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川崎貴子さん×夫 マサヒロさん対談・後編「私は夫の家族、妻、親友。私がいなくなって、夫からすべてを奪うのは切なすぎる」

川崎貴子さん(プロフィールは文章末尾に掲載)と夫・マサヒロさんの対談後編。前編「もし妻が乳がんになったら。夫が備えておくべきこと」に続き、ふたりのコミュニケーション法について迫る。

川崎貴子さん×夫 マサヒロさん対談・後編「私は夫の家族、妻、親友。私がいなくなって、夫からすべてを奪うのは切なすぎる」

昨年、乳がんの治療中であることを告白した川崎貴子さん。夫婦対談・前編「もし妻が乳がんになったら。夫が備えておくべきこと」では、病気の受け入れ方や2週間の入院中の家事について、夫のマサヒロさんがどう動いてきたのか詳しく伺いました。後編では家族、夫婦でありながら、互いに「友情」も感じているというふたりに、仲の良さの秘訣を聞いた。

――闘病中、貴子さんはどんなときに旦那さんがマサヒロさんで良かったと感じましたか?

貴子:そうですねぇ。まず、子どもたちの父親として、不安が一切なかったというか。彼と私とではトータルで家事レベルが、彼の方が全然高いので(笑)。夫としては、私の生命力を信じてくれて、寄り添ってくれていたのはうれしかったです。
私はがん告知を受けた瞬間から、仕事も含めてやらなければいけないタスクに追われてしまったので、自分の感情とあまり向き合えていなかったんですね。夫に告知したとき、私じゃなくて夫が泣いてたんですよ。「つらいよね」って言いながら。そのとき、彼は私の代わりに泣いてくれているんだな、と思いました。一緒に暮らして10年、私たち夫婦はセットなんだなという感覚です。若いときは「好き」とか「愛してる」といった感情が先ですが、今は、「ああ、本当に家族なんだなぁ」と。

――書籍にもマサヒロさんには友情を感じているとありましたよね。

貴子:友情ももちろん感じていますし、お互いにないものを補ってきたので、セットものになっているなと。私がガサツな分、やはり子育てって父性だけじゃダメなんだよねぇ、と思います(笑)。

マサヒロ:ワイルドだよ、貴ちゃんはワイルドな部分、粗野な部分がありますよ。

貴子:粗野ねぇ〜。ビジョンとか作るのは得意なんですけど、きめ細かいケアとかはなかなか難しいですね。当時夫が「普段と顔色が違うよ」と上の子の顔を見て言っていて、私は「え〜、大丈夫じゃない?」と言っていると、必ず後で熱を出すんですよ。生んでもいないし、血のつながりがなくても(*)夫の方がわかるっていう。
*上のお子さんは貴子さんの前夫との間に生まれている。

マサヒロ:いつも観察していますから。

貴子:女性は紫色の顔色の変化が見えるけど、男性は見えないんだって。でも私は見えなかった(笑)。まぁ、得意不得意があるし……。

マサヒロ:そうだね。片づけるのも苦手だもんね。

貴子:うん、引き出しの中をショーケースみたいにする意味がまったくわからない。

マサヒロ:部屋は綺麗にするんですよ。ただ、引き出しとか棚の整理ができない(笑)。そもそも服も大量だから開けるとドン・キホーテみたいな陳列に(笑)。

貴子:ちゃんとしまってあればいい! という概念なもので(笑)。でも、夫の方は綺麗にちま〜っと。先日も服を綺麗に色分けして収納してて、値札でもつけるのかと思いましたよ(笑)そういうときに、ああ、私たちってデコとトツなんだなぁと。

マサヒロ:色分けすることを強要はしてないですよ? ただ、趣味として色分けしてちゃんとグラデーションになったから、「どう?」って言ったら「ああ……」って、どうでも良さそうに流されましたけど(笑)。

■話している時間が日々少しずつ積み重なってコミュニケーションに

――マサヒロさんは、どんなときに貴子さんとセットだと感じますか?

マサヒロ:具体的にはちょっと今すぐポンと浮かばないのですが、やっぱりすごくよくしゃべっているんですよね。夜、僕が帰ってきたら疲れているのにわざわざ起きてきてくれるし、ちょっとしゃべって「疲れてるから寝るね」とか、そこまでしなくていいのに! と思うこともお互いあります。でも、それくらい話している時間が長いので、ちょっとずつ積み重なってくるんですよ。ちょっとずつなので、本当に事象が数え切れないんです。だから、貴ちゃんからがんのことも「大丈夫」と言われたときは、じゃあ大丈夫だろうなと。それが出会って1年くらいだったらまた違ったかもしれませんが、十何年一緒にいて、コミュニケーションをとってきたからかなとは思います。

貴子:あと、夫は友達がいないんですよ(笑)。いるにはいるんですけど、別に会わなくていいんですよ。

マサヒロ:さすがに、ちょっとはいますよ(笑)。

貴子:もともとインドアのアーティスト気質で、家の中で何かやることは好きなんですけど、男同士でつるんで飲みに行こうぜ〜! というのはないので。だから、この人は私がもし死んじゃったら親友もいなくなっちゃうんだっていう。

マサヒロ:あはは(笑)。確かに。

貴子:私、家族であり奥さんであり、親友なんですよ。だから、この人から家族も親友も奪うのは切なすぎるなと思いました。だから、死んでる場合じゃないな、と(笑)。

マサヒロ:ありがとうね〜(笑)。

■「おしゃべりかどうか」は、結婚相手を決めるひとつの基準になる

――毎日話していても話題がなくならないって、素晴らしいことですよね。そこが特別な絆で、親友という言葉で語られるところなのだろうなぁと。

貴子:ありがとうございます。婚活塾を主宰する身として思うのは、色気があったり美人だったりすることより、「この子と話しているとおもしろいな〜」とか「この子と自然にしゃべれるな〜」というのは、結婚相手を考える上で、ひとつの基準になるのではないかなと。おしゃべり要素は大事です。

マサヒロ:大事だね。ずっと黙っている男の人とかいるもんね。昔はそれがテレパシーみたいに「言わなくてもわかる」というご夫婦がいっぱいいらっしゃったから、それはそれで修行だなとは思うんだけど。

貴子:「男は背中で語る」「あうん」といった男性像やスタイルが昔はありましたが、この情報過多時代には無理なんで、昭和のコミュニケーションスタイルは捨てた方がいいと思います。

マサヒロ:無理だよね。

貴子:うちの夫なんてすぐ「つらい」って言いますもん(笑)。超ジェンダーフリー(笑)。

――全然会話がない夫婦って、しゃべることがないと言いますよね。

マサヒロ:そうですよね。今までしゃべってきていないから、今さら何をしゃべったらいいのかわからないんですかね?

貴子:そうそう、夫の良いところは、女子力が高いところですね。

マサヒロ:女子力が高いって?

貴子:10年以上喋っていると、彼の人生も知っているし、私の人生も知られているから、別に新たに確認し合うことなんてないんですが、「今日のニュース見た?」から「聞いて聞いて、今日ね……!」「どうしたの?」って、オチのない話が始まるんです。男の人ってコミュニケーションを情報の伝達だと思っている人が多いんですよ。何か問題が起こって、それを対処するためにこうしてくれ、という。だから、何も問題がない場合はしゃべらない。でも、女性の場合のコミュニケーションは共感の紡ぎ合いなんです。女性は「今日もお疲れ〜」というおしゃべりすべてがコミュニケーションという認識ですが、夫もそうなんです。

マサヒロ:そうだね、女性の方がずっとしゃべっているもんね。カフェにいる時間もめっちゃ長い。男性同士は……何話してるんだっけ。

貴子:仕事の話とかが多いかしらね。友人や仕事関係者とは話すのよ。でも身近な人から話さなくなる。奥さんとかね。

マサヒロ:でも、女子っぽい男性は増えているからね。女性がどんどん社会進出して、女性がそういうパワーを持っていけばいくほど変わっていくと思います。

貴子:ま、私も結論から話したり、ロジカルな話をしたりしてしまいがちだからね。これからも精進してゆきます!

(完)

Text/姫野ケイ

『我がおっぱいに未練なし』書籍情報

我がおっぱいに未練なし
著者:川崎貴子
発行:大和書房
単行本:216ページ
発売日:2017/9/23
価格:1300円+税

[公式サイト]
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b308078.html

著者 川崎貴子さんプロフィール

1972年生まれ。埼玉県出身。リントス株式会社代表取締役。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。現在は株式会社ninoya取締役、及びベランダ株式会社取締役として、共働き推奨の婚活サイト「キャリ婚」を立ち上げ、婚活結社「魔女のサバト」も主宰。「女性マネージメントのプロ」、「黒魔女」の異名を取る。著書に『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)などがある。

DRESS編集部

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