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姿勢を正すだけで人生が好転した、ある女性の話

姿勢を正すだけで人生は前向きに変わっていきます。姿勢が良くないと見た目の印象も暗くなるだけでなく、呼吸が浅くなり、脳が慢性的な酸欠状態に陥ることで、心身の不調をも引き起こします。今回は、姿勢を正すことで前向きに生きられるようになったある女性の話をお届けします。

姿勢を正すだけで人生が好転した、ある女性の話

■姿勢を正す前の彼女の口癖は「私なんて」

連載「人生が好転する気づきの美習慣」の第5回では、「姿勢を正す」ことで人生が一変した友人についてお話したいと思います。

パソコンに向かったり、スマートフォンを使う機会が多いこともあって、現代人は、猫背で前屈みの人が多いともいわれますね。

背筋を伸ばして胸を張る。姿勢を正す。ただそれだけのことで人生が劇的に変化するものなのだと知って、とても驚いたエピソードをご紹介します。

ある年下の友人のお話です。

彼女は3人姉妹の長女で31歳。しっかり者のお姉さんというよりは、穏やかで控えめな印象の女性です。出身は東北地方。今は東京で、ヘアメイク専門店の店長をしています。

デートや婚活といった大事な用件の前に女性が立ち寄り、ヘアメイクをしてもらう彼女のお店は、センスも手際も良いことから、とても人気があるのです。

プロの手でヘアとメイクを仕上げてもらううち、女性たちはみるみる美しくなり、嬉しそうに微笑んでお店を後にしていきます。やりがいのある素晴らしい仕事だなと、わたしは友人の職業に深い敬意を抱いています。

そんな人気店で5人のヘアメイクの女性たちを束ねている友人ですが、背中を丸めるくせがあるようで、猫背気味で前屈みの姿勢が、少し暗い印象を与えてしまうのです。

バリバリ仕事をこなしながらも、温和な人柄が変わらない。こんなに素敵な女性なのに、姿勢のせいで印象を損ねているのは惜しいことだなと以前から感じていました。

さらに、彼女には口癖があります。それは、「私なんて」というもの。「色白だから淡い色のセーターが似合うわね」というと、「え~。私なんて色黒いもの」と俯きます。

「お客さまがみんな笑顔でお店を出ていくでしょう? 女性を幸せにできる素晴らしいお仕事ね」と言うと、「そんな。私なんてこれしかできることがないんだもの」と、困ったように笑うのです。

■地元に帰ると「まだ結婚してないの?」攻撃……自信のなさで下を向きがちに

彼女はとても謙虚な人なのだと思います。それにしても、褒め言葉をすべて否定して認めようとしない自信なげな様子が不思議で、ある日、彼女に訊いてみたのです。

「どうしていつも『わたしなんて』って言って俯いてしまうのかな? 責任ある立場で素晴らしいお仕事をしているのに、自信なげに背中を丸めているの、不思議に思えて」

すると彼女は普段より一層俯きがちに、こう告白してくれました。

「だってわたし田舎の出身で、東京育ちじゃないし。田舎に帰るたびに、『結婚はまだ? 30歳を過ぎたのに独身だなんて、もう一生結婚できないんじゃない?』ってみんなに言われるの。そう言われるたび自分でもそんな気がしてきて、どんどん自信がなくなって……」

彼女の告白に驚き、わたしはこう言葉を返しました。

「地方の出身だと何がいけないの? むしろ地方から出てきて、東京で立派にお店の責任者を務めていることが素晴らしいと思うんだけどな。それに、どれほど素敵でもまだ独身っていう女性はたくさんいるでしょう? それはただまだ結婚していないというだけで、その人自身の価値とは何の関係もないこと。堂々と胸を張っていてほしいな。わたしの自慢の友達だもの。背筋を伸ばして。ね?」

「うん……、わかった。ありがとう」。かみしめるように頷きながら、彼女は微笑んでくれたのでした。

■姿勢を正すと心も変わる。名実ともに前向きに生きる女性に

それから1週間後。また彼女と会う機会があったのですが。その日、私は心から驚きました。前に話をしてからわずか1週間しか経っていないというのに、彼女の佇まい、雰囲気がすっかり別人のように一変していたからです。

猫背気味だった姿勢を正すようになっていて、背筋がピンと美しく伸びています。

そのせいもあってのことでしょうか。これまで伏し目がちだった彼女が、まっすぐに私の目を見、微笑みながら話しかけてくれます。

その日彼女はただの一度も「私なんて」と口にしなかったばかりか、瞳をいきいきと輝かせて、夢や希望を語ってくれたのでした。その姿は自分の人生を肯定し、自信にあふれているようにも見えたのです。

「今度のお休みは、家に閉じこもっていないで映画を観にいきたい」といったすぐに実現できそうなささやかな夢から、「将来結婚してもしなくても、今の仕事を大切に続けていきたい」「もっと腕を上げるために、自分を鍛えられる環境を得たい」といった、長期的展望を見据えた大きな夢まで。

うんうん、いいわね、と彼女の夢の話を聞きながら、私は「姿勢を正すことの効果ってすごい」と、驚きを禁じ得ませんでした。

前屈みで猫背の姿勢のまま生きていた間、彼女は下ばかり見がちで、自分のことをネガティブにしか捉えられずにいました。それが、姿勢を正すことで胸を張り、背筋を伸ばす女性へと変わったことで、生きる姿勢まで変化し、前向きになることができたのですから──。

■姿勢を正すと、前向きに歩いていける

あなたも今日から胸を張り、背筋を伸ばすように、少しだけ意識してみませんか?

すると、知らぬ間にうつむきがちになっていた顔が前を向き、視線がしっかりと前方を捉えるようになります。未来を見据える視線を得ることができるのです。

前屈みでいることで浅くなりがちだった呼吸は自然に深くなり、しっかり息を吸い込めるように。すると、集中力を高める脳波であるα波が増えたり、幸福物質とも呼ばれる「セロトニン」が脳から大量に分泌されることで、穏やかな気持ちになれたり。人生そのものに対して、驚くほど明るく前向きになることができるのですね。

「姿勢を正す」。身体の構え方を正しく整えることで心構えまで変わり、人はポジティブになれるものなのです。

一度きりの人生を、一緒に、前向きに生きていきましょうね。 二度と帰らない今、この瞬間を、大切に愛おしみながら──。

この記事は2016年10月18日に公開されたものです

湯木 景子

各女性誌ライター、広告プランナーとしての豊富な経験をもとに、女性が人生をより楽しく生き、魅力を磨くためのコンテンツをお届けしています。

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