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女性も観て、参加してしっかり楽しめる【モータースポーツの世界#1】

あまり馴染みがなかったり、難しそうだったりするイメージがあるモータースポーツですが、ここ最近のモータースポーツは、女性にとってとっつきやすい分野になりつつあります。#1では「モータースポーツとはどんな世界なのか」についてお伝えします。

女性も観て、参加してしっかり楽しめる【モータースポーツの世界#1】

レーシングドライバー、山田遼と申します

はじめまして。レーシングドライバー・ドライビングアドバイザーとして活動している山田遼と申します。実は厳密に言うと「はじめまして」ではなくて……。

約1年半前に『DRESS』さんで紹介していただきました。

【レーシングドライバー・山田遼 インタビュー】(全3回・取材、構成=鈴木ユミコさま)

この世界に入るきっかけを作ってくれたのは両親【レーシングドライバー・山田遼選手インタビュー #1】

https://p-dress.jp/articles/2363

レーシングドライバー・山田遼選手のインタビューを3回に渡ってお届けします。<第1回>

熱くなりすぎないのが自分の強み【レーシングドライバー・山田遼選手インタビュー #2】

https://p-dress.jp/articles/2364

レーシングドライバー・山田遼選手のインタビューを3回に渡ってお届けします。

【レーシングドライバー・山田遼選手インタビュー #3】

https://p-dress.jp/articles/2365

レーシングドライバー・山田遼選手のインタビューを3回に渡ってお届けします。<第3回>

僕がどんな人間なのかは、上記インタビュー記事を読んでいただくとして、ここ数年の活動について書いていきますね。

上記インタビュー取材の後、2016年終盤はお手伝いしていたチームより、「スーパー耐久」というレースへの参戦が叶い、スーパーFJ(S-FJ)日本一決定戦にも参戦しました。

昨年、2017年は富士チャンピオンレースのFCR-VITAというカテゴリーにシリーズ参戦し、シリーズチャンピオンを獲得しました。

また、シーズン後半には前年と同じチームよりスーパー耐久(S耐)・富士10時間耐久レースに参戦し、レーシングカーメーカーのマシン開発も兼ねて再びS-FJにも参戦しました。

昨年共にFCR-VITAを戦ったVITA-01。エンジンはトヨタ・ヴィッツの排気量1500ccのモノを搭載していますが、車重はドライバー込みで約600kgと軽量なので意外と速い! 扱いやすいレーシングカーです。(撮影:久家均様)

FCR-VITAではシリーズチャンピオンを獲得しました。(撮影:久家均様)

S耐・富士10時間耐久レースに参戦。9月頭の残暑の中、なかなか過酷なレースでした……。

S-FJには新型マシン開発もかねての参戦でした。(撮影:槙俊和様)

ここ数年は、アマチュアドライバー向けのドライビングレッスンの講師やレーシングシミュレーション分野におけるアドバイザー業もさせていただいています。

「ただ速く走る・結果を追い求める」だけでなく、「たくさんの方々にドライビング上達の方法をお伝えし、モータースポーツを楽しんでいただく」ことも日々考えながら活動をしています。

ドライビングアドバイザーとしては、「常にその方に合ったコーチングをご提供する」、「結果はもちろん大事ではあるけれど、それだけに囚われずとにかく最後には笑顔で帰ってもらう」をモットーに活動中。(撮影:ARD Driving School様)

「モータースポーツ」とは

ただ、『DRESS』読者の皆さんには、モータースポーツに馴染みのない方も多いと思います。まずは、「モータースポーツ」とは何か、について説明させてください。

その名の通り、動力を用いて行う競技のことで、僕が専門としている車=四輪競技の他にバイクに乗って競う二輪競技、さらに意外なモノだとボートやスノーモービル、飛行機なんかも含まれます。

今回は僕が専門とする四輪競技にフォーカスして書いていきます。

F1だけじゃない! 多彩なカテゴリーがある

四輪競技の中でも、サーキット(モータースポーツ専用競技場。所謂「レース場」)や封鎖された公道コースを周回する「レース競技」と、山道や砂漠なども含む公道のある決められた区間のタイムを競う「ラリー競技」に大まかに分かれます。

僕の専門分野は「レース競技」ですが、その中でも以下のようにカテゴリ分けされています。

作:山田遼

わかりにくいですよね……。正直、僕もまとめていて、「あれ? これはどこだ?」となった部分もあります。似たようなカテゴリーもあって、ピラミッドの上下関係が曖昧になっている部分があるのも事実です。

ではまず、上表の「フォーミュラカー」について。

このように、ドライバーとタイヤがむき出しになる構造を持つ車両です(写真はS-FJ)。

このフォーミュラカーの最上位カテゴリーが皆さんご存知の「F1」。カンの良い方はもうお気づきかも知れませんが、「F1」の「F」は「フォーミュラ」のことです。ピラミッドにもある通り、数字が大きくなるほど下位カテゴリとなります。

ピラミッドの脇にある「FE」は、「フォーミュラE」という2014年に始まった電気フォーミュラカーによるレースです。カテゴリー的にどの位置にあるのかが曖昧ですが、さまざまな国から有力チームやスタードライバー(中には元F1ドライバーも!)も出場するれっきとした国際レースです。

この他にも、表には入っていませんが、アメリカでは独自の「インディカー」というカテゴリのレースが行われています。昨年、佐藤琢磨選手が日本人初制覇を果たした「インディ500」はインディカーのシリーズに組み込まれ、アメリカのモータースポーツ創成期より続く伝統の一戦です。

さて、フォーミュラカーに続き、上表の「ツーリングカー、プロトタイプ&スポーツカー」も見てみましょう。

これがツーリングカーの一例です(トヨタ・86 S耐仕様)。

「これ、普通の車じゃん!」と思う方も多いかもしれませんね。

中身は市販車とはまったく別モノです。ドアやボンネット、トランクは徹底的な軽量化を目指し、炭素繊維(カーボン)製のものに変更され、車内には衝突・横転時にドライバーを守るパイプが組まれています。

さらにエアコンや内装、競技には必要のない助手席・リアシートは取り外され、必要最小限のスイッチ類のみが配置されます。

エアコンがないので夏のレース中はとても過酷な環境になるのですが、そこにはある工夫が……。これは次回に取っておくとしましょう。

SGT、DTM以外のツーリングカーは市販車がベースとなり、ほとんどがこのようなつくりになっています。

ところで、プロトタイプ&スポーツカーはどのような車なのでしょうか。このふたつは非常に区別がつきづらいのですが、大雑把に言ってしまえば、どちらも先述のフォーミュラカーを2座席化した車体にカウルと呼ばれる外板を被せただけのレース専用車両です。

プロトタイプカーは大まかな分類ではスポーツカーに属していますが、「市販化に向けた技術のテストを行うための試作(プロト)車両」という意味合いから、規則ぎりぎりまで最新技術を詰め込んだ先進的なつくりになっています。

先ほどツーリングカーの部分の記述で「SGT、DTM以外の」という部分がありましたが、それはこれらの車両のつくりがプロトタイプ&スポーツカーに限りなく近くなっていて、ツーリングカーの中でも特殊な存在となっているためです。

ピラミッドの上位ふたつ、WEC(世界耐久選手権)とWTCR(世界ツーリングカーカップ)には世界選手権がかけられています。WECにはプロトタイプ&スポーツカーとツーリングカーが混じって参戦し、WTCRにはツーリングカーが参戦します。どちらもプロフェッショナルとアマチュアが混じって戦うレースです。

僕が最終目標としているのは、この「世界選手権のかけられたレース」です。

奥深いモータースポーツの世界

さて、ここまでモータースポーツとは何か、という基礎的なことからレース競技のカテゴリーまで、ざっくりとご説明してきましたが、皆さんにとってはまだまだ疑問の多い世界だと思います。例えば、

「プロフェッショナルとアマチュアの区別は? プロテストってあるの?」とか、

「マシンがすごいのはわかったけれど、所詮ただ車に乗ってコースをグルグル回ってるだけでしょ?」とか、

「観ていて楽しいスポーツなの?」とか……。

次回の記事では、僕自身の経験も踏まえながら、これらの疑問をすべて解決します! さらに、普段の車の運転に役立つような豆知識も得られるかもしれませんよ。

山田 遼

レーシングドライバー/アドバイザー。22歳。「世界で通用するプロレーシングドライバー」を目指し奮闘中。近年はスーパー耐久やフォーミュラなど様々なカテゴリーのレースを戦う傍ら、アマチュアレーシングドライバーやジュニアカートドラ...

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