2017.06.09 カルチャー/エンタメ

至高の愛か、ただの不倫か。衝撃の結末を迎える、映画『昼顔』- 古川ケイの「映画は、微笑む。」#14

2014年夏に放送された連続ドラマ『昼顔〜平日午後３時の恋人たち〜』。待望の続編となる映画『昼顔』がいよいよ今週末より劇場公開されます。平日昼間に夫以外の男性と恋に落ちる主婦のことを「昼顔妻」と呼び、社会現象にまでなった本作。ドラマ版のラストで引き裂かれた紗和（上戸彩）と、北野（斎藤工）。ふたりの愛のゆくえは――？

◼︎待望の続編！　「決して、もう二度と。せめて、もう一度」

本日DRESS読者のみなさんにおすすめしたいのは、2014年夏に放送された連続ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』の待望の続編となる、映画『昼顔』。

マンションで夫とふたり、平凡に暮らす主婦・笹本紗和（上戸彩）。ひょんなことから妻のいる高校教師の北野裕一郎（斎藤工）と知り合い、次第に惹かれ合うが、北野の妻・乃里子（伊藤歩）に関係を知られてしまう……。

TVドラマ版のラストで、乃里子がとった法的手段によって引き離されたふたり。紗和は夫と離婚、北野は乃里子と町を離れましたが、映画では、紗和と北野が、運命の再会を果たしてしまいます！

◼︎紗和VS乃里子、女の争い再び……映画『昼顔』ストーリー

あれから３年――。

夫とも別れ、新しい町で慎ましく暮らす紗和は、レストランを経営するオーナー杉崎（平山浩行）の元で働き始める。

海岸沿いの小さな町には、紗和の過去を知る者はおらず、北野の夢を見ることさえすでになくなっていた。

レストランと狭いアパートを往復するだけの日々を過ごす紗和だったが、ふと手にしたチラシから、北野が蛍に関する講演を行うことを知り、つい聞きにいってしまう。

講演中、客席にいる紗和を見つけ、戸惑い言葉を失ってしまう北野。あのときに交わした愛を忘れられず、再び巡り逢い、逢瀬を重ねてしまうふたりの前に、北野の妻・乃里子が現れる。

激昂し、予想もつかない行動にでる乃里子。最後に北野を手にするのは、紗和か、乃里子か――？

◼︎このラストは絶望か、希望か。映画『昼顔』の見どころ

TVドラマ放映時の３年前と比べ、世間の「不倫」に対する風当たりはとても厳しく変化しました。

その流れを汲んでか汲まずか、本作でも紗和と北野の関係は、単なる純愛として美化しては描かれません。

ふたりが愛し合うことで、傷つく人がいるということを、これでもかというほど見せつけてくる本作。「人を愛することは、奪うこと」という脚本家・井上由美子は、ふたりの運命に衝撃の結末を用意しました。

本作『昼顔』は、TVドラマ版の「昼顔」を見ていない方にも、十分楽しんでいただける作りになっています。

北野役で大ブレイクした斎藤工の無頓着なセクシーさは、それだけでも必見ですし、自身も人妻であり、どうしようもない恋に溺れていく紗和役の上戸彩の演技は、目配せひとつを取っても、切ない臨場感に溢れていて、釘付けになります！

また、北野の妻・乃里子を演じた伊藤歩の怪演も必見！　運命の男・北野を巡り、ふたりの女性が繰り広げる修羅場は、圧巻の一言です。

脚本家・井上由美子のセリフはどれも心に突き刺さるものばかり。不倫の恋なんて自分には関係ないと思っている方でも、紗和や北野、乃里子の行動や想いのどこかに、心当たりがあったり、共感できたりするはずです。

周囲を不幸にしながら、それでも愛し合う紗和と北野の愛は、至高の愛なのか、それともやはりただの不倫なのか。

絶望と希望が入り乱れる本作のラストは、人生の酸いも甘いも経験した大人なDRESS世代の女性だからこそ感じることができる、味わい深い示唆に溢れています。

TVドラマを見ていた方も、そうでない方も――。紗和と北野の愛のゆくえを、スクリーンでぜひ見届けてみませんか？

映画『昼顔』は今週末６月10日（土）より全国公開です。