「愛は技術」が教えてくれた、孤独から脱する方法【結婚は、本から学ぶ #6】
本を通して恋愛や結婚について学ぶ本連載の第6回では、川崎貴子さんの『愛は技術』について書きました。様々なメディアで婚活女性を応援する記事を書いている川崎さんが、自分の人生を通して学んできた愛する技術について惜しみなく語っている一冊です。
今回紹介するのは『愛は技術』
川崎貴子さんは、長年女性に特化した人材派遣の会社を経営されてきました。
そのお仕事を通じて「女性の幸せ」について日ごろから研究した結果、婚活塾も始め、これまでキャリアと恋愛・結婚の両観点から多くの女性の相談に乗ってきました。
多数のメディアで川崎さんの記事が掲載され、婚活中の女性からは絶大な信頼がよせられています。
そんな川崎さんも、かつては幼いお子さんを連れて離婚し、生きることに必死だった女性のひとりでした。人生に悩んでいた川崎さんが手にした本がエーリッヒ・フロムの本『愛するということ』。そこには、こう書かれていました。
「愛は受動的なものではなく能動的なもの」
「愛は技術であり、才能ではない」
これらの言葉に衝撃を受けた川崎さんは、恋愛武闘派とまで言われたそれまでの考え方を変えてみたところ、現在のパートナーとなる男性と出会い、結婚しました。今ではふたり目のお子さんと一緒に、4人家族で幸せで穏やかな生活を送っています。
川崎さん著書『愛は技術』には、彼女がどのようにして愛する技術を磨いてきたかが書かれています。私自身、この本には共感するところが数多くあり、婚活のセミナーなどでは必ずこの本をおすすめしてきました。
愛する技術は磨くことができる
目次をみると、第1章から「今こそ結婚する技術」というタイトルが目に飛び込んできます。
そして、
第2章:愛しい男を育てる技術
第3章:毒になる男を捨てる技術
第4章:自分を幸せにする技術
第5章:愛する人を許す技術
と続きます。
第1章から第3章は、結婚に向いている男性の見分け方や、逆に結婚向きでない男性にありがちな言動について、また婚活する上でのマインドの持ち方の解説など、婚活中の女性には見逃せない内容になっています。
そして、第4章の「自分を幸せにする技術」では、「どうせ私なんて……」といういじけ思考や、他人の幸せが許せないという被害妄想や嫉妬に苦しむ「痛い女」にならないための習慣が提案されています。
現代の女性の生き方は実に多様ですが、それだけに、違う立場や生き方をしている人と本音で理解し合うことは難しく、孤立してしまいがち。そして、孤立は「痛い女」を醸成される大きな要素なのだそうです。
立場が違う人とも積極的に交流をはかり、「声をかけられるのを待っている」という受け身ではなく、主体的に生きるタイプの人々とつながることで、孤立や孤独から脱却することが大切と、川崎さんは説いています。この部分は、パートナーの有無にかかわらず、女性として長く続く人生を幸せに生きるために必要不可欠な知恵だと感じました。
人間関係は愛の修行
第5章の「愛する人を許す技術」では、愛と支配の関係について触れられています。
「愛するという行為」の中には「支配したいという欲求」が、そして「愛されたいという思い」にも「支配されたいという欲求」が混じるのが人間ですが、問題になるのはその割合。
できるだけ「愛の比率」を高めるためには、まずは人間に(そして自分にも)支配欲があることを受け入れることから、と書かれています。
支配欲というとなにやら恐ろしいもののような印象を受けるかもしれませんが、例えば「なぜ私の思い通りに動いてくれないの」という感情はその始まりとも言えるでしょう。
長い間、相手とお付き合いをしていたり、パートナーと一緒に暮らしていたりすれば、相手の言動のすべてを受け入れ、常に笑顔でニコニコ接することが難しいことであると、多くの人が実感しているのではないでしょうか。
自分の思い描いたシナリオに沿わないことを相手がしたときに「失望した」という言葉が出てくるのも、期待が外れてしまったから。
支配者にならないようにするためには、常に自覚をもって、セルフケアに努め、心の余裕をもつことが必要です。「すべての人間関係は愛の修行」なのですから。
主体的に自分の人生を生きるということ
川崎さんは、昨年あらたに、キャリアを追求したい女性と、そんな女性と結婚したい男性を結び付ける「キャリ婚」というマッチングサービスを始められました。男性は無料で会員になれますが、川崎さんをはじめとした経営メンバーの面接をパスする必要があるとのこと。
人生100年時代と言われ、今までの従来の家族のあり方も大きく変わってきている現在、これは世の中の流れを先取りした新しい形でしょう。
『愛は技術』のなかで、川崎さんは繰り返し「主体的に自分の人生を生きなさい」と説いています。
結婚する相手の年収が低いなら、自分も稼いで一緒に頑張ろう。相手が子どものようだったら自分が大人になれば良い。
結婚したばかりの頃は頼りなくても、時間をかけて「家族を一緒に運営する運命共同体」になっていけば良い……。
絵空事ではなく、川崎さんご自身の経験から出てきた言葉はとても説得力があります。特に「結婚したいけど、いい人がいない……」とつぶやきがちな30代の女性にぜひとも読んでいただきたい一冊です。