【今からできる相続対策#3】「息子の嫁」に遺産をあげたい場合の4つの対策
「長男の嫁、息子の嫁に世話になったので、遺産を残したい」と考えているのであれば、何らか対策が必要です。今回は4つの対策を司法書士の清澤さんに解説してもらいます。
介護が必要になったとき、誰かにお願いすることになるでしょう。想定されるのは、配偶者、息子、娘のほかに「息子の嫁」です。なかには実子よりも役に立ち、献身的に面倒を見てくれるお嫁さんもいるでしょう。そんな息子の嫁に遺産をあげたいと思ったら、何かしらのアクションが必要です。
配偶者と子供がいる場合、法定相続分は配偶者と子供が1/2ずつとなります。
つまり、子供の配偶者(息子の嫁、娘の婿)には相続権がありません。たとえ息子の嫁が家業を手伝ったり、身の回りの世話をしてくれたり、いろいろ役に立っている存在でも(あるいはその逆でも)、相続までに何のアクションも取らないと、一切遺産が渡りません。
では、息子の嫁にも財産を残したいときはどうすればいいのでしょう。
考えられる対策は4つあります。
■「遺言書作成」か「養子縁組」を
1.遺言による遺贈
遺言を作成し、たとえば「長男の嫁〇〇に△△を遺贈する」という旨を記しておくことです。なかでも公正証書遺言で記しておくと信頼性が高く、遺言内容が実現する確率が高まるでしょう。
2.息子の嫁と養子縁組する
養子縁組をすることで、民法上では息子の嫁と親子関係になります。すると、法定相続人のひとりになり、遺産が渡るようになります。もし、息子夫婦が離婚した場合、離婚手続きとは別に、養子縁組解消の手続きを取る必要があります。
そうしないと、離婚しても親子関係は継続し、相続権が残ったままになります。
この状態で相続が発生すると、高確率でトラブルになるでしょう。
■「生命保険」や「生前贈与」といったダイレクトな対策もあります
3.生命保険の受取人にする
生命保険金の受取人を息子の嫁にしておくと、感謝の気持ちがスムーズにかたちとなるでしょう。
ただし、息子の嫁は法定相続人ではないので、「500万円 × 法定相続人の人数」という「死亡保険金非課税枠」が適用されません。
4.生前贈与する
息子の嫁に、ダイレクトに生前贈与することで、遺産が渡るようになります。金額によっては贈与税がかかる場合がありますが、相続しない息子の嫁への贈与は、死亡前3年以内の相続財産に加算されません。
ただし、息子の嫁が、遺言で遺贈により財産を取得したり、養子縁組で法定相続人となり、結果的に相続もしくは遺贈により財産を取得すれば、相続開始前3年以内の加算の対象となります。これは相続3年以内加算されるのは、相続(遺贈)により財産を取得した人に限られるからです。
このように、息子の嫁にも遺産をあげたい場合、何かしらの対策が不可欠です。