのです。
こう話すのは、オリーブレディースクリニック麻布十番 院長 山中智哉医師。性交後憂鬱の症状が起きるメカニズムは研究途中にあるといいますが、セックス時に分泌されるホルモンが影響しているのでは、と山中医師は指摘します。
性交後憂鬱の原因は、“ホルモン”と“心理的要因”
セックス後、人のホルモンバランスは大きく変化します。その体の仕組みは、どんな人でも、そしてどんなに愛するパートナーとのセックスで満たされたとしても、興奮が冷める時間帯が来ることを表しています。つまり、程度の差はあれ、誰でも性交後憂鬱になり得る可能性があるということ。
ただ、ホルモンバランスの変化だけでなく、性交後憂鬱を引き起こす“引き金”が精神面にある場合も考えられるといいます。
性交後憂鬱という症状は、真剣に関わっている相手との間にも生じる傾向があり、『セックスをしても、相手との関係がこれ以上深まることはない』という思いが、それを引き起こすこともあるようです」
性交後に起こる気分の変化については、以下の記事でも解説しています。参考にしてみてください。
▷関連記事:「賢者タイムとは? 女性にも訪れるエッチ後の時間」
性交後憂鬱の対処法:実践してみて
性交後憂鬱は、「病気」と診断されるものではありません。そのため、山中医師のもとへ相談に来た患者さんはまだいないそうです。でも、もしもこの悩みを抱える人がいたら、医師としてどんな言葉をかけるのでしょうか。
同じ相手とセックスした後、性交後憂鬱になる場合
たとえば、相手が事後にすぐタバコを吸いにいったり、シャワーを浴びにいったりと、自分から離れることが『悲しい』と思っていても、理性で自分を無理に納得させ、我慢していることも考えられます。相手と話し合って、事後の過ごし方を模索してみてください」
どんな相手とセックスした後も、性交後憂鬱になる場合
セックスに対する思想が相手と違う場合、気持ちの置き場が不安定になることもあります。自分の中で性・セックスについて、何か引っかかっていることがあるのかもしれない、と自分に問いかけてみてください」
山中医師はピルを服用するのもひとつの手だと話します。「ピルを飲むことで体内のホルモンバランスが整い、大きな変動をなくすことはできます」。
セックス後、気持ちが落ち込むことは、誰にでも起こり得ること。だからこそ、そのような状態になっても、深く思い悩む必要はないといえます。自分自身やパートナーと向き合うと共に、もし不安に感じるなら婦人科やメンタルクリニックに足を運んでみてください。
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Text/池田園子
【取材協力】医師プロフィール
山中 智哉(やまなか ともや)先生
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。現在、東京都内のクリニックにて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療をおこなう。
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