顧問税理士に迷惑がかからない「相続税還付」
前回は「相続税還付の大事なポイント。あなたの相続税は取り戻せる」で、相続税還付の大切なポイントについて説明しました。今回は、相続税還付の際に依頼者の多くの方が気にする、顧問税理士との今後の関係性についてご説明します。
前回の記事は、下記をご覧ください。
「相続税還付の大事なポイント。あなたの相続税は取り戻せる」
相続税還付の依頼者が、一番不安に思っていることが「顧問税理士に知られて関係が悪くなり、会社の決算や個人の確定申告などを依頼しづらくなるのではないか」ということです。
しかし、相続税還付では依頼者が顧問税理士に話をしない限り、顧問税理士に知られることなく手続きできます。その理由については以下で、順を追って説明します。
■税務代理権限証書の添付
相続税の還付請求をする際には、税務署に対して「更正の請求書(還付請求する書類)」という書類を提出して還付請求をすることになります。税理士に依頼している場合には、「税務代理権限証書」という書類も一緒に提出します。
税務代理権限証書とは、税理士が税務代理をする場合に、その権限を有することを証する書面です。イメージとしては、委任状のようなものとなります。
この税務代理権限証書を添付することで、税務署からの連絡も、新たに税務代理権限証書を添付した税理士のもとに来るようになります。
この手続きをすることで、税理士に連絡がいくことはなくなります。
■還付金の入金口座に注意
相続税の還付請求をする際に、提出する更正の請求書(還付請求する書類)に還付金を受取る口座を記入するのですが、普段顧問税理士に見せていない口座を記入する必要があります。
確定申告などを顧問税理士に依頼している場合には、事業収入や不動産収入が入金される通帳を顧問税理士に渡していると思います。
普段、顧問税理士に渡している口座に相続税の還付金が入金されていると、相続税還付を依頼していたことが顧問税理士に気づかれてしまいます。
顧問税理士と今後も良好な関係を続けていくためにも、普段顧問税理士に見せていない口座で還付金を受け取る必要があります。
■郵便物に注意
相続税の還付請求をした結果は、税務署から「更正通知書」という書類が送られてきて通知されます。また、更正通知書が届いてから1カ月程度で「国税還付金振込通知書」というハガキで還付金と還付の入金日が通知されます。
つまり税務署から2回、書類が届きます。
顧問税理士がいる方だと、税務署から届いた書類を封も空けずに渡してしまう方がいますが、相続税還付に関する書類は渡さないように気をつける必要があります。
■相続した財産を売却している場合
相続により取得した財産を、被相続人が亡くなってから3年10カ月以内に売却した場合には、相続税の一部を経費にできる相続税の取得費加算という特例があります。
相続税の取得費加算は、納税している相続税を基に計算します。そのため、この相続税の取得費加算の特例を適用している場合には、相続税還付を受けることで、逆に所得税の負担が増えてしまいます(経費にできる金額も減ってしまうため)。
増えるとはいっても、還付される相続税と比較すると少ない金額になるため、手取りがマイナスになってしまうことはありませんが、所得税については修正申告をする必要があります。
※増えてしまう所得税の負担は、相続税の見直しをする財産にもよりますが、最大でも還付される相続税の20%程度になります。
そのため、相続税の取得費加算の特例を適用している方が相続税還付を受けた場合には、更正通知書が届いて還付が認められてから速やかに所得税の修正申告をする必要があります。
相続税還付については、還付請求をした税理士の税務代理権限証書を添付していますが、所得税については以前の税理士のままになっています。そのため、修正申告を放置してしまうと、所得税の修正申告の件で顧問税理士に連絡が入る可能性があります。
所得税の修正申告までセットで、相続税の還付請求をした税理士に依頼することで、所得税についても税務代理権限証書を添付して顧問税理士に知られずにすみます。
■まとめ
以上の4つのポイントを守ることで、顧問税理士には迷惑をかけることなく、相続税の還付を受けることができます。
相続税還付を専門にしている税理士であれば、還付される金額だけでなく、その後の顧問税理士との関係性にも気をつけて手続きしてもらえます。
相続税還付は、払いすぎてしまった税金を取り戻す権利なので、当初の申告をした税理士に後ろめたくなるようなものではありませんし、迷惑をかけることもありません。安心して相続税還付を依頼してください。
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