「乳がん体験者コーディネーター」が必要とされる理由

「乳がん体験者コーディネーター」が必要とされる理由

小林麻央さんの報道で、乳がんへの関心度が高まっている昨今。乳がんの経験を踏まえて患者に寄り添う「乳がん体験者コーディネーター」という資格の存在をご存じでしょうか?


37歳のときに乳がんになり、7年に渡ってホルモン療法を続けてきた、フリーライターの北林あいさん。現在はがん患者のサポートを行う「乳がん体験者コーディネーター」の資格を取得、活動しています。この「乳がん体験者コーディネーター」とはどのような資格なのか、どんな活動をおこなっているのか、「乳がんを乗り越える、というより「並走」して生きています」のインタビューに続き、話を伺いました。

――「乳がん体験者コーディネーター」とはどのような資格ですか。

「乳がん体験者コーディネーター」は、科学的根拠に基づく知識を身につけたうえで、がんの経験を踏まえて患者に寄り添える存在です。

資格はWebラーニングとロールプレイ講習を経て取得できます。第一線で活躍する医師から、最新の科学的根拠に基づく知識を学ぶことで、さらに病気を冷静に見ることができるようになりました。また自分の主治医も講師のひとりだったんです。

▼乳がん体験者コーディネーター(BEC)養成講座
http://www.cancernet.jp/training/bec

――資格取得後はどのような活動をされているのですか。

取得後は患者さんと接する機会が増えましたね。週に1回、湘南の病院に通って「乳がん体験者コーディネーター」としてボランティア活動をしているほか、キャンサーネットジャパンのおしゃべりサロンでも相談員をしています。

▼BEC(乳がん体験者コーディネーター)によるおしゃべりサロン
http://www.cancernet.jp/station/tokyo/bectalk

――この「乳がん体験者コーディネーター」には、どこで出会ったのでしょうか。

通っていた病院の情報提供室で出会いました。私も治療中は「乳がん体験者コーディネーター」の方に話を聞いてもらっていたのです。

■自身の乳がんの経験が、誰かの役に立てばいいと思った

――その後「乳がん体験者コーディネーター」になろうと思ったきっかけは何だったのですか?

5年経って病気を客観視できるようになったときに考えたのが、「経験をもとに人の役に立ちたい」ということ。自分でなにができるかな? と考えたときに、お世話になった「乳がん体験者コーディネーター」を思い出したことが、資格を目指したきっかけです。

――多くの患者さんと接することで、気づきや変化はありましたか?

私のときよりさらにつらい副作用と向き合っている人、経済的な悩みを持つ人、親の介護がある人、小さい子どもを抱えている人……みなさん、いろいろな境遇や環境の中で治療を受けていることがわかり、患者さんに対するリスペクトの気持ちが強くなりました。

環境が違うことを踏まえて、ひとつずつ言葉を選ぶなど、患者さん一人ひとりのバックグラウンドを考慮したサポートを心がけています。
また、コーディネーターという役割を得て、「誰かの役に立つ」ことで、つらい経験が報われたと感じる部分もありました。逆に患者さんの強さに励まされることも多いんです。

――患者さんからはどのような質問が多いですか。

質問で多いのが化学療法に関するものですね。ウィッグを揃えたい、皮膚が乾燥するときのケア方法、全摘出手術後に合う下着がないかといった質問には、実際にパンフレットを見せながら案内します。こういうアイテムがありますよ、と提案することもあるんです。

――「乳がん体験者コーディネーター」は、ほかでは話しづらい、乳がん特有の相談ができる相手なのですね。

そうですね。大きい病気は肉体だけでなく、心への負担も大きいもの。友人に病気の話をしても、なかなか共感してもらえないこともありますが、そんなときはコーディネーターを「掃き出し口」として活用してほしいです。ささいな雑談でもいいので、心の中にモヤモヤをためこまないことが大事。話すことで不安がゼロにはならなくても、半分まで減るかもしれない。気持ちを共有することで、ホッとしたり和らいだりすることができると思います。

私は「乳がん体験者コーディネーター」として、心の中にためていたものを話してもらえる相手でありたいと思っています。病気になって、誰かに頼りたいと感じたときは、コーディネーターを頼ってほしいですね。

(つづく)

北林あいさん
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター/フリーライター。医療・ヘルスケアの取材・執筆をしながら、乳がん体験者コーディネーターとして医療法人湘和会 湘南記念病院乳がんセンターなどで患者さんの相談活動に従事。また、女性疾病の予防活動を行う「ココカラプロジェクト」実行委員会メンバーとしても活動している。乳がんのこと.comを運営。
http://www.nyugan-nokoto.com/

Text/Photo=ミノシマタカコ

この記事のライター

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

関連するキーワード


乳がん 北林あい

関連する投稿


乳がんになっても自分を責める必要なんてない。

乳がんになっても自分を責める必要なんてない。

37歳のときに乳がんになり、7年に渡ってホルモン療法を行ってきた、フリーライターの北林あいさん。乳がんと闘病中の小林麻央さんのこと、乳がんの患者さんと接するときのこと……自身の体験から考えることを伺いました。


乳がんを乗り越える、というより「並走」して生きています

乳がんを乗り越える、というより「並走」して生きています

乳がんで闘病中の小林麻央さん。日々綴るブログとともに報道され、大きな注目を集めている。麻央さんのニュースは世の女性たちに、検診へ行くきっかけを与えたと思う。とはいえ、まだ乳がんという病気への理解は浸透しているとはいえない。今、改めて体験者から話を聞いてみたい。


【赤池智子 連載 #2】「がんを放置しなさい」理論は正しくない

【赤池智子 連載 #2】「がんを放置しなさい」理論は正しくない

近年、メディアで頻繁に取り上げられる「子宮頸がんワクチン」問題。それについて考える前に、「腫瘍」と「がん」の基礎知識をおさらいしましょう。


小林麻央・ブログ開設 「なりたい自分になる」に込められた思い

小林麻央・ブログ開設 「なりたい自分になる」に込められた思い

乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央さんが9月1日、新たにオフィシャルブログを開設した。「KOKORO.」と名づけられたブログに綴られた、妻として、母として、またひとりの女性としての麻央さんの思いとは。


【運命よりも、幸せになる。#2】置かれた場所で咲く花は美しい

【運命よりも、幸せになる。#2】置かれた場所で咲く花は美しい

19歳のときに「余命半年」と宣告され、摘出手術後に再発と転移を繰り返し、今も肝臓がんと闘う山下弘子さん。今置かれた場所で、自分にしか咲かせられない花を咲かせているから、彼女は美しく輝いている――山下さんと出会って2年になる鈴木美穂さんが綴ります。


最新の投稿


いくつになってもスタイルがいい女性に共通する4つの習慣

いくつになってもスタイルがいい女性に共通する4つの習慣

いくつになってもスタイルがいい女性を見て、いいなと思う方もいるのでは。確かに年を重ねるにつれ、太りやすく・痩せにくくなるのは事実。しかし、スタイルがいい女性たちの習慣を取り入れることで、美しいスタイルを長く維持できるようになるはず。彼女たちに共通する習慣をご紹介します。


フリーランスになる前に知っておきたいお金のお話<収入編>

フリーランスになる前に知っておきたいお金のお話<収入編>

フリーランスという自由な働き方が気になる方もいるのでは? そんな方に知ってほしい「お金の話」シリーズ。フリーランス歴13年目で、ファイナンシャルプランナーでもある筆者が、「フリーランスはどれくらい収入があれば良いか」を解説します。


あなたにおすすめのコーヒー豆は? 自分好みの味に出会う

あなたにおすすめのコーヒー豆は? 自分好みの味に出会う

今回ご紹介するのはおすすめのコーヒー豆について。日々の生活に欠かせないコーヒー。せっかくなら自分好みの味を見つけたいですよね。コーヒーは豆の種類や加工方法で大きく味が変わります。豆の違いを知って、自分好みの味を見つけてみませんか。


現代東京のリアルな空気を感じる -『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 古川ケイの「映画は、微笑む。」#11

現代東京のリアルな空気を感じる -『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 古川ケイの「映画は、微笑む。」#11

2016年5月に発売され、現代詩集としては異例の27000部の売り上げを記録した詩人・最果タヒによる詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」。この詩集を、映画『舟を編む』の石井裕也監督が実写化。2017年現在の東京を舞台に、不器用ながらもひたむきに生きる二人の男女の孤独と希望が、観る者の胸を切なく、静かに打ちます。


かるくて、ぜいたく、はなやかなBAKEの「生どら焼き」

かるくて、ぜいたく、はなやかなBAKEの「生どら焼き」

BAKE初の和菓子ブランド。新食感の生どら焼き専門店「DOU(ドウ)」が誕生。