『DRESS』2月特集は「ほしいのは“前向き“肌」。肌という“基盤”は心までも左右するから、安定してきれいを維持しておきたいパーツのひとつ。自分が「お気に入り!」だと思える美肌を常に保っていれば、いつだって機嫌よく、自信を持って過ごせます。自分の肌とじっくり向き合い、お気に入りの肌を手に入れよう!
肌トラブルを減らしたいなら「体の声を聴く食事」を
『DRESS』2月特集は「ほしいのは“前向き“肌」。年齢を重ねるにつれて、肌の悩みが変わってくるなか、乾燥をなんとかしたい……と感じる方も少なくありません。今回は肌をつくる食生活を見直します。美肌をつくる食事法を皮膚科医の赤池智子先生に伺いました。
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「スキンケアはがんばっているけど、肌の悩みが絶えない……」という方は、食事に原因が潜んでいるかもしれません。肌と食事は切っても切れない関係。食習慣が乱れていると、肌にも影響が及びます。今回は、皮膚科医の赤池智子先生に「食習慣」について教えていただきました。
皮脂に困っている原因は、食事にあるかも?
過剰な皮脂や化粧崩れにお悩みの方のなかには、まずスキンケアを見直す方が多いかもしれません。しかし、赤池先生によると、食習慣に原因があるケースも少なくないといいます。
「コーヒーやチョコレート、ナッツなどの食品は、皮脂腺を活発にさせます。適切な量なら食べてもいいですが、過剰にとっていると、肌への影響が大きくなるでしょう」(赤池先生、以下同)
DRESS世代は肌が乾燥しやすい一方で、皮脂にお悩みの方も多く、皮脂腺を活発にする食品を多めにとっている方が目立つといいます。
食習慣に原因があると、いくらスキンケアを見直しても悩みは改善されません。日頃の食習慣を客観的に見つめてみて。
食習慣の見直しは、量・質・時間:食事内容だけじゃない
肌だけでなく、私たちの体は私たちが食事として食べたものからできあがっています。食事が与える影響は肌だけでなく、全身に及びます。「肌は全身の鏡」と言われるように、肌をきれいにしたいなら、つまりは体を整える食事が必要。より大きい視点から、これからの食事を根本的に考えてみてください。
「カロリーなどを気にして食事量が足りていない、または時間がなくて、外食やコンビニで買った出来合いのものをさっと食べて済ます――そんな方も多いのでは。食事は量・質・時間、すべてが大切で1日のうちどれか1食でも楽しむ余裕を持つのが大切です」
肌によい食習慣と聞くと、つい「〇〇を食べると肌によい」などといった考えに走りがち。ですが、どのくらい(量)、何を(質)、どれだけかけて(時間)食べているか、すべてが大切。美しい肌、体はこういった食事の積み重ねで、できあがるのですね。
食事は「彩り」を目安にバランスよく、ゆっくりとる
体と肌によい食事をとるには、バランスが重要です。多忙なときは、手軽にとれる炭水化物や脂を中心とした食事をパパッと短い時間で食べがちです。ビタミンや栄養素が乏しい食事や、食事時間が短いのは良くないといいます。食事時間が短いと食べすぎにつながり、消化不良を起こしてしまうことも。
「食べたものがしっかり吸収できているかどうかも大切です。そのためによく噛むのもかなり大切な秘訣のひとつ。また、多くの方が知っていらっしゃると思いますが、ビタミンB2、B6、ビタミンB12、ビタミンCは肌にとって大切な栄養素。
朝にフルーツなどをプラスするだけで摂取できます。潤いがあって、いきいきとした美肌は、ビタミンをとらずにはつくれません。ですが、またミネラルも大事です。海藻や貝などもとりたいですね」
良質なオイルを摂取することも大切です。ココナッツオイルやオリーブオイル……いろいろなオイルが最近ありますが、今までのサラダ油の代わりにこういったオリーブオイルを代わりに使うなどしてみてください。オイルの摂りすぎはご存知のように良くないですが、一切摂らないのも良くないそう。
バランスのよい食事というと、つい難しく考えてしまう方も多いかもしれません。赤池先生によると、栄養バランスを整えるコツは彩りをよくすることだそうです。
「忙しいときは、おにぎりやパンだけといったように、白や黒、茶色だけの単調な食事になりがち。サラダや温野菜、フルーツを加えるなど色を増やすように彩りを豊かにすると、自然と栄養バランスが整いますよ」
「○○だけを食べる」をやめる勇気
ビタミンは大切ですが、だからといってサラダばかりを食べたり、炭水化物を避けて動物性たんぱく質を中心にしたりと、極端に偏った食事も問題です。
「そういった偏った食事は継続が難しく、どこかで反動が必ず来てしまいます。また我慢してばかりでは楽しめません。美肌のためにはこれからずっと続けられて、精神的にも満たされることが大切です」
特定の食品ばかりを食べる「○○ダイエット」のような美容法は流行しがちですが、情報に振り回されてブームにのるのをやめてみることが大切だといいます。
「きれいになりたいのに我慢ばかり。これでは続けられません。結果として反動で食べすぎてしまったり、後で後悔して落ち込んだり、といった負のスパイラルに入り込んでしまったことがある方も多いのではないでしょうか。
お肉、お魚、植物性のたんぱく質、そして貝類、これらを主食の軸として、野菜を一緒にとってみてください。こういった食事は満足感も腹持ちもよく、栄養的にも、精神的にも満たされ、美肌を作る最強の食事だと思います」
体が冷えない食事を心がけて
冷たい食品を食べると、体が冷えてしまいがち。冷やさない食事をとることも大切だそうです。
ローフードのように酵素をとることを目的として非加熱食品を食べるブームもありますが、酵素を摂取しても結局は胃液で分解されてしまうそうです。むしろ、酵素をとるために生野菜ばかりを食べては体が冷えてしまいます。
サラダは温野菜、野菜スープにすると体が冷えにくくなりますし、カサが減って量もとりやすくなりますをサラダだけ、温野菜だけなどでなく、調理の仕方もいろいろな方法で意識したいですね。
便秘で悩まない食事、3つのポイント
きれいな肌を保つには、毎日のお通じも大切です。赤池先生は、快便のためには食事だけでなく、以下の3つがポイントだといいます。
・食物繊維
・適切な水分量
・腹筋
「快便のためには、野菜などの食物繊維が豊富な食事をとり、しっかりと水分をとる。そして、正しい姿勢を維持できるだけの筋肉量が必要です」
水分は体が欲しがるだけ飲むことが大切なのだとか。毎日2リットルなど量を決めつけたり、むくみやすいから水分を控えめにしたり……というのはどちらも間違い。日々の活動量や状態で必要となる水分量は異なります。
体の声を聴き、喉が乾いたなと思ったら、都度しっかり水を飲むことで、適切な水分量をとれるといいます。喉が乾きすぎたり、むくみやすかったりする方は、日々の塩分摂取量が多い可能性もあります。
運動が足りず筋力が少ないと、むくみの原因ともなることも。また水分をジュースや栄養ドリンクなどで摂取している方も注意が必要です。水を選ぶのが正解。お茶はOKとのことですが、カフェインの取りすぎとならないよう、注意してくださいね。
また腹筋は、座って腰を伸ばしたときに背もたれによりかかることなく、問題なくずっとキープできる程度が目安。日本人女性の多くは、腹筋が圧倒的に足りていないといいます。
何気なく過ごしていて、猫背になりやすいようなら、腹筋量が足りていないと考えられます。運動で筋肉量を増やしたほうがよいでしょう。慢性的な便秘で悩んでいる方は、筋力アップに取り組んでみて。
「食べることが大好き」赤池先生の食事のこだわり
赤池先生は『DRESS』で素敵なレストランをご紹介するなど、美食家の一面もお持ち。そんな赤池先生が心がける食事のこだわりについて聞いてみました。
「基本的に和食が好きです。朝・昼は多め、夜は少なめにして栄養バランスと量、食べる時間に気をつけています。食べることがもともと大好きなので、品数を豊富にして量ではなく質で満たされる食事を心がけています。品数が多いと彩りも良くなりますし、視覚的にも楽しめますよね。香りの種類も増えて、嗅覚的にも楽しめますし、食べすぎ防止にもつながります」
栄養素がしっかりとれていると、空腹感、満腹感をしっかり感じられるといいます。ファストフードを食べたとき、高カロリーにもかかわらずなぜか満たされない感覚があったり、スイーツを欲したりするのは、カロリーは足りていても、肝心の栄養素が足りていないサインである可能性も。
「空腹を空腹と感じる空腹感、満腹としっかり食事中に感じる満腹感、このふたつの感覚を高めることは大切です。空腹は最高のスパイスといいますが、より食事も楽しめられる上、食事中に満腹感を自覚することで食べ過ぎも防げます」
彩りが良く、品数豊富に、さまざまな調理法で、ゆっくりと心身が満たされる食事をとることで、体の内側からきれいになれる食生活が整います。その結果、肌もきれいになる。大切なのは「バランス」。肌にお悩みの方は、スキンケアと併せて、食生活を振り返って、できるところから改善してみてください。
Text/古賀令奈
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