もう断捨離はしたくない方へ。「幸せなクローゼット」を育てませんか
「プチプラ服を大量に買っては、大量に断捨離して後悔」を繰り返している方がいたら、そろそろクローゼットを見直す時期に来ています。今クローゼットの中にある服は、ご自身が過去に選択してきたあなた自身。それが好きになれないということは、自分自身を認めてあげられないのと同じだから。幸せなクローゼットの作り方、ここにあります。
■「自分歴」の長い大人になってからが、おしゃれの本番
かつて小説家フランソワーズ・サガンが来日したとき、「日本のテレビには子どもばかり出ているけど、日本の大人たちは子どもを見るのが好きなのかしら?」と言った、というエピソードがあります。
フランスでは、たとえ金持ちの子でも若者が高価な服を買う自由など与えられないのが普通で、フランス人のお得意のエレガンスは大人だけに許されるもの。「若い」ことが至上の価値で、「若く見える」が褒め言葉の日本の価値観は、彼女の目には不思議なものに映ったことでしょう。
私にも、岩のような肩パットが入り、なめらかなシープスキンの1枚革で作った高価なスーツを着て、肩で風を切って歩いていた恥ずかしい20代のときがありました。
シープスキンの1枚革なんて、お肌の色がまろやかになり、風格が出てくるマダムだからこそ似合うもの。自分にふさわしいものを見極められないのはお子ちゃまです。なぜなら自分が何者なのかがわかっていないからです。
どの角度から見た顔が一番美しいのか、さりげなく服でカバーすべき体型の弱点はどこなのか、どのくらいの食事や運動が健康に過ごせる適量なのかーー。
自分との付き合いが長い女性だからこそ、自分のことを一番よく知っている。それこそが大人の女性の魅力です。経済力も伴い要領の良さも身につけ、さてここからが大人のおしゃれの本番。
■変身番組の不思議。自分不在のおしゃれは大人ではない
「あなたをおしゃれに変身!」などというテレビ番組があまり好きではありません。パワフルな女性社長がトレンドのカラーフレアスカートなどを着ても、それがポジションにふさわしく、自身の個性を際立たせるファッションとは言えないと思うからです。
1年365日の服装をスタイリストにお願いするのでない限り、住む家を自分で決めるのと同じく、自分のクローゼットの中身は自分で決めるべき。人に丸投げなんてできません。
また、もしも今あなたが、「プチプラの服を大量に買っては、大量に断捨離して後悔」を繰り返しているとしたら、そろそろ本気でクローゼットを見直さなければならない時期です。
今あなたのクローゼットの中にある服は、あなたが過去に選択してきたあなた自身。それが好きになれないということはこれまでの自分を認めてあげられないのと同じだから。
■何を買わないか、その潔さがスタイルのある女性を作る
では、「スタイルを持った大人の女性のクローゼット」は、どんなふうに作ればいいのでしょう。
私は16年間ファッション業界で仕事をし、おしゃれな女性をたくさん見てきて気づいたことがあります。それは「スタイルがあって素敵だな」と感じるベテラン社員ほどあまり服を買わないということ。セールにも行きません。そして「同じ型の色違いが整然と並んでいるクローゼット」を持っています。
なぜなら彼女たちは若い頃から膨大な数の服に接してきて、どんな服が自分を魅力的に見せるかを熟知し、そうでない服を潔く切り捨てているからです。何を買うかより何を買わないか。いかに不要な服を買わないかが大切。その潔さこそが、スタイルのある女性への近道です。
私が考案したオリジナルメソッド「クローゼットマップの法則」では、以下の3タイプの服を買わないことをポイントにしています。
(1)靴(ライフスタイル)に合わない服を買わない
(2)体型に合わない服を買わない
(3)快適さとときめきがない服を買わない
ハイヒールを履いて一時的に脚長さんに変身できたとしても、その方が1日外回りをする営業職だったりしたら、そのファッションは生活には根づきません。
試しにあなたの靴箱にある靴を、5センチヒール、スニーカー、先の尖ったペタンコ靴……などと種類ごとに並べてみてください。あなたが一番たくさん持っている靴が、毎日を快適に過ごせるタイプの靴ではないでしょうか。
そして、靴とボトムスには相性があります。例えばひざ下から足首までをできるだけ見せたくない方が、タイトスカートにスニーカーを合わせるのは厳しいですよね。まずはあなたの「よく履く靴×よく履くボトムス」の組み合わせは何か? を分析してみましょう。
■自分を素敵に見せる組み合わせを絞り込む
●1番多い組み合わせ=「ワイドパンツ×スニーカー」
●2番目に多い組み合わせ=「フレアスカート×3センチハイヒール」
こんなふうに数種類の組み合わせに絞れたら、あとは簡単。それ以外の型のボトムスを買わないようにするだけです。実は毎日のコーディネートに悩む方ほど、さまざまな型のボトムスやトップスを持ちすぎていて、毎回違う組み合わせをしようと四苦八苦していることが多いのです。
靴とボトムスの組み合わせがある程度絞り込めれば、トレンドだからといってむやみに服が増えることはなくなりますし、スタイルがいつも一定の、軸のあるおしゃれが完成します。
また、服の枚数に上限を設けることも重要です。標準的な180センチ幅程度のクローゼットひとり分に収納できる適切な服の枚数は50枚程度。それ以上増やすと、服がぎゅうぎゅう詰めになって取り出しにくいし、すべての服が見渡せる状態にしておかないと、忘れたまま着ない服が多くなるからです。
本当に必要な服だけを厳選して持ち、ていねいに着尽くして処分する。そうした姿勢でいることもまた、大人の女性が素敵に見せるのではないでしょうか。
このような大人のおしゃれとクローゼット作りのノウハウが1冊にまとまった本を書きました。
『「いつでもおしゃれ」を実現できる幸せなクローゼットの育て方』(ディスカヴァー・トウェンティワン)
私が長いアパレル人生で見てきた大人女性のお悩みポイントにお答えし、3つのステップで誰もが「いつでもおしゃれ」を実現できる方法です。
(1)いつでもおしゃれを実現できる「クローゼットマップの法則」
(2)重力に逆らう「美シルエットの法則」
(3)誰でも色使いの達人になれる「3/4色法則」
毎朝クローゼットを開けたとき、心がウキウキときめくような、大人のクローゼットを作ってみたい方は、ぜひお手にとっていただけたら嬉しいです。
デキる女の決断クローゼットに関する記事|DRESS [ドレス]
https://p-dress.jp/keyword/key_2765できる女性は持ち物が違う。フラワーアレンジやブーケの押し花を制作する(有)モナミアンドケイ代表のワコモナミさんの連載です。個性を活かした賢いファッション、アクセサリーなどの小物など、かしこく綺麗に収納する方法がわかります。