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映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』感想。芸術の秋におすすめ!「考える人」で名高いロダンの愛と創作の半生を描いた物語。

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『DRESS』シネマの時間第15回は、本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作。近代彫刻の巨匠、ロダンの愛と苦悩に満ちた半生を描いた映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』! 今回もアートディレクターの諸戸佑美さんがご紹介。11月11日(土)〜新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ他にて全国公開です!

映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』感想。芸術の秋におすすめ!「考える人」で名高いロダンの愛と創作の半生を描いた物語。

こんにちは、諸戸佑美です。紅葉が少しづつ色づき始め、秋めいてまいりましたね。

『DRESS』”シネマの時間”第15回は、「芸術の秋特集」第2弾!

ロダン没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館全面協力のもと『ポネット』(96)、『ラ・ピラート』(84)の名匠ジャック・ドワイヨンが、ロダンの愛と苦悩に満ちた半生を忠実に描いたフランス映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』をお送りします!

日本各地の美術館にも多くの収蔵作品があり、鑑賞できる機会の多いロダンは、日本でも絶大なる人気を誇る彫刻家です。

そのロダンには『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(15) でカンヌ国際映画祭、セザール賞の主演男優賞をW受賞したフランスきっての演技派ヴァンサン・ランドンが抜擢!

ロダンを演じるために8カ月間彫刻とデッサンに没頭しロダンの魂までも演じきり、「ロダンの送った生涯は、創作活動に打ち込んだ一日のようなものだ。彼として生きた時間は、僕の人生を美しく彩った」と語っています。

また、ロダンの助手であり愛人のカミーユには、“ジャニス・ジョプリンの再来”と呼ばれる『サンバ』のイジア・イジュランが生き生きとした等身大の人物像を好演。

本作は、2017年カンヌ国際映画祭のコンペティション作品部門にてお披露目され、話題となっています。

私自身、ロダンってこんなに芸術家としてバイタリティー溢れ魅力的な人だったんだと作品を観る目が変わりました。

ロダンは、長い下積み時代を経て30代後半にようやく名を成した後も、当時のサロンや批評家、世間の無理解の視線にさらされ、苦悩し続けた彫刻家でした。

創作の姿勢には妥協がなく、習作の上に習作を重ね、数千点ともいわれる作品を創りました。世界中の美術館や屋外空間に所蔵・設置される作品からは、強い精神力とセンスに感服します。

また、妻や愛人以外にも数多くの美しいモデルたちに大変モテた男性でもありました。

「創った。愛した。それが人生だった」

ぜひ、この機会にお楽しみいただければ幸いです!

■映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』あらすじ――本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作!近代彫刻の巨匠、ロダンの愛と苦悩に満ちた半生を描く

1880年パリ。彫刻家オーギュスト・ロダンは40歳にしてようやく国から注文を受けます。

そのとき制作したのが、後に「接吻」や「考える人」と並び彼の代表作となる「地獄の門」でした。

その頃、内妻ローズと暮らしていたオーギュストは、弟子入りを願う若いカミーユ・クローデルと出会います。

才能溢れるカミーユに魅せられた彼は、すぐに彼女を自分の助手とし、そして愛人としました。

その後10年に渡って、ふたりは情熱的に愛し合い、お互いを尊敬しつつも複雑な関係が続きます。

ふたりの関係が破局を迎えると、ロダンは創作活動にのめり込んでいきます。

感覚的欲望を呼び起こす彼の作品には賛否両論が巻き起こり、バルザック像はロダンの存命中には酷評を受けたものの、今日世界的に“近代彫刻の父”という確固たる評価を得るようになるのです。

波乱に満ちたロダンの愛と苦悩の生涯とは――。

■名匠ジャック・ドワイヨン監督マスコミ公開インタビューより

監督・脚本:ジャック・ドワイヨン
Jacques Doillon

1944年フランス、パリ生まれ。
日本では『ポネット』(96)の大ヒットで知られる名匠。
初長編『頭の中に指』(74)ではフランソワ・トリュフォーから賛辞をうける。
『あばずれ女』(79)がカンヌ映画祭ヤングシネマ賞受賞。
『放蕩娘』(81)で主演のJ・バーキンと結婚。
その他の代表作に『小さな赤いビー玉 』(75)『ラ・ピラート』(84)『ピストルと少年』(90)などがある。

映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』マスコミ試写会では、ジャック・ドワイヨン監督のお話を伺う機会があり、そこで印象に残った言葉をご紹介します。

ロダンの作品を創ろうと思った最初のきっかけは、もともとロダンの作品が好きで人物が好きだったからです。

ロダンは、貧困の出身で、3回美術学校を受験するも落ちて、独学で偉大な彫刻家になっています。

ドラマチックな生涯を映像にしたら面白いと思いました。

今まであまり映画になっていないのが不思議なくらいです。

最初は、ドキュメンタリー映画にしようと思っていましたが、史実に忠実ながらも自分の気に入ったものになるようフィクション映画にしました。

ロダンの魂を取り出して蘇らせるようにしたかった。

制作においては、主観でないものにしたかったので、先ずは6〜8カ月の間、ありとあらゆるロダンの文献調査をして、3〜4カ月で脚本を書きました。

パリ、ロダン美術館の全面協力のもと映画を創り上げました。

当時のアトリエの様子を臨場感をもって描き出し、ひとりの芸術家のドラマとして傑作がいかに創造されたか、ミルボーやセザンヌやモネ、ゾラなどの当時の芸術家達との交流も見どころです。

ロダンは何度も習作を繰り返し時間をかけ、ひとつの作品を創作します。私自身も映画を撮る際にテイクを何十回も繰り返し、自分の納得するシーンを見つけていきます。

俳優と一緒に最良なシーンを追求するのです。

そういうところに大変共鳴します。

■近代彫刻の父オーギュスト・ロダン(1840〜1917年)について

1840年11月12日、パリ警視庁下級官吏の子として誕生。

少年時代から絵画の才能を認められていましたが、エコール・デ・ボザールの試験に3回失敗し、以後、建築装飾の職人となり働きながら次の道を模索します。

そしてロダンは、動物彫刻の大家であったカリエ=ベルーズのもとへ弟子入りします。

24歳のときには生涯の妻となる裁縫職人のローズと出会い、長男オーギュスト・ブーレ・ロダンをもうけています。

生活費を節約して貯蓄を続けていたロダンは、ローズを連れて念願のイタリアを旅行し、ドナテッロやミケランジェロの彫刻に影響を受け、自己の道を見出すようになるのです。

帰国後まもなく、サロンに初入選した作品「青銅時代」を制作し、翌年ブリュッセル、パリで展示。

その像は、人体から直接型取りしたと間違って告発されるほど、写実的でした。

この写実性は「歩く人」「洗礼者ヨハネ」と続くのです。

1880年、フランス政府から、パリ装飾美術館の表門の依頼をされ、「地獄の門」の制作にとりかかります。

その頃、助手にカミーユを迎え、この「地獄の門」から、個々の像を再制作。「考える人」「接吻」のような強い情熱的な作品を、ブロンズや大理石や他の素材を使って、さまざまなサイズで生み出しています。

1889年には「カレーの市民」、1898年「バルザック記念像」を制作。

ロダンは、創作にあたり伝統を打ち破り、モデルの内面までも洞察した心の動きを表現しました。

印象主義的、象徴主義的な時代精神を追求し、彫刻に新しい革命をもたらした”近代彫刻の父"と呼ばれるようになったのです。

■日本でもロダンの彫刻を数多く目にすることができる

「考える人」

「地獄の門」、「アダム」と「エヴァ」

「カレーの市民」

世界的な彫刻家としてあまりに有名な、フランスの彫刻家、オーギュスト・ロダン。

日本においても非常に人気があり、東京上野の国立西洋美術館をはじめとして、全国の美術館を中心に多数の作品が設置されています。

国立西洋美術館の前庭にあるロダンの彫刻は、「考える人」「地獄の門」「カレーの市民」「アダム」「エヴァ」の代表作と言われる5作品。

アントワーヌ・ブールデルの「弓をひくヘラクレス」もあります。

前庭は観覧券がなくても無料で自由に入場できるので、気軽に素晴しい作品に会いに訪れたいものですね。

ちなみにロダンの「考える人」は、もともとは「地獄の門」という作品の一部で、後で独立して制作された拡大作。

「地獄の門」は、ダンテの「神曲」に登場する地獄の門をテーマに制作された作品です。

その「地獄の門」の両脇にある「アダム」と「エヴァ」のふたつの像は、ロダンが地獄の門の構想過程で、人類の祖であり人間の業苦の根源である原罪を犯した、アダムとエヴァを門の両脇に立てる着想を得て創られました。

また、「カレーの市民」は、百年戦争の最中、イングランド軍に包囲され餓死寸前になっていたフランスのカレー市民を救うために志願して適地に赴いた英雄ユスターシュ・ド・サン・ピエールがテーマとなっています。

オーギュスト・ロダンの作品は、前庭の5点に加えて、館内の常設展ゾーンにも7点展示されていますが、同館の版画素描展示室にて2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)、地獄の門への道 ロダン素描集「アルバム・フナイユ」も開催予定です!
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2017rodin.html

合わせて芸術の秋をご堪能ください。

■映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』作品紹介

原題:Rodin
監督:ジャック・ドワイヨン
製作:クリスティーナ・ラーセン、チャールズ・コーエン、パトリック・キネ
脚本:ジャック・ドワイヨン
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
編集:フレデリック・フィシェ
美術:カティア・ビシェコフ
衣装:パスカリーヌ・シャパンヌ
音楽:フィリップ・サルド
製作国:フランス
製作年:2017年
映倫区分:PG12
フランス語/カラー/シネスコ
配給:松竹=コムストック・グループ
上映時間:120分
© Les Films du Lendemain / Shanna Besson

■映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』キャスト

ヴァンサン・ランドン=オーギュスト・ロダン
イジア・イジュラン=カミーユ・クローデル
セヴリーヌ・カネル=ローズ・ブーレ
ベルナール・ヴェルレー=ヴィクトル・ユゴー
アンデルシェ・ダニエルセン・リー=ライナー・マリナ・リルケ
アルチュール・ノジシェル=ポール・セザンヌ
ロラン・ポルトルノー=オクターヴ・ミルノー
オリヴィエ・カディオ=クロード・モネ

【シネマの時間】
アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
©︎YUMIMOROTO

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諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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