「大人だって、和文化にはしゃいでいたい!」そんな想いを胸に、この冬「DRESS和文化部」が発足します。部長を務める下心のハルカさんが、ご挨拶と部活に込めた思いを綴ります。
新しい年の慶びを能楽堂で分かち合う──DRESS和文化部キックオフイベントを開催しました
DRESS和文化部の第一回目のイベントが開催されました。部長の下心のハルカさんによるイベントレポートをお届けします。今回は、能『高砂(たかさご)』と狂言『夷毘沙門(えびすびしゃもん)』。
2019年が明けてしばらく経ち、すっかり通常モードに入られた方も多いことかと思います。
今年発足しました和文化部では、1月5日にキックオフイベントを開催しました。
ありがたいことに募集早々すぐに枠が埋まり、10名の和文化を愛する方々と、おめでたい能・狂言を拝見し、新年のお祝いを交わしてまいりました。
会場となった国立能楽堂のロビーには、立派な鏡餅が飾られていました
■能・狂言で出会うにっぽんの神様
能『高砂』で使用する面。前場では「尉」と「姥」、つまりおじいさんとおばあさんの姿をした松の精が現れる
今回のイベントで拝見した演目は能『高砂(たかさご)』と狂言『夷毘沙門(えびすびしゃもん)』。
数ある曲の中でも「脇能(わきのう)」、「脇狂言(わききょうげん)」と呼ばれるジャンルの一曲で、どちらも神様が登場するという、お正月にぴったりの演目でした。
能『高砂』は、「高砂やこの浦舟に帆を上げて……」という有名な詞章(ししょう)が結婚式でよく謡われていたということもあり、能の中ではメジャーな一曲と言えるでしょう。
結婚式で謡われるため、もとの能も祝言の色が非常に強いものです。
高砂に立つ「相生の松」をモチーフに、夫婦の和合や長寿、御代の祝福、そして和歌の素晴らしさを、美しい詞章をもって祝福した世阿弥の名作です。
能は、人間の普遍的な情を悲劇にのせて描く側面もありますが、それだけではなく、今回の『高砂』のように、生の喜び、曲そのものが賛歌とも祈りとも言えるような清らかさをたたえる側面もあります。
室町時代を生きた世阿弥の作品が今もこうして愛されていることに、改めて人間が長きに渡り心を寄せてきたもののなんたるかを感じずにはいられません。
能舞台にはお正月ならではの注連飾りが
狂言『夷毘沙門』は、七福神でおなじみ、恵比寿天と毘沙門天のふたりの神様が登場します。しかし、およそ言動が神様らしくなく、ある金持ちの娘婿に志願し、どちらが婿にふさわしいか主張し合うのです。
狂言は面を着けず、囃子(楽器演奏)がつかない曲の方が多いのですが、今回の『夷毘沙門』はそのどちらもついて、曲の楽しさも相まってなんとも豪華なひとときでした。
■終演後は国立能楽堂の舞台を独占!
終演後は国立能楽堂の担当者さんに、能舞台の説明をしていただきました。
今年35周年を迎える国立能楽堂の舞台は、江戸城内に建てられた能舞台を模してつくられたそうです。江戸時代の人々がどのように能を観ていたか、そして松が描かれる「鏡板」の裏話など、興味深いお話を伺うことができました。
音響効果を高めるために舞台の下に甕(かめ)を設置するなど、能舞台には見えないところにさまざまな仕掛けがあります。国立能楽堂の能舞台には甕は設置していないそうですが、舞台によって演者の踏む足拍子の響きも変わってくるそう。
またオススメの鑑賞方法として、「作者しばりで観能を重ねるのもまた楽しい」とのこと。今回見た『高砂』は世阿弥の作品。優れた能役者であった世阿弥は能の作者でもあり、今なお傑作と評される多数の作品を生み出しました。
音に集中して耳を鍛えてもいいし、作品性に注目して見比べてみてもいい。改めて能楽の世界の多様な楽しみ方に舌を巻くばかりです。
今回のイベントには、能がお好きな方、華道、お着物、地唄舞(じうたまい)など、さまざまな和文化に親しんでいらっしゃる方に多くお越しいただきました。
ご参加くださった皆様とともに、新しい一年のスタートを爽やかな「脇能」「脇狂言」で迎えられたことを心から感謝いたします。
和文化部では3月にもイベントを開催します。
日頃から和文化に親しんでいる方から、触れてみたいという方まで、たくさんの方と和文化の世界を歩んでいけたら幸いです。
今後ともDRESS和文化部をどうぞよろしくお願いいたします。
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