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映画『美女と野獣』感想。時を越え愛されるエンターテイメント!

『ハリー・ポッター』シリーズでハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンを主演のベルに迎え、ディズニー・アニメ不朽の名作『美女と野獣』待望の実写映画化!【シネマの時間】第6弾は、映画『美女と野獣』の魅力と感想を、あらすじと動画を含めながらアートディレクターの諸戸佑美さんに語っていただきました。

映画『美女と野獣』感想。時を越え愛されるエンターテイメント!

©YUMIMOROTO

18世紀フランスで誕生した『美女と野獣』の物語は、「真の美しさは心から生まれるもの」という力強いメッセージ持ち、さまざまな解釈による文学や映画、バレエ、舞台などの作品となって世界中の人たちを魅了してきました。

中でもディズニーのアニメーション映画『美女と野獣』(1991年)は、アニメーションとして初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされたほか、アカデミー賞オリジナル作曲賞と主題歌賞の2部門を受賞。

美しく聡明なディズニー・プリンセス”ベル”の名を世に知らしめました。
今回その不朽の名作を完全実写映画化!

「子供のときに一番好きだった映画『美女と野獣』でベルを演じることができ、夢が叶いました」と語るエマ・ワトソンがベルのイメージにぴったりで、華麗でダイナミックな映像、素晴らしい音楽に心躍ります。

【シネマの時間】第6回は、 永遠のファンタジー映画『美女と野獣』をご紹介します。

■映画『美女と野獣』あらすじー魔女の呪いで野獣に変えられた王子と、聡明で心優しきヒロインの真実の愛

昔々、森の奥深くにある城に、若くて美しいがとてもわがままで傲慢な王子が住んでいました。

ある嵐の夜、豪華な晩餐会の最中に、醜い老婆が城に現れて「寒さをしのがせてくださったら一輪の薔薇を差し上げます」と中に入れてほしいと懇願します。

しかし、王子は老女の醜さを理由にそれを断ってしまいます。

老婆は「見かけで人を判断すると、心の奥底の真実が見えなくなってしまう」と忠告しますが、王子は聞く耳を持たず再び追い返そうとしました。

するとその瞬間に老婆は美しい魔女に変わり、優しい心を持たず人を見た目で判断する王子と、王子をそのように育てた召使いたち、さらにその城全体に魔法をかけてしまいます。

王子は恐ろしい野獣の姿に、城の召使いたちは洋服ダンスや置き時計などの家財道具の姿になってしまったのです。

そして魔女は願えばどんな物をも映し出す魔法の鏡と一輪の薔薇の花を置いて消えてしまいました。
その薔薇の花びらが全部散るまでに、王子が誰かを心から愛し、愛されるという「真実の愛」を見つけなければ、永遠に人間に戻れないというのです。

王子は絶望し、城に閉じこもり失意の内に長い歳月が流れます。
呪われた城の中で、希望を失いかけていた野獣と召使いたちの日々に変化をもたらしたのが、田舎の小さな村で父モーリスと暮らす心優しく美しい娘ベルでした。

読書好きで広い世界を夢見る彼女は、閉鎖的な村人たちから変わり者と見られており、彼女自身も村に馴染めず孤独を感じていました。

そんなある日、父モーリスが森で遭難し、迷い込んだ城で野獣に捕えられてしまいます。
モーリスを探して城までやってきたベルは、野獣の姿におののきながらも、父の身代わりとなり城に留まることを決意します。

呪いで家財道具に変えられてしまっている召使いたちは、父想いのベルを優しくもてなし歓迎するのでした。

“人と違う”ことを輝きに変え、自分らしく生きるベルと、“人と違う”自分を嫌悪し、心を閉ざす野獣ーその出会いは、はたしてどのようにして奇跡を生むのでしょうか……?

■ディズニープリンセスの中でも聡明で意志をもったヒロイン

ディズニープリンセスといえば、可憐な容姿と優しい心を持った美少女の「白雪姫」。
美しく思いやりにあふれ前向きな心を持つ「シンデレラ」。
利発でチャレンジ精神旺盛、ペットをかわいがる優しい性格の『アラジン』(1992年)の「ジャスミン」。
美しい容姿と声を持った好奇心旺盛で地上の世界を夢見る『リトル・マーメード』(1989年)の「アリエル」。
気立てがよく上品な『眠りの森の姫』(1959年)の「オーロラ姫」。
探究心と豊かな想像力を持つ『塔の上のラプンツェル』(2010年)の「ラプンツェル」。

そして『美女と野獣』の美しく読書家で広い視野を持つ「ベル」と、魅力的なプリンセスたちが揃っており、子供の頃に憧れた読者の方も多いと思います。

なかでも、『美女と野獣』のベルは、それまでのアニメーションで描かれてきた受動的なプリンセスの殻を破り、自らの意志を持って勇敢に行動を起こす初めてのプリンセスとして熱い支持を集めています。

本好きな「ベル」が野獣にお城の図書館に案内してもらい、目を輝かして本についてふたりで語り合う場面では、お互いの心の距離が自然と近づく様子が手に取るようにわかり、私もとても共感でき素敵です。

本の持つ想像力を広げる力は、人を優しくし偏見なく物事の本質を見ることができるようにするのです。

どの物語も素晴らしくよく知られていると思うのですが、物語自体は実はグリムやペロー、アンデルセンなどの童話が原作になっており、興味を持って深く調べたり読み進めたりすると、残酷で恐かったりして奥が深いです。

そんな波瀾万丈のプリンセスたちをドキドキしながら見守りつつ、最後に観客としては「王子様と幸せに暮らしました。めでたしめでたし」とひとまずほっとするわけですが……。

「幸せに暮らしました」と言いきる言葉(言霊)の力ってすごいと思いませんか。

いろいろあったけどすべて丸く納めて幸せな未来を提示するわけです。

どんなことがあっても未来は幸せ。
そしてそう信じることは幸せへの近道のような気がします。

あなたの好きなプリンセスは誰ですか?

今回『美女と野獣』の映画を鑑賞して、他のプリンセスについても改めて興味を持ってみるのも面白いかもしれません。

■アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞を総なめにした極上のミュージカルナンバー

ディズニーの『美女と野獣』の魅力は、なんといってもアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞を総なめにした極上のミュージカルナンバー!

アラン・メンケン(作曲)とハワード・アシュマン(作詞)によるアニメーション版からのおなじみの『朝の風景』『美女と野獣』『ひとりぼっちの晩餐会』『愛の芽生え』などの楽曲とともに繰り広げられるダイナミックで夢のある映像は感動的です。

特に主題歌の『美女と野獣』の音楽は、時代を超えたスタンダードナンバーであり、劇中でこの曲にのせてベルと野獣がロマンティックにダンスを繰り広げるシーンは、ベルの黄色いドレス姿の美しさもあいまって最大の見所です。

アニメーション版では、セリーヌ・ディオン とピーボ・ブライソンがデュエットした主題歌を今回は、アメリカの若手シンガーの中でも人気と実力を兼ね備えたアリアナ・グランデとジョン・レジェンドのコンビで見事に歌い上げています。

また、ストーリーとキャラクターたちにより深みを与えるためにメンケンが新たにティム・ライス(作詞)と組んで作り上げた3曲の新曲が加わりました。

城の住人たちがかつての幸せな日々を思い出しながら歌う『デイズ・イン・ザ・サン〜日差しを浴びて〜』や野獣が歌うせつないバラードの『ひそかな夢』、本作の中で繰り返し流れる『時は永遠に』です。

美しく奏でられるエモーショナルな音楽と映像は、雄弁にストーリーを語りあらゆる世代の人たちに幸せな魔法をかけてくれるでしょう。

私は、座席が動き、風や匂い水しぶきなどの効果も合わせて楽しむことができる体感型の上映方式MX4D(TOHO系)で鑑賞したところ、迫力があって面白かったです。

ご家族やカップルで体感すると盛り上がると思います。
ぜひ、映画館で素敵な夢の世界をお楽しみください!

■映画『美女と野獣』作品紹介

TOHOシネマズシャンテほかにて全国ロードショー!
公式ホームページ http://www.disney.co.jp/movie/
(C)2017 Disney. All Rights Reserved.

原題:Beauty and the Beast
製作年:2017年
製作国:アメリカ
映倫区分:G
配給:ディズニー
上映時間:130分
監督:ビル・コンドン
脚本:スティーブン・チョボウスキー、エバン・スピリオトポウロス
製作総指揮:ジェフリー・シルバー、トーマス・シューマッハ
撮影:トビアス・A・シュリッスラー
美術:サラ・グリーンウッド
衣装:ジャクリーン・デュラン
音楽:アラン・メンケン
編集:バージニア・カッツ

■映画『美女と野獣』キャスト

エマ・ワトソン=ベル
ダン・スティーブンス=野獣
ケビン・クライン=モーリス
ルーク・エヴァンス=ガストン
ジョシュ・ギャッド=ル・フウ
ユアン・マクレガー=ルミエール
イアン・マッケラン=ゴグスワース
エマ・トンプソン=ポット婦人
ネイサン・マック=チップ
オードラ・マクドナルド=マダム・ド・ガルドロープ
ググ・バサ=ロー=プリュメット
スタンリー・トゥッチ=ガデンツァ

アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美

諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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