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会社員と料理教室講師……パラレルキャリアがもたらしたスキルと感謝(島村真由美)

近年少しずつ耳にする機会が増えた「パラレルキャリア」。一言でいうと「二足のわらじを履く」が近いかもしれません。本業を持ちながら別の活動も行い、自分らしい生き方を実践する女性、島村真由美さんに話を聞いてみました。

会社員と料理教室講師……パラレルキャリアがもたらしたスキルと感謝(島村真由美)

本業を続けながら、同時にそれ以外の挑戦もし、幅広く活動する「パラレルキャリア」。今、新しい働き方のひとつとして注目されています。その実態はどんなもの? パラレルキャリア実践者に直撃する「パラレルキャリアで生きる」シリーズをお届けします。

第1回でお話を伺うのは、会社員として勤めながら料理教室を主宰する島村真由美さんです。

■「思いきり豊かに生き、人の人生も豊かにする力をつけたい」 だから選んだ食という柱

――会社勤めが本業とのことで、どんな仕事をしていますか。

営業ユニットのリーダーとして、メンバーのマネジメントが主な業務です。部下は最大で12人くらいいたこともあります。

――その傍らで、料理教室もされているんですね。資格も取得されたとか。

フード&テーブルコーディネーターのディプロマを2年かけて取得した後、料理教室を始めました(現在、開催は不定期)。とはいえ、今のところは材料費をいただく程度です。今は実績作りが大切な時期と位置づけているので、売上を上げることを目標にはしていません。きちんと実績を積んでから、適正な値づけをする予定です。

――さまざまな選択肢の中から、料理を本業とは別の、もうひとつの柱に選んだ理由は何ですか。

私は「人生を思いきり豊かに生きたい、そして人の人生も豊かにできる人になりたい」と思っているんですね。

私たちは、起きている時間のほとんどを仕事に費やしています。そのため、仕事という切り口から日々を豊かにする力を本業で磨いてきました。仕事でも自分が満足できる成果を残したことをきっかけに、もっと広い視野で誰かを豊かにするために何ができるだろうか、と考えたとき、「おいしい」が多くの人の幸せにつながると気づきました。なにより食べることは人生から切っても切り離せないものですしね。そこで「食」を次の柱にしようと決めたんです。

また以前、ハードに働きすぎて体調を崩しかけたことがありました。そのとき、自分で健康をコントロールするために、料理を極める必要性を感じたのも、ひとつの理由ですね。食べるものは、体を維持する上でも、とても大事なこと。とくに女性の体は男性に比べて頑丈にできていないからこそ、自分で自分を大事にするためにも、心も体も喜ぶものを作って食べることが必要だと考えています。

■会社員と料理教室、2つの柱をもつメリット

――まだ実績作りの段階とのことですが、どのような活動をされているのですか。

ホテルやレストランのお料理や空間に合う食器やテーブルクロス含めたスタイリングを行っています。報酬はお金じゃなくて、おいしいご飯をいただくくらい(笑)。ただ最近は、手間に対する対価をいただけるようになりました。

――料理を極めることで、本業の役に立ったということはありますか。

気分転換になるだけでなく、マルチタスク能力が身につくというメリットがあります。料理はゴールを設定し、効率よく複数のメニューを作るためには何からとりかかればいいか、考えながら同時並行で進めるからです。

このマルチタスク能力が本業でも役に立っています。当社の営業は課題やゴールが異なる複数の会社を担当しており、進捗が異なることを同時並行で進めることが重要です。1つのことだけやって、終わったら次にこれを進めて……というスタイルでは成立しません。

また料理教室を始めたことで、会社員生活では実感しなかった「お金を稼ぐ大変さ」がわかったこともメリットですね。働いていてつい不満や愚痴が出てしまうのは、今いる環境があたりまえになってしまうから、ではないかと思うんです。

整ったオフィス環境で、お客さまからの会社への期待があって、毎月一定のお給料をいただくことができる。これはどれもあたりまえのことでないと強く感じるようになりました。

2本の柱があることで、仕事に対してバランスが取れるようになりましたし、今の仕事や自分が置かれている環境へのありがたみを感じるようにもなりました。

■働く後輩女性たちが「欲張って生きてもいい」と心を軽くできたら

――女性マネジメント職となると、男勝りでバリバリと……というイメージがありますが、島村さんはどうですか?

社内でも「仕事しかしないくらい仕事に全力投球しないと、女性はマネジメント職になれない」と思い込んでいる人が多いんです。でも、実際はそうじゃないんですよね。だから私は男勝りに仕事する姿ではなく、女性らしさを大切にしながらもキャリアを築けることを後輩たちに見せ続けることが人生のミッションだと思っています。

――それはいいですね! そういう人がいると心強いです。

今の職場は、結構バリバリと働く会社なんですね。だからこそ、人生このままでいいかなと悩む女性が多いのが現状です。

私は週末に料理教室を開いたり、ホームパーティを主宰したりと欲張って生きています。仕事以外の場所がある状態。仕事だけがすべてではないよ、楽しいことがたくさんあるよと励みになる存在になれるように、意識的に複数の場所を持っているんだよ、と見せるようにしています。

仕事に感謝して楽しむためにも、仕事一色になるのではなく、「仕事もそれ以外も全力で楽しみながら、年を重ねていけるんだ」と思ってもらえたら、嬉しいですよね。今後は会社の後輩女性たちだけではなく、働く女性たちのリーダーになるためにも、会社だけじゃなく、新しい世界を広げるようにしたいです。

■本業があるから、独自性を打ち出せる

――本業と料理教室の2軸で生きていくにあたり、これからの展望を教えていただけますか。

今度広いキッチンのある家に引っ越すので、「先輩の家に遊びにいく」くらいの気軽な気持ちで、女性たちに来てもらえるような教室にしたいと思っています。

とくに教えたいのは、会社から帰った後、30分で作れる心も体も喜ぶ料理。レッスンでは料理を作りながら、仕事の悩みを聞く存在になりたいです。そのためにも第一線で仕事し続けることが大事だと思っています。

料理を通じて、自分の体を自分で整えることができるともっと豊かな人生を送ることができる、ということを伝えたいです。

だからこそ、私のメインキャリアである営業部門のマネジメント経験+料理という組み合わせは、教室の独自性にもつながると思っています。

私は「仕事は楽しいこと」だと信じているんです。料理教室を通じて、仕事を楽しめる人を増やしたいんですよね。仕事を楽しむためにも、仕事以外の息抜きができる場が必要。仕事以外の場を、料理教室を通して提供できればと思っています。

Text/Photo=ミノシマタカコ

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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