夏に花を長持ちさせたいなら、「人が涼しく眠れる場所」にすぐ移動!
リビングに活けた花が1日でしおれかけている――そんなときは「飾り場所」を見直してみるのが先決! 夏に花を飾るのに適した場所、適さない場所を知っておきましょう。
ママ友数人が遊びにくるというので、花を買いリビングに活けておいた。ところが夜に帰宅してみたら、昨日活けたばかりの花がもうしおれかかっていているではないか! いくら夏でも傷むのが早すぎる。若干怒り気味に、閉店間際の花屋のおばさんの店に駆け込んだ。
「おばさん! 昨日の花、古かったんじゃないのっ?」
「ん? どうした?」
おばさんは、涼しい顔でバケツを洗いながら、そっけなく答える。
「昨日買った花、1日しか経っていないのに、もうしおれかけてるのよ」
「ふう〜ん」
おばさんは床をほうきで掃きながら、メガネの奥の細い目をしばたいて少し考える顔をした。
「由樹子さん、アンタその花どこに置いた?」
「リビングの飾り棚の上」
「その近くに、南や西向きの窓か、空調の吹き出し口がない?」
おばさんの言ったとおりだ。少しでも涼しい場所がいいのかなと、エアコンの風の吹き出し口の真下にわざと花を置いた。おまけに昨日は暑かったので、1日中冷房をつけっぱなしだった。
「人間も、直接空調の風にあたっていると、肩がこったり頭痛がしてきたりするでしょ? 花も同じ。人間が快適に過ごせない場所は、花も快適に過ごせないんだよ」
おばさんによると花を飾ってはいけない場所は2つあるらしい。
1つはとにかく暑い場所。南向きの窓辺や、火を使うキッチンなどは、人間も夏に長時間過ごすのはツラい。花も人間と同じで呼吸が速くなり、成長が進みすぎてしまう。また花瓶の水にバクテリアが繁殖しやすく、花を傷める原因となるそうだ。
もう1つが空調の吹き出し口に近い場所。植物は蒸散作用といって、葉の裏側の気孔を開き、水分を空気中に出して呼吸をしている。ところが空調の風にさらされることで、バリバリに乾きすぎた洗濯物のように、水分を奪われてしまうらしい。
「ということは、夏に花を飾っていい場所って……」
「由樹子さんが涼しく眠れる場所。北向きの玄関やトイレ、洗面所なんかがいいよね」
おばさんは、しおれた花を生き帰らせる秘策も教えてくれた。花の上の部分を新聞紙でくるっと巻いて、茎を1〜2㎝切り、バケツに入れて数時間水を吸わせると、シャキッとするそうだ。
作戦変更だ。リビングに花を飾るのはやめて、北向きの薄暗い玄関に明るい花を飾り、お客さまを迎えよう。
+++ もなみのちょい足しポイント +++
最後の「花をシャキッと蘇らせるコツ」の部分は「水揚げ」といいます。新聞紙を巻くのは、花首がだらんと下を向かないようにするためです。茎の先端をハサミで1〜2㎝切り、すぐに花瓶やバケツに入れます。「バケツに水を入れて水中で茎を切る」と解説してある本もありますが、普通に切るだけの「カラ切り」でまったく問題ありません。茎は切られて数分すると切り口が乾いて水を吸い上げにくくなるので「すぐに」水に入れるのがポイントです。