「女性だからこそ」持っている力を見つけるには?
一人ひとりの女性が少しずつ力を蓄えていけたなら、女性はもちろん、誰にとっても生きやすくなる社会に近づけていけるはず。3月8日の「国際女性デー(IWD)」を過ぎた今、そんなふうに思うのです。今回は「女性だからこそ」持っている力に気づくワークをお届けしましょう。
こんにちは、島本薫です。
3月8日に、黄色いミモザの花を見かけた方はおいでですか? イタリアでは「フェスタ・デラ・ドンナ」(女性の日)といって、日ごろの感謝を込めて女性たちにミモザを贈る日なのですが、この日は国連の定めた「国際女性デー(IWD)」でもあるのです。
3月8日には、世界各地で女性のエンパワーメントを掲げた記念行事やイベントが、そしてジェンダー平等を求めるデモやストライキが開催されていました。
記念日が過ぎた今、思うのです。ここで終わりにするのではなく、次の国際女性デーまでの1年間を一人ひとりが少しずつ力を蓄えていくことに使えたなら、女性たちがもっと生きやすくなる社会に近づけていけるのでは?
ということで本日は、「女性だからこそ」持っている力に気づく、ささやかなワークをお届けしましょう。
■女の子だから、できる……?
あれはわたしが社会に出て、ようやく1年が過ぎた頃のこと。
社会の中での「男性」の位置づけと「女性」の位置づけの違いに悩み、うつうつと(それでも精一杯)仕事をこなしていたわたしは、あるアメリカ女性が主催するワークショップのチラシを偶然見つけました。
ワークのタイトルは、“I am a girl, so I can ……! ”
女の子だから、できる……?
どういうことかなと思いながらも申し込みをすませ、久しぶりの英語のワークショップにどきどきして出かけていったのを、今でもよく覚えています。
「皆さん、今日はわたしたちが『女の子だから』できることをたくさん考えてみようじゃありませんか。“I am a girl, so I can ……”。どんなものでもかまいません。この後に、思いつくままに言葉を書き入れてみましょう」
講師にうながされ、黒板に向かった受講生は、思い思いの言葉を書き込んでいきました。
そんな中、わたしはといえば
“I am a girl, so I can be a mother.”
(女の子だから、母親になることができる)
くらいしか思いつかず、あとはチョークをにぎってうろうろするだけ。
ところがところが、あっという間に黒板は、様々なフレーズで埋まっていったのです。
■発見!女性だから「楽しめること」
“I am a girl, so I can ……”
女の子だから、女だから、わたしはこんなことができる。
日本語でかまいません。
あなたはどんな可能性を思いつきましたか?
こりこりに固まった当時のわたしの頭のように、ふっても何も出てこなかった人もいるかもしれません。
可能性? きれいごとはたくさん! とか、まあGirlなら、若ければね……という見方もあるでしょう。
とはいえ、正解があるわけじゃなし、ここは楽しんだもの勝ち。ゲーム気分で少しだけトライしてみてください。“I am a girl/woman, so I can ……”。ほら、たとえば
“I can wear skirt.”
(スカートをはくことができる)
あの日、わたしがまず目を見開いたのがこのフレーズでした。なんだ、そんな簡単なことでよかったんだ。わたし、何かものすごく難しく考えてた?
“I can be fashionable.”
“I can enjoy dressing up.”
女性だからおしゃれできる、というフレーズはいろいろありましたが、中でも面白かったのがこれ。
“I can wear pink.”
ピンクを着られる……なるほど! もちろん、女性だからというわけではないけれど、でも、うなずけますよね。
なんだかちょっぴり気分がわくわくして顔を上げると、目の前に、可能性の扉がどんどん広がっていったのです。
■女性だから、「感情を大切にできる」
“I am a woman, so I can build a good relationship with others.”
(女性だから、他者と良い関係が築くことができる)
そう書いた人もいれば、
“I am a woman, so I can enjoy life more.”
(女性だから、人生をより楽しむことができる)
と書いた人も。
そんなとらえ方があったなんて……。どちらも、わたしにとっては衝撃的なフレーズでした。
また、別の意味で忘れられないフレーズがこれ。
“I can cry.”
(泣くことができる)
短い言葉の中に、甘えではなくぎりぎりまでがんばる強さのようなものが伝わってきて、胸にぐっとささりました。
また黒板には、これと対になるような
“I can laugh!”
(笑うことができる!)
というフレーズもありました。ふふふ、確かに女性のほうが「笑う種」を見つけられる可能性は高そうです。ほかにも
“I can be honest to my feelings.”
“I can perceive what I feel.”
(自分の感情に素直になれる、自分の感じていることを感じとることができる)
といった言葉からは、逆に男性の抱えている「縛り」を考えさせられました。
■女性だから「選ぶことができる」
初めの例に戻るようですが、中にはこんなフレーズがありました。
“I am a girl, so I can wear not only skirt but also pants.”
(女の子だから、スカートもパンツもはける)
受験英語でおなじみ、“not only A but also B”(AだけでなくBも)に、こんな形で出会えるなんて……。驚きを浮かべるわたしたちに、講師はこんな言葉をくれたのです。
「気づきさえすれば、『女性だからこそ、選ぶことができる』ことは、実はいろいろあるのではないかしら」
“I am a woman, so I can select something.”
その言葉は、うつうつとしていた社会人1年生のわたしに、大きな大きな勇気をくれました。
現実の世界には、様々な壁や「ガラスの天井」があるでしょう。でも、そちらにばかり気を取られてうつむいていたら、行き止まりしか見えはしない。扉を開けることはおろか、扉に気づくこともなく、いつしか向こうの青空も見えなくなってしまうことに気がついたのです。
できることと、できないこと。安心できる環境で(これが肝心!)、自分の中のNOTではない可能性に目を向けていくこと。
一人ひとりがそうしていけたなら――そして、一人ではなく、たくさんの人がつながってそうできたなら――女性だけでなく、社会全体がもっと生きやすい方向に向かえることでしょう。
来年のミモザの季節までに、あなたの中の “CAN” の引き出しが一つでも増えていますように。
【参考】
国連広報センター
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/23089/
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN-Women)
http://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/in-focus/iwd2017