輪湖 もなみ さんが 2016/07/12 に更新
仕事も恋もがんばる女性は自分を重ねてぐっとくる!映画『フラワーショウ!』レビュー

仕事も恋もがんばる女性は自分を重ねてぐっとくる!映画『フラワーショウ!』レビュー

イギリスの「チェルシー・フラワーショー」という大会をご存じですか? エリザベス女王が総裁を務め、英国王立園芸協会が主催する、世界最古で最高峰のガーデニングコンテストです。今回の「ちょい足しボタニカル」では、ボタニカル作家・輪湖もなみが、同ショーに挑む女性の姿を描いた映画『フラワーショウ!』の魅力をご紹介します。

ちょい足しボタニカル 映画

■ストーリー

この映画は、アイルランドの田舎で育ったメアリー・レイノルズが、権威主義のはびこる保守的なフラワーショーに新風を呼び込み、ショーの歴史を塗り替えた実話をもとにしています。彼女は、上流階級の壁や資金繰りなど次々立ちはだかる困難に立ち向かい、豪華な花を使わず雑草とサンザシの木だけで、自然と人との共存というメッセージ性にあふれた斬新な庭を作り上げます。そして初出場にしてゴールドメダルを獲得し、フラワーショーに新風を巻き起こしていきます。

■人生どん底からの逆転劇!信念は人を動かす

主人公のメアリーは「自分のデザインした庭で世界を変えたい!」という夢を叶えるため、有名なガーデンデザイナーのアシスタントに採用されますが、さんざんこき使われたあげくに、大切に描きためたデザインノートまで盗まれクビになってしまいます。金なし実績なし仕事なしで人生どん底。私も自分自身の起業当時のことを思い出して、ついクスリと笑ってしまいました。

一念発起して、チェルシーフラワーショーに応募しようとしても、若くて無名だからという理由で願書すらもらえません。なんとか応募しファイナリスト8名のうちの1名に選ばれたものの、25万ポンドの資金を調達し、80日後に施工開始、3週間で庭を完成させなくてはいけない。問題は山積みです。でも、メアリーはとにかくしつこい(笑)。夢も恋も負けられない! と、彼女が挑戦し続け、次々と困難を乗り越えていく姿に、いつの間にか自分を重ね合わせ、背中をぐいぐい押してあげたくなりました。

彼女はどうして自分や人を動かすパワーを持ち続けることができたのか。それは彼女に壮大な「信念」があるからこそだと私は思います。

自然や植物や花は、一部の金持ちしか楽しめないものじゃない。人々の心の中に、まるで故郷に帰るような自然を作り上げたい、という信念です。単にゴールドメダルをとって有名になる」といった自分の小さな枠を超え、人々を幸せにするためにもっと大きな理想を追いかけること。それが周りを巻き込む大きな力になってくれるのです。

政治家でも財界人でも教育者でもスポーツマンでも。私利私欲を超えて、社会のために理想を掲げ、挑戦し続ける人は、人の心を打ちそれが応援されるパワーになっていくのではないでしょうか。

■人は自然の一部。だから、人は自然に癒される。

この映画のもう一つの見どころは、自然が織りなす映像の美しさです。舞台はアイルランドの田園風景から、エチオピアの聖なる山の頂まで。圧倒的な自然美に心が洗われます。
なぜ私たちは、こんなにも自然に癒されるのでしょうか。

私たちが「サル」から「ヒト」になってから500万年経ちますが、そのほとんどの時間は自然の中で暮らしてきました。「ヒト」がコンクリートやビルなど人工的なものに囲まれた都市生活を始めたのは、たかだかこの200年〜300年です。歴史全体の長さからみたらわずか0.01%だから私たちは文明社会にときどき疲れてしまうんですね。そんなとき自然に接することで回復することができるのです。

アーユルヴェーダや中国医学、漢方など、世界各地の伝統医学にも、昔から植物が積極的に用いられてきたのも、こうした自然パワーを熟知している先人の知恵です。

私たちが花や緑、自然と接することは、大きな自然エネルギーの力をかりて、日々のストレスに傷ついた心と体の痛みを和らげることです。自分を自然の一部に戻し、お母さんから癒しをもらうのと似ています。

最近ちょっとお疲れ気味かも……と感じる方は、ぜひこの映画で壮大な自然に触れ、人は自然の一部であることを実感してみてください。夏を乗り切る元気をもらえるはずです!

『フラワーショウ!』公式サイト
http://flowershow.jp

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