映画『おかえり、ブルゴーニュへ』感想。ここは私たちを結ぶ場所。
ワインは、お好きですか? 【シネマの時間】第47回は、フランス・ブルゴーニュを舞台に芳醇な余韻のヒューマンドラマ、映画『おかえり、ブルゴーニュへ』をお送りします! 人生の四季を巡るすべて大人たちへ。11月17日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!
こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。
ボジョレー・ヌーボーも解禁となりワインを楽しむ機会の多い季節ですね。
【シネマの時間】第47回は、フランス・ブルゴーニュのワイナリーを舞台に、10年ぶりに再開した3兄弟の人生を描いた珠玉のヒューマンドラマ。映画『おかえり、ブルゴーニュへ』をお送りします!
『スパニッシュ・アパートメント』(01)、『ロシアン・ドールズ』(05)、『ニューヨークの巴里夫』(13)からなる〝青春三部作″の完結から4年。現代フランスを代表する人気監督セドリック・クラピッシュによる話題の最新作。
四季折々の美しい自然を背景に、ブドウの栽培や収穫、破砕や発酵〜熟成といった一連のワイン醸造過程も見どころで、3兄弟のワインへの情熱も感動的です。
仏原題『Ce qui nous lie』の意味は、「私たちを結ぶもの」。
映画を観終わった後には、芳醇な余韻に浸りながらフランス・ブルゴーニュへ思いを馳せ、自分のルーツや子どもの頃のことを語り合ったり、ワインをとにかく呑みたくなる映画です。
是非、映画館でお楽しみください!
11月17日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!
■映画『おかえり、ブルゴーニュへ』あらすじー故郷フランス・ブルゴーニュのワイナリーを継ぐため、10年ぶりに再会した3兄弟のヒューマンドラマ。
ワインの世界的名産地フランス・ブルゴーニュにあるドメーヌの長男ジャン(ピオ・マルマイ)は、10年前、世界を旅するために故郷を飛び出し、家族のもとを去りました。
その間、家族とは音信不通でしたが、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷ブルゴーニュへと戻ってきます。
家業を受け継ぐ妹のジュリエット(アナ・ジラルド)と、別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミー(フランソワ・シビル)との久々の再会。
しかし、回復することなく父親は亡くなってしまいます。
残されたブドウ畑や自宅の相続をめぐってさまざまな課題が出てくるなか、父親が亡くなってから初めてのブドウの収穫時期を迎えます。
3人は自分たちなりのワインを作り出そうと協力し合いますが、一方で、それぞれが互いには打ち明けられない悩みや問題を抱えていました……。
10年ぶりに故郷へ戻った長男ジャンは、妻との離婚問題を抱えており、家業を次ぐ長女ジュリエットはワイン作りの才能を持ちながらも働き方に悩んでいました。
また、末っ子のジェレミーは別のドメーヌの婿養子となり舅問題にぶつかっています。
見渡すかぎりの葡萄畑、遮りもののないどこまでも広がる大空、風にそよぐ木々。
ブドウ栽培〜ブドウの収穫〜破砕や発酵〜熟成までのワイン醸造過程と、ブルゴーニュの美しい四季を丸1年かけてじっくりと映し出した本作。
あふれる自然とめぐるめく季節の中で10年ぶりに再会した3兄弟のワイン造りの情熱と、それぞれが迎える人生の岐路を、共感と郷愁を持って情感たっぷりに丁寧に重ね合わせて描いています。
■ブルゴーニュワインについての豆知識
ブルゴーニュは、フランス南西部のボルドーと並び賞される、フランス東部の内陸に広がる世界で最も有名なワイン産地です。
比較的冷涼な大陸性気候で、乾燥しがちであること、そして1日の寒暖差があることから、ピノ・ノワールやシャルドネなどのブドウ品種の栽培に適し、2015年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界的に有名な高級ワインとして知られるロマネ・コンティなどの魅力的な赤ワインを生産するほか、白ワインの女王・シャルドネの故郷であり、シャブリで有名な地域です。
ワインの醸造における違いは、ボルドーが数種類のブドウ品種をブレンドするのに対して、ブルゴーニュでは単一品種で醸造する点です。
赤ワインなら主に黒く紫身を帯びた果皮が特徴的なピノ・ノワール、白ワインなら果皮が緑色の白ワイン用ブドウ品種の代表格シャルドネが用いられます。
最高級ワインだけでなく手頃な価格のものもあり、日本でも人気のボジョレー・ヌーボーもまた、ブルゴーニュ地方のワインです。
■ドメーヌとは?
映画では、ドメーヌであるワイナリーを継ぐため、10年ぶりに再会した3兄弟の物語が描かれています。
ドメーヌとは、ブルゴーニュ地方のワイン生産者を表す用語。
自分のブドウ畑を所有し、栽培からワインの醸造までをすべて行うワイン生産者のことです。
そのため、一般的に家族経営の小中規模のワイナリーが中心です。
自らの畑のテロワール(土壌)を知り尽くしているため、丁寧にブドウを栽培し、それぞれの土地の影響を受けた味わいの個性的なワインを造ります。
ただし、その年のブドウの良し悪しによってはワインの品質が変わりますし、醸造技術も反映されるため、ワインの出来にはドメーヌ間で優劣の差があります。
有名なドメーヌとして挙げられるのは、ロマネ・コンティ社です。
なお、ブルゴーニュワインの出自は、主にブドウの仕入れ方法の違いにより「ドメーヌ」と「ネゴシアン」のふたつに分かれます。
ネゴシアンとは、ワイン業者という意味で、ブドウ農家から買い入れたブドウやワインを使用して、ワインの醸造・熟成・販売を手がける酒商のことです。
映画『おかえり、ブルゴーニュへ』作品紹介
映画『おかえり、ブルゴーニュへ』は、11月17日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、 YE BISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー!
公式サイト:http://burgundy-movie.jp
原題:Ce qui nous lie
監督:セドリック・クラピッシュ
脚本:セドリック・クラピッシュ、サンティアゴ・アミゴレーナ
撮影:アレクシ・カビルシーヌ
美術:マリー・シェミナル
衣装:アン・ショット
編集:アン=ソフィー・ビオン
音楽:ロイク・デュリー、クリストフ・ディスコ・ミンク
日本語字幕:加藤リツ子
製作年:2017年
製作国:フランス
上映時間:113分/カラー
映倫区分:PG12
後援:ユニフランス
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2016 - CE QUI ME MEUT - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA
映画『おかえり、ブルゴーニュへ』キャスト
ピオ・マルマイ=ジャン
アナ・ジラルド=ジュリエット
フランソワ・シビル=ジェレミー
ジャン・マルク・ルロ=マルセル
マリア・バルベリデ=アリシア
【シネマの時間】
アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
©︎YUMIMOROTO
本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。