「家、買うべき?」アラサー女性が見極めるためのふたつのポイント
同棲、結婚、独立、出産……。仕事でもプライベートでも、女性の人生にはさまざまなライフイベントが待ち受けています。人生の節目にまず考えたいのは、お金のこと。「こんなとき、どんな制度が使えるの?」「老後に向けたお金の使い方もきちんと考えたい」という女性の皆さんに、フィナンシャルプランナーの荒木千秋さんがアドバイスします。
30歳を過ぎると、女性の生き方はどんどん枝分かれしていきます。
マイホームを購入したり、結婚して子育てをしている友人を見て、
「結婚するつもりもないし、これからどうやって生きていこうかな……」
と、立ち止まって考えてしまうこともありますよね。
ひとり暮らし歴が長くなってきた人は、“家を買うか、買わないか問題”が、頭にチラついてくる頃かもしれません。
「家を買う」というのは、人生の中でも大きな決断です。
今回は、アラサー女性が「住宅を買うか、買わないか」を判断するためのふたつのポイントをご紹介します。
■まずはふたつのポイントをチェック!
【ポイント1】帰る実家がある? ない?
家を買うかどうかを考えるにあたって、一番大切なのは「老後の暮らし」 です。
もちろん今の暮らしも大切ですが、「家を買うか、買わないか」を選択するには「老後をどうするのか?」を想像することが必要です。
「そんな先の話、考えられない!」と思う気持ちもわかりますが、ちょっと考えてみてください。
「老後は地元に戻って、実家に住む」という選択肢があるなら、今大きな住宅ローンを背負わなくてもいいのです。将来実家に住むことを想定し、住宅ローン分のお金を老後の資金として貯金することができます。
一方で、「兄弟姉妹がいるから家を引き継げない」「実家には帰りたくない」という方は、住宅購入を検討してみましょう。
賃貸の最大のデメリットは、老後も家賃を払い続けること。65歳を過ぎて年金暮らしになったとき、毎月の家賃支払いの負担は思った以上に大きいものです。
家を買おうかどうしようかと迷ったら、まずは「将来実家に帰るか、帰らないか」をじっくり考えてみてください。その選択が、家を買うか買わないかの判断に大きく関わってきます。
【ポイント2】貯金がある? ない?
「よし、家を買おう!」と決めたとしても、ちょっと深呼吸……。
貯金は十分にありますか?
頭金がゼロ円でも住宅ローンは組めます。ただし、それでも住宅購入には諸費用がかかります。
諸費用とは、住宅ローンを組むために金融機関に支払う手数料、登記をするために司法書士に支払う手数料、(中古の場合は)仲介手数料など。さらに、引越し代や家具代も含めると、想像以上にお金がかかります。
これらの支払いには自己資金が必要なので、物件価格の8~10%は見積って貯金したいところです。
2500万円の物件を購入したいなら、最低250万円は準備しておくと良いでしょう。
となると、貯金ゼロ円での住宅購入はちょっと厳しい。
理想とする物件価格の10%を目標にお金を貯めておきましょう。
■住宅購入をサポートする税制を知ろう
住宅を購入すると、税制面での優遇を受けることができます。
ここでは、代表的なふたつをご紹介します。
■すまい給付金
「すまい給付金」は、消費税引き上げによる住宅購入者の負担を緩和するためにできた制度です。
収入の条件(※)があるのが特徴です。
消費税8%の場合、収入の目安が510万円以下の人は最大30万円。消費税が10%に上がると、収入の目安が775万円以下の人は最大50万円を受け取ることができます。
(※)給付額や収入の目安は、都道府県民税の所得割額を基に決定します。気になる方はすまい給付金のウェブサイトでシミュレーションができます)
■住宅ローン控除
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、一定の金額が所得税から控除される制度です。
年末時点において、最大4000万円(※)の住宅ローン残高に1%を掛けた金額が税額控除になり、最長10年間有効です。
(※)認定長期優良住宅等の場合は5000万円
たとえば、年末の時点で2500万円の住宅ローン残高があれば、【2500万円×0.01=25万円】の税額控除が利用できるのです。
消費税10%が適用される住宅を購入した場合は、控除期間が3年間延長され、13年になる予定です。
■住宅購入は計画的に!
住宅は大きな買い物です。
「今、家を購入するメリットがあるのかどうか」という短期的な視点だけでなく、老後にどんな生活をしたいかも含め、理想の生活を長期的な視点で考えてみましょう。
紹介したふたつのポイントを参考に、じっくり検討してみてくださいね。