美ドレスにうっとり！フランスのファッション＆メイクの世界に浸れる展覧会はMUST GO
GWの予定は決まりましたか？ まだ悩んでいる……そんな方には、ポーラ美術館の企画展「Modern Beauty－フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代」はどうでしょう？ 女性のファッションの歴史や革命にふれるひとときを。
ドレスが女性服のスタンダード――かつての西洋ではそうでした。地面につくような裾、大きなふくらみ、キュッとコルセットで絞められたウエスト……これらが短い裾、ゆるりとしたデザインへ転換したのはわずか1世紀前の出来事です。
ポーラ美術館では3月19日より「Modern Beauty－フランスの絵画と化粧道具、ファッションに見る美の近代」と題して、女性ファッションの変遷を紹介しています。美しいドレスや絵画でみるファッションの変化の裏には、時代の大きな流れがありました。
■ドレス＆絵画で当時の流行がわかる
童話に出てくるドレスのイメージといえば、丸いラインを描いたスカート。そんなイメージにぴったりのこのドレスは1850～1860年代に流行ったデザイン、クリノリンスタイルです。今回の展示は当時の絵画と同じスタイルのドレスを同時に見られるのが魅力。
奥に飾られている絵画はルイ＝ガブリエル＝ウジェーヌ・イザベーの≪テュイルリー宮殿庭園のマティルド皇女≫（1855年）、手前に近いデザインのドレスを展示
クリノリンスタイルが流行った時代のファッションリーダーは王室や貴族といった身分の高い人々だったので、絵画に描かれているのも皇女さまです。
現代のマネキンには昔のドレスを着させられない（！）そうで、当時の体型に合わせた特別製のマネキンが登場。実際に目の前に立つとわかるように、当時の女性は今よりもなで肩体型。とても華奢で小柄だったようですよ。
この頃のフランスでは産業革命が起きていました。小売を行う百貨店ができたり、印刷技術が進みジャーナリズムが発展したりした時期。流通の流れが変わることで、ファッション情報や購入手段も変わっていきました。
■スタイリストは画家自身！
1860～1870年代に活躍したのは、印象派と呼ばれる画家たち。当時活躍した画家の中から、今回の展示のイメージアイコンとして、エドゥアール・マネ≪ベンチにて≫（1879年）が採用されています。
エドゥアール・マネ≪ベンチにて≫（1879年 パステル/カンヴァス）
生粋のパリジャンでおしゃれ人間だった画家・マネは、自分でモデルの服を選んでいました。この絵画の帽子もパリの有名なお店で買ったものでは、と言われているそうですよ。
また仕立屋の息子として育ったルノワールもモデルの服をスタイリング。しかも、自分でモデルに着せるためのドレスを所有していたのです。今でいうと、貸衣装がある写真館といったイメージでしょうか⁉ 別人が同じドレスを着ている絵画も展示されていました。
ピエール・オーギュスト・ルノワール≪髪飾り≫（1888年 油彩/カンヴァス）。奥の女性が着ているドレスと同じバッスルスタイルのドレス。お尻が突き出たデザインが特徴
この時代はまだコルセットをするのが主流でした。しかし、この後ある歴史的な出来事が女性のファッションにも大きな影響をもたらします。
■流行、戦争……女性のコルセット解放時代へ
1900年代になるとコルセットを絞めてウエストを細く見せるスタイルが流行します。でもギュッと体を締め付けることは体に良くない。さらにこの時期から旅行やスポーツを趣味として楽しむようになり、動きやすい服装が好まれるようになりました。そんな中、1906年、「女性解放者」として有名なデザイナー ポール・ポワレがコルセットをしないドレスを発表します。
さらに1914年になると第一次世界大戦が勃発。戦争には男性が多く取られたため、女性も働かなければなりません。コルセットもなくなり、スカート丈も短くなっていきました。
女性の社会進出や戦争が、どれくらい大きくファッションを変えたのか。その象徴的な絵がこちらです。
キスリング≪ファルコネッティ嬢≫（1927年 油彩/カンヴァス）
先ほどまでのドレスと違い、肌の露出が激増。膝も見えているので、スカート丈もぐんと短くなりました。わずか16年ほどの間にファッションが大きく様変わりしていたのです。今から20年前の服装を見てもさほど変化していないことを思えば、このときの変化の大きさには目を見張るものがあります。
この絵画が描かれた1920年代からは、スカート丈が短く、ウエストもゆったりしたものが主流になります。またマネキンも現代サイズに。体型も服装とともに変化してきているのですね。
ゆったりワンピ＆肩には毛皮。アールデコと言われるスタイル。現代でも通用しそうなデザインに
■展示は9月4日まで
2Dの絵画ではなかなか知ることができなかった、立体的なファッション造形。時代の流れとあわせてファッションの変遷も知ることができる今回の展示は9月4日（日）まで。関連イベントも随時開催されているほか、レストランでは展示にちなんだ特別メニューも用意されています。
緑豊かな自然の中にあるポーラ美術館は散策にもぴったりの場所。自然や美術、そしてファッションを楽しみに訪れてみてください。
Text／Photo＝ミノシマタカコ
＜イベント情報＞
ポーラ美術館
「Modern Beauty－フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代」
会期：2016年3月19日（土）～9月4日（日）
休室：6月16日（木）
http://www.polamuseum.or.jp/sp/mb_2016/
