後悔しない、アラフォーからの転職
DRESSの対談コンテンツでおなじみの川崎貴子さん。今回は、長年働く女性のサポートを行ってきた実績から、転職を考えるアラフォー女性へアドバイスをいただきました。
私はジョヤンテという人材コンサルティング会社を経営しております。現在はコンサル事業に特化しておりますが、過去18年間は女性に向けたお仕事紹介サービスを提供してまいりました。その経験から、「失敗しないアラフォー女性たちの転職」に関して今回お話させていただきたいと思います。
■アラフォー女性が転職するチャンスは増えた
「転職にチャレンジできる、これが最後のチャンスかもしれない」
「家族ができた。もしくは他の理由で生活が変わったので」
「精神的、もしくは体力的に、今の会社にはこれ以上いたくない」
アラフォーの転職希望理由は、大きくこの3つに集約されます。
そして、昔も今も求職者数は潜在求職者数あわせてとても多い。ところが、長いこと「企業の求人ニーズは35歳まで」という通説があり、確かにリーマンショックの頃には、一部のハイキャリア人材以外、アラフォーの求人市場は大打撃を受けたものです。
しかし、2012年頃から徐々に求人数が伸び続け、現在では他の世代と比例して増加傾向にあります。また、時短や残業なし、転勤無しの求人など多様な働き方を推奨する企業も増え、ライフスタイルに合わせて仕事を選べるようになりました。よって、過去に比べるとアラフォー女性たちが転職するチャンスは増えたといえるでしょう。
ですが、第二新卒やアラサー転職希望者より求人数が多いわけではありません。また、アラフォーの転職希望者は社会人としてベテランですから、当然自らの企業を見る目も厳しくなります。同じように、企業のアラフォー求職者を見る目も厳しい。一部の「企業がどんなに募集しても採用できない(該当者がいない)」と言われている資格やスキルを持っていない限り、過去の就職、転職経験より難関であるということをまずは肝に銘じておきましょう。
■転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないための処方箋
覚悟を決めた転職ですから、失敗は避けたいところです。転職成功に向けてのチェック項目を一部紹介しますので、参考にしていただけると幸いです。
a.今一度、本当に転職するのが正しいかを冷静に判断する
その転職希望理由は、会社や上司に掛け合って解決できない問題かどうかを判断、もしくは上司に相談してみましょう。部署移動ができたり、会社の制度を利用できたりして解決できる問題かもしれません。
b.「企業目線になって」キャリアの棚卸しをする
アラフォーの皆さんは、後輩を育てたり、採用に携わったりしながら企業側の目を養ってきたはずですから、それを生かさない手はありません。そして、多くの企業がアラフォー人材にプレイングマネージャー要素を求めています。企業側に立っていた頃を思い出しながら、自身の専門性や業務内容だけでなく、現場でどのような問題解決ができ、どのように周囲や後輩をマネージしてきたかなど、丁寧に棚卸しをしましょう。
c.優先順位を付ける
求職者にとって、すべてにおいて100%素晴らしいという企業はありません。自分は何を優先して何を譲れるのか、順位を決めて書き出しておくと良いでしょう。転職活動を始めて1年以上決まらない人の多くが譲れない10から20以上の希望があり、優先順位を付けないまま面接を繰り返しています。譲れる部分はこだわらないという大らかさがないと一生決まりません。
d.ターゲット企業を徹底的に調べる
面接時にあれもこれもすべて聞くのはとてもマイナスな印象です。企業側は面接時に、アラフォー女性が年齢的にも会社になじんでくれるかどうかを厳しく見ています。事前に調べ上げて、面接時には確認のみ、もしくは2〜3の質問に留められるようにしておきましょう。
(1)ネット、四季報、ブログやSNSなど、内部や社風が解るような情報をCIA並みに集められるだけ集めて判断する
(2)その会社の製品を実際に買い、お客としてサービスを受けてみる
可能な業態ならばお客の立場に立ち、社員のレベル感を体験し、その会社の現在と将来性含め判断材料にしましょう。
(3)人材紹介会社を利用する場合は、そのクライアント企業に何人も紹介したことがある、精通した会社にする
社風や求人の傾向、条件なども詳しく聞きましょう。
e.面接対策は入念に行う
「アラフォーになって今さら面接対策?」と侮ることなかれ。入社面接は15年前、10年前という人も少なくありません。そして、面接慣れしていないと、皆さん例外なく緊張して、しどろもどろになってしまっています。自分を客観視して、「こんな人と一緒に働きたい」と思われる素直さや前向きさ、意気込みなども表現しながらしっかりプレゼンできるかどうかは、事前の「面接対策」にかかっています。是非馬鹿にしないで準備、練習をしてみてください。
■ひとりでも多くのアラフォー女性に幸せな転職を
私も、転職ではありませんが、40歳から他社の取締役をしたり、新しい分野にチャレンジした経験があります。一から違う分野や場所に飛び込むのは多少勇気がいることでしたが、新たな人脈や知識が身に付き、マンネリ気味だった自分にさらなる成長意欲が沸き、今ではチャレンジしてとても良かったと思っています。
前述したとおり、「アラフォーの転職」に事前準備や慎重さは不可欠だと思っていますが、未来を開いていくことは本来とてもワクワクすること。そのテンションでひとりでも多くのアラフォー女性たちに幸せな転職を実現していただきたいと願っています。
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