夏休みの宿題を最後にやった人は、老後が大変!?
先日、ファイナンシャル・プランナー向けの研修会で、NHK Eテレ「オイコノミア」でお馴染みの大竹文雄さん(大阪大学社会経済研究所教授)とご一緒させていただき、「行動経済学」のお話を伺いました。 普通の経済学は、基本的に「合理的に考え行動する人」を前提としているのですが、実際には感情や心理の影響を受け、非合理的に動いてしまうのが人間というもの。そこで、こうした心理的な側面を考慮して、人がどのように選択をするかを実験・検証するのが行動経済学です。
先日、ファイナンシャル・プランナー向けの研修会で、NHK Eテレ「オイコノミア」でお馴染みの大竹文雄さん(大阪大学社会経済研究所教授)とご一緒させていただき、「行動経済学」のお話を伺いました。
普通の経済学は、基本的に「合理的に考え行動する人」を前提としているのですが、実際には感情や心理の影響を受け、非合理的に動いてしまうのが人間というもの。そこで、こうした心理的な側面を考慮して、人がどのように選択をするかを実験・検証するのが行動経済学です。
この分野で有名なのが、「100万円得した喜びよりも、100万円損した痛みの方が2.5倍くらい大きい」という説。たとえば株に投資して値下がりしたとき、なかなか損切り(株を手放して損を確定すること)ができないのは、痛みを避けようとするからなのですね。
これ、恋愛も同じ。
長年つきあっている男性がいて、彼との将来はなさそう……と気づいているにもかかわらず、ずっと別れられずにいるということはありませんか?
これも、1人になるのが寂しいということ以上に、これまでの選択を否定する痛みが大きいから。過去の時間を損失だと認めたくないわけです。
経済学では、既に支払ってしまって、もう戻ってこない費用や労力、時間のことを「サンクコスト」といいます。彼に注いだ時間や愛情(場合によってはお金)はまさにサンクコスト。それにこだわり続けて、新しい出会いを逃してしまうかもしれないのに! 見込みがない相手とはさっさと別れ、「次行こう、次!」というのが、合理的な選択といえます。
あ、話がそれました。
大竹教授の講演の中で私が一番面白いと思ったのは、夏休みの宿題に対する考察。
皆さんは、夏休みの宿題を早めにやってしまうタイプですか?
それともギリギリまで放っておいて、最後にあわててやるタイプ?
なんと、消費者金融でお金を借り入れたり債務整理になったりした人は、夏休みの宿題を最後にしていた割合が高いそう。また、肥満になっている人も後回しのタイプが多いそうです(ちなみに私は最初の3日で片づけてしまうタイプですが、BMI値は相当高いから、例外もあるみたい(笑))。
一般的に、人は遠い将来のことより、目先の喜びや利益を優先しやすい傾向があります。そしてその傾向が強い人(宿題を後回しにして先に遊んじゃうタイプ)ほど、「ああ、もっと早くやっておけばよかった」と後悔することになるわけです。
太ってしまってからあんなに食べなきゃよかった、歳をとってからありったけ使ってしまわずにもっと貯金しておけばよかった……ってね。
これは私の勝手な印象ですが、DRESSの読者には、宿題を最後にやるタイプが多いように思います。そして、そういう人は、老後のための貯蓄を今スグに始めることをおススメします!
預金でも個人年金でも投資信託でも、方法はなんでもいいから、強制的に貯蓄させられる「積立」を始めることが肝心です。金利や手数料なんて些細なお話。全額使ってしまうことを思えば、ずっと豊かな老後を迎えられることでしょう。