夫婦のLINEのやりとり。熟年になっても男と女でいるために
恋愛の賞味期限は、3年5年だなんて説に多くの女性がうなずくくらいに恋心は熱しやすく冷めやすいものです。だれかを好きになって、彼も好きになってくれて、二人の思いが通じ付き合いがスタートする。もしかすると、その瞬間が恋愛のピークかもしれません。今回は、熟年夫婦になっても恋愛感情が続いている夫婦の方々にお話をお伺いしました。
■時の洗礼から逃れられない恋心
ローマの詩人、ウェルギリウスは「時は万物を運び去る。心までも」と言いました。
その言葉とおり、どんなに熱い恋愛も時の洗礼から逃れられなかったという経験を持つ女性は少なくないのでは。
大恋愛の末、結婚したご夫婦さえも、結婚して20年近く経てば旦那さんの方は奥さんを好きでも奥さんは「亭主元気で留守がいい」とできることならなるべく帰ってこないでほしいと望んでいたり、逆に奥さんが旦那さんを好きでも外にちゃっかり“彼女”がいたり。
またはお互い"パパ" "ママ"として家族として接するか、どちらも気持ちが冷めて"仮面夫婦"のような割り切ったパートナー関係となっているか。
私自身結婚して20年近く経ちますが、これまで取材をした夫婦は大抵恋愛感情の部分ではそんな少し“冷めた部分”がある関係の男性と女性がほとんどです。
そしてそんな"冷めた部分"は時の洗礼のようなもので「どうしようもないことだ」と割り切りながら生活を送る、それが夫婦というパートナーシップなのではないかと感じています。
■熱愛熟年夫婦とは?
けれど、中には5年どころか結婚して20年以上経ち、子どもがいても新婚のような熱い関係を維持している熱愛熟年夫婦が存在します。
熱愛熟年夫婦に共通するのは、お互いをいつまでも男性・女性として恋愛感情が冷めていない点です。
そんな熱愛熟年夫婦は、なぜいつまでも新婚のような恋愛感情を維持できているのか。
取材をしてみると、オンラインでのコミュニケーション、かつてはメールでしたが今はLINEがその関係維持に大きな影響を与えていることがわかりました。
熱愛熟年夫婦のLINEのやりとりからつまでもお互いを好きでいられるコミュニケーションとしてのLINEのやりとりを紹介します。
■帰るときに送るLINEには"御用聞き伺い"をプラス
旦那さんから奥さんへの帰る際に送るLINE。
かつては帰るコールだった帰宅メッセージを、熱愛熟年夫婦は電話からメール、そしてLINEへと手段を変えながら、何十年もルーティーンにしている習慣をきちんと続けています。
高校生と大学生の二人の子どもがいるTさんご夫婦は結婚歴25年。旦那さんは50代、そして奥さんも40代後半の熟年ご夫婦です。
旦那さんは、仕事から帰る前に「今から帰る」と必ずLINEを入れます。夕飯の支度をする奥さんが困らないように自分の帰宅時間を知らせる為のLINEですが、Tさんの旦那さんはここに必ず「何か買ってくるものはある?」と御用聞き伺いの一言を忘れないそうです。
「毎日家事や仕事、子どもの面倒と忙しいだろうから買い物は自分がサポートするようにしています。特に米や飲み物のような重いものは自分がなるべく会社帰りに買うから買わなくていいと言っています」
なるほど。こうした奥様へのちょっとした思いやりの積み重ねが熱愛の秘訣なんですね。
「筋トレにもなるし一石二鳥ですよ(笑)」
少し照れながら笑う旦那さん。隣では奥さんが嬉しそうにそんな旦那さんを見つめていましたが愛されている女性だけが醸し出す幸せオーラを発していました。
■子どもの前では照れくさい感謝や愛のコトバをLINEでこまめに伝える
子どもができるとお互いをパパ、ママと呼び合うようになり、いつの間にか家族になっていく。それが普通といえば普通です。
けれど、どんなに素敵でも自分の"パパ"や"ママ"を恋愛対象には見ない為、家族になっていくことは同時に恋人という関係が変容することに繋がります。
Nさんご夫婦はご近所でも評判の仲良し夫婦。
二人の息子さんは成人した長男と大学生。Nさんの奥さんは三田寛子さんのような、年齢に左右されないかわいらしさを感じさせる人。
「いい年して恥ずかしいんですけど、お互い未だに大好きで週末は二人でデートに出かけるんです」
出掛ける時は必ず二人で手を繋ぐそう。
「“いつもありがとう“や”大好き“という言葉は子どもの前では恥ずかしいから、LINEで伝える様にしています」
どれくらいの頻度ですか?
「毎日じゃないですけれど、週に2、3回かな? あとは結婚記念日や誕生日、子どもの卒業や入学という節目にも“いつもありがとう”って伝えます」
感謝の気持ちはコトバにしなければ伝わらないもの。
熱愛の秘訣は子どもの前では照れくさいコトバを飲み込むのでなく、LINEを使ってちゃんと伝えることにあります。
■"愛してる"やハートマークは定型文!?
言わなくなるとなぜか言えなくなるのが夫婦間での"愛してる"というコトバ。
マイナビウーマンのインターネット調査によると日常的に「愛してる」と言っている夫婦は1割程度だそうです。
さらに結婚歴が20年以上という夫婦ではもっと少なくなるでしょう。自分の両親を振り返ってみてもどちらかが「愛してる」と抱き合ったりしている姿は記憶にありませんし、手をつないでいる姿さえ記憶にありません。もちろん私自身も最後に夫へ“愛してる”と言った記憶ははるか彼方の遠い記憶(笑)。
もともと日本人はカップル、スキンシップ文化ではないので欧米人のようにはいかずともそれはやはり恋愛感情をキープする上で大切なコミュニケーションなのです。
前述でご紹介したTさんご夫婦もNさんご夫婦も、旦那さんや奥さんの誕生日や結婚記念日には必ずそれを祝うイベントを行っていましたが、どうしても仕事やお子さんの行事が重なりオンタイムで行えない場合はLINEで「愛してる」や"ハートマーク”を入れて愛を伝えるそうです。
特に旦那さんへのLINEに「必ずハートマークは1つ以上入ってしまう」と二組の奥さんはこっそり教えてくれました。
口に出すのは照れくさい「愛してる」というコトバ。
けれど、言わなくなると二度と言えなくなるコトバだからこそLINEを使ってまめに伝えることが、年月を経ても恋人同士の気持ちでいられる関係を維持できる秘訣なのです。