熱くなりすぎないのが自分の強み【レーシングドライバー・山田遼選手インタビュー #2】
レーシングドライバー・山田遼選手のインタビューを3回に渡ってお届けします。
この世界に入るきっかけを作ってくれたのは両親【レーシングドライバー・山田遼選手インタビュー #1】
――ずっと夢がブレない、あきらめない夢があるってすごいですね。
「自分でもそう思います(笑)。大好きなものに早いうちに出会えてラッキーだったなと。中学時代も、みんなが学校の部活で野球やサッカーをしていても、僕はあえて文化部に入り、先生にもレーサーになる夢をちゃんと伝えて理解してもらい、毎週末にサーキットに通えるような環境を整えていました」
――首回りがとても太いですが、何かトレーニングされてるんですか?
「はい。G(重力加速度)に耐えられるよう、タオルを額に巻いて引っ張ったりして首を鍛えています。トレーニングは主に上半身を中心に行ってます」
――山田さんはご自身を、どんなレーサーだと思いますか?
「自分で言うのもなんですが、あまり熱くなりすぎないのが強みだと思っています。ハンドルを握ると急に人格が変わるタイプではありませんね(笑)」
――1番得意なサーキットコースはありますか?
「普段は富士スピードウェイ(静岡)のコースで練習したり、あとはツインリンク茂木(栃木)や菅生サーキット(仙台)にも足を運んでいます。好きなのは菅生(仙台)です。狭いけど、なぜか得意なんですよ。富士スピードウェイの広くてスピードの出るコースも難しいけど走り甲斐がありますね」
――今までで一番うれしかったこと、悔しかったことを教えてください。
「うれしかったことよりも悔しかったことの方が圧倒的に多いです(苦笑)。悔しかったことはもう多すぎて忘れましたが……今までで一番うれしかったのは2013年はじめにカートの日本一決定戦(X30 Challenge Masters Cup)で勝って日本一になったときです。前年の結果が悪すぎて、もうレースをやめるか続けるかの瀬戸際で出たレースでした。予選までダメダメだったのですが、決勝は7番スタートから一気に追い上げてトップに立ち、そのままゴールして日本一を獲得できました 。クルマのセットアップもバッチリ決まっていて、あそこまで全てが上手くかみ合ったレースはほかにないんじゃないかな、というくらい思い返しても素晴らしい内容でしたね。
チェッカーフラッグを受けた瞬間から、ヘルメットの中で前が見えなくなるほど号泣して、ピットに戻ってメカニックさんや家族と抱き合って喜んだのを今でも覚えています」
取材・構成=鈴木ユミコ