育児がつらいときに、思い出してほしい言葉
夜中に子どもから何度も起こされて、寝不足状態になる。そんな眠い目をあけると外は雨で気分が落ち込み、ため息をつきながらひとりで自由だった頃を思い出して懐かしむ。たしかに育児はつらいけれど「そのころに戻りたいか?」と聞かれると、答えは「NO」とはっきり言えます。
育児がつらいと思うときがあるのは事実。
そんなときに私が力をもらえる、ふたつの言葉をご紹介します。
■大変な時期はきっと永遠には続かない
「妊娠したの!」という友達の報告を聞くと、妊婦時代は幸せな時間だったことを思い出します。お腹に赤ちゃんがいて、不安はありながらも、楽しい未来「だけ」を想像していました。
それが、赤ちゃんが生まれた瞬間に一変。
穏やかな気持ちで過ごせる時間は、少しもありませんでした。
■誰も教えてくれなかった、生まれた後の現実
夜中に何度も起こされ、寝不足状態が続き、授乳にオムツ替えの繰り返しの毎日。
授乳回数や、1回の授乳にかかる時間が長いことにも驚きました。
体力的につらかったことに加え、初めてのことばかりで、
「この抱っこの仕方で大丈夫かな」
「洋服を洗う洗剤はこれで大丈夫かな」
「お散歩に出て、外で泣いてしまったらどうしよう」
などと、いろいろなことが気になり不安でいっぱいの毎日でした。
正直に言うと一人目のときは、赤ちゃんをかわいいと思う余裕は、私にはまったくありませんでした。
さらに、そうした不安だけではなく「赤ちゃんをかわいいと思えない自分は母親失格なのではないか」と、罪悪感までもが押し寄せてきてつらかったのです。
妊娠中に育児の大変さをもう少し詳しく教えてくれる人がいてもよかったのに……。
と思うこともありましたが、そう思っていたのも、気がつけば子どもが3歳くらいまでだった気がします。
娘たちが、幼稚園と小学校に通い始めると、ひとりの時間も持てるようになりました。
そうすると、やはり時間的にも精神的にも楽になります。
それまでに、つらかったことはたくさんあったはずなのですが「具体的にはどんなこと?」と聞かれると、すぐに答えられない自分がいます。
もちろん、今は、4歳と7歳の娘の言動や行動にイライラしてしまう毎日で、相手をするのがつらく、逃げ出したいと思う日もあります。
また、母親として何もしてあげられていないのではないか?
という不安も消えてはいません。
そんなつらさや不安を感じたとき、思い出す言葉が2つあります。
■育児がつらくなったときに、思い出してほしい言葉
上の娘が1歳前後のとき「自分は何をしたらいいのか教えてほしい」と思い、育児講習会に参加したことがありました。そこで、私が心に残った言葉を2つご紹介します。
まず、1つ目は保健師さんのお言葉。
「赤ちゃんと一緒にいるだけで、十分育児をしています」
赤ちゃんが泣けば、オムツを替えてあげたり、授乳をしたりと、お母さんはいろいろなことを、ごくあたりまえにやっています。
特別、何かをすることではなく、一緒にいて気にかけている……「そういうことが、十分育児をしているということですよ」と教えてくださいました。
「疲れていて出かける元気がないけれど、公園に連れて行った方がいいかな」
「もっと絵本の読み聞かせをしてあげなければいけないのかな」
子どもに対して、何もしてあげられていない、という悩みを一気に吹き飛ばしてくれた言葉でした。
2つ目は、精神科医でとある神社の宮司をされていた先生のお言葉。
「お母さんは、手を抜くことをがんばって!」
先生は、講習会の間に、何度も何度も「手を抜く」という言葉をおっしゃっていました。
帰る途中も、帰ってからも、先生の優しい口調での「手を抜くことをがんばって!」は、頭の中で繰り返されていました。その言葉だけが頭から消えないので、もう少し、具体的なことを教えてほしかったなという思いもありました。
ですが、数日後、ご飯の準備がつらいなと思ったとき、ふと、先生の言葉が頭をよぎり、「いいや、今日は手を抜いてご飯の準備をやめてしまおう」と、外食しようとするに頭を切り替えることができました。いつもは、迷ってすぐに決断ができないのです。自分がその言葉を頭に残るくらい繰り返していたのには、意味があったのだと気づきました。
今は、もちろん何度も伝えてくれた先生に感謝しています。
まだ、7年間の育児経験しかありませんが、そのときどきの大変さ、つらさは、いつか必ず終わりがきます。ただ、育児のつらさは、子どもの年齢によって内容は変わっても、なくなることはないような気がします。
お互い、程よく手を抜きつつ、子どもと一緒に踏ん張りましょう!