『DRESS』2月特集は「ほしいのは“前向き“肌」。肌という“基盤”は心までも左右するから、安定してきれいを維持しておきたいパーツのひとつ。自分が「お気に入り!」だと思える美肌を常に保っていれば、いつだって機嫌よく、自信を持って過ごせます。自分の肌とじっくり向き合い、お気に入りの肌を手に入れよう!
医師が教える、肌の調子を悪くする「ストレス」の和らげ方
『DRESS』2月特集は「美人は肌から」。自分が機嫌よく過ごせて、メイク時もすっぴんのときも、自信を持てる「お気に入りの肌」を手に入れるための、ストレスとの向き合い方をご紹介。解説してくださるのは「ブレインケアクリニック」院長、今野裕之先生。ストレスと上手く付き合って、肌に悪影響を与えない日常を過ごすアイデアをお届け。
■ストレスで肌の調子が悪くなる?
脳がストレスを感じると、ストレスを緩和するため、コルチゾールなどのいわゆるストレスホルモンが分泌されます。このようなホルモンは、交感神経を刺激して、体の外側にある細い血管をギュッと縮める働きがあります。
思わぬことがあってびっくりすると、「顔が真っ青になる」と表現しますが、これは急なストレスを感じて顔の下を走る細い血管が縮み、血液が皮膚まで届かなくなった状態を表しています。
つまり、ストレスがかかると血液のめぐりが悪くなり、肌に栄養と酸素が行き渡らなくなってしまうのです。どのようなストレスでも同じ反応が起こります。
血液のめぐりが悪くなると免疫力も低下するので、ニキビや吹き出物ができやすくなります。ストレスがすぐ収まれば大した問題はありませんが、長く続くストレスは肌荒れの原因になるというわけです。
ストレスが肌の調子を悪くするもうひとつの原因は、活性酸素という物質による「酸化」、いわゆる「体のサビ」です。
ストレスを感じると、活性酸素が多く作られます。この活性酸素は非常に強力な酸化力を持ち、肌のコラーゲンを傷つけ、シミやしわの原因となってしまいます。
■肌の調子を整える、ストレスとの向き合い方
「最近、ストレスが多いな」と感じたら、まず自分にとって何がストレスなのかを見直してみることをおすすめします。頭の中だけで考えるのではなく、紙やノートに書き出してみましょう。
頭の中の悩みを目で見えるよう、外部に出してあげることによって、自分の悩みを客観的に眺めることができ、気持ちが落ち着くことも多いのです。
ストレスになることを書き出したら、そのリストをじっくりと眺め、避けられるストレスがないかどうか考えてみましょう。
どうしても避けられないことに関しては、「相談できる人はいないか」「利用できる制度はないか」など思いつく限り挙げて検討し、現実的で具体的な解決策を考えます。
人間が不安に感じることは、未知の事柄です。悩みやストレスがあっても、それを解決する具体的な道筋がわかれば気持ちは落ち着きます。ひとりで解決策が見つからないときは、家族や友人、専門家に相談を。
反対に、良くないストレスの対処法は買い物や浪費、お酒、タバコ、ギャンブルなどです。こういった行動によって、気持ちは一時的にすっきりするかもしれませんが、ストレスに対する根本的な解決にはなっていません。場合によっては、却って心身の健康を害することにもつながります。
■ストレスを和らげる方法
日常生活の中でストレスを感じたときやちょっとした空き時間などに、積極的にリラックスできると心身へのダメージが減り、肌の調子を良くすることにもつながります。
ここでは、自律訓練法とマインドフルネスという、医学的にも効果が確認されている方法をご紹介します。
自律訓練法
決められたフレーズを頭の中で繰り返すことによって自己暗示をかけ、体を休める副交感神経の働きを高める方法です。
緊張したときや眠れないときなどに向いています。椅子に腰掛けるか、仰向けに横になった状態で行います。足は軽く開き、口も少し開けましょう。目を瞑り、以下のフレーズを順番に、実感するまでゆっくりと頭の中で繰り返してください。
1) 気持ちがとても落ち着いている
2) 両手両足が重たい
3) 両手両足が暖かい
リラックスできたら目を開け、グーとパーを何度か繰り返し、腕も何度か曲げ伸ばしてください。これは交感神経を適度に刺激し、再び活動できるようにするための運動です。
眠るために実施したときは、交感神経を刺激する必要はないので、そのまま寝てしまってOK。
マインドフルネス
最近、ストレスを和らげ、集中力を高める方法として、マインドフルネスという一種の瞑想法が注目を浴びています。
マインドフルネスは、仏教の禅をもとにして、宗教色を廃したもの。グーグルをはじめとしたIT企業や学校、刑務所などでも取り入れられて成果を上げており、日本でもここ数年ブームになってきているものです。
一般的なやりかたは、椅子に腰掛けるか床に座った状態で目を閉じ、体の力を抜いて呼吸に意識を集中させるというもの。
このとき、呼吸の長さをコントロールしないようにしましょう。息が入ってきてお腹や胸がグッと膨らんでいき、息が出ていくときにお腹や胸がグッとへこんでいく様子を、ただ感じるようにしてください。
1日10分ほど続けるだけでも効果があります。ぜひお試しください。
Text/今野裕之
ブレインケアクリニック院長。精神医学とアンチエイジングに関する知識と豊富な臨床経験を背景に、体に優しい心の治療を実践。
博士(医学)、精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医、日本抗加齢医学会専門医、医療法人幸和会 美咲クリニック顧問、瞳美容研究所顧問。
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