幸運を呼び込む! 風水効果抜群の植物を元気にしよう
ところどころ葉が枯れて、しゅんとしていた自宅のサンセベリア。ほんのひと手間の植え替えで、見違えるほど元気になるんです。
自宅の近くに観葉植物専門店ができた。平屋建ての山小屋のような店先には、壁にも床にも棚の上にも、様々な色や形の観葉植物が、居心地よさそうに並んでいる。中に入ろうかと店先をウロウロしていると、店の中から、ハッとするほどイケメンのお兄さんが出てきた。ツヤツヤの肌と、笑うと覗く白い歯、少しグレーがかった不思議な色の瞳。クタッとしたネルシャツがこんなにも似合う男性を、私は初めて見た。
「わからないことがあったら、なんでも聞いてくださいね」
少年のような笑顔を向けられた。
何がわからないのか、私にもよくわからないけど、私はこのグリーン王子(見た瞬間、私は彼をこう命名した)と、とりあえずもっと話がしたくて、こんなことを口走ってしまった。
「あっ、あの、こちらの植物ってなんだか生き生きしてるっていうか……。うちにもグリーンがあるんですけど、こんなに元気じゃないんです!」
「住まいは、お近くですか?」
「あ、はいっ!」
「でしたら、そのグリーンを一度お持ちください。どうしたら元気になるか、ご提案しますよ」
そう言われて、私がそそくさと家にあったグリーンの鉢を店に持ち込んだのは言うまでもない。
「サンセベリアですね。これ、何年くらい経ちますか?」
「2年……くらいです。水やりはしていたのに、葉が枯れてきてしまって」
「根が伸びて、今の植木鉢が少し窮屈になっているようです。2年経つと土の養分も不足してきますから、外の鉢カバーをはずして新しい植木鉢に植え替えてみてはどうでしょう?」
(鉢カバーと植木鉢ってなにがどう違うんだ?)
グリーン王子は、私の心の声を見透かしたかのように説明してくれる。
「観葉植物は大抵プラスチック鉢に入って売られていますよね。それをそのまますっぽり入れて、見栄えをよくするためのものが鉢カバー。そして、鉢の底に穴が空いているのが植木鉢。植物を直接植えるものです」
王子はそう言って、籐かごの鉢カバーを外し、白いプラスチックの鉢の代わりにする、グレーのシンプルな植木鉢を出してきてくれた。まず鉢底の穴から土が流れ出ないように鉢底ネットを敷き、鉢底石、土の順に入れ、白いプラスチックの鉢からサンセベリアを抜いて手際よく植え替えていく。
(わりと手間がかかるのね)
すると、グリーン王子はまたまた先回りしてこんなことを言う。
「土や鉢底石はホームセンターやネットでも手に入ります。慣れれば女性一人でも簡単にできるようになりますよ」
じょうろの水で葉についたほこりを洗い流すと、我が家のサンセベリアはスッキリとモダンな姿に変身した。服を着替えてシャワーを浴びたイケメンみたい。ツヤツヤしてなんだか嬉しそうだ。
このサンセベリアは、引っ越し祝いでもらったもの。空気清浄効果があって育てやすいから風水効果抜群よ、と言われた。私はこの植物を、大切にしていなかったわけじゃない。ただ、どう扱っていいかわからなかったのだ。
恋愛や人間関係もわからないことは多い。でも、マニュアル本を100冊読んで想像するより、直接会ったり話したりするうちに、なんとなく扱いのコツがつかめてくるものだ。植物との付き合いも、ひと手間かけて経験し、失敗したり教わったりするうちに、初めて見えてくるものがあるのかもしれない。
「しっかりいい気を呼び込んでね、イケメン君!」
そう話しかけ、私は生まれ変わったサンセベリアを、カーテン越しの光があたる窓辺に置いた。
+++ もなみのちょい足しポイント +++
春から秋は、観葉植物の植え替えに適した季節です。「鉢底から根が飛び出している」「土の表面に水をやっても染み込んでいかない」などの状態になっていたら、植え替えのタイミング。ぜひチャレンジしてみてください。手順を補足してご紹介します。
【植え替えに必要なもの】
・観葉植物用土(観葉植物用に配合された専用土が売られています)
・鉢底石、軽石(植木鉢の底に入れると水はけがよくなります)
・シャベル
・マルチング材(土がむき出しにならないようカバーするためのもの。なくても可)
こちらでも買えます→「園芸ネット」 http://www.engei.net
【植え替えの手順】
1)植木鉢は、ひとまわり大きなサイズを選びましょう。土が流れ出ないように、穴の大きさに鉢底ネットをひきます。
2)「鉢底石」を2cmくらい入れ、その上に「観葉植物用土」を2〜3cm入れます。
3)植物を鉢から抜き、根っこについた土をほぐしながらとりのぞき、2)の上に置き土を入れます。土の高さは鉢のふちより低くなるように。
4)植え替えが終わったらたっぷりめに水を与えます。葉にほこりがついている場合は、ハス口(小さい穴がたくさん空いたシャワーのような注ぎ口)で、葉にも水をかけて洗い流します。ハス口じょうろがなかったら、霧吹きで代用します。
5)お好みで土の上にマルチング材を置きます。石やヤシ繊維など様々な種類があるので、雰囲気があったものを。
6)カーテン越しの光が当たるくらいの、明るめの室内に置きます。土が乾いたら土の表面に水やりをします。栄養剤は避けてください。
【日頃のお手入れ】
・水やりは毎日せず、鉢の表面の土が乾いたらたっぷり与えます。
・ときどき霧吹きで水をかけてあげると、葉っぱが水を吸って生き生きします。ついでに葉についたほこりも流してあげましょう。
・サンセベリアは夏になったら水や肥料を十分に与えます。(植物の種類によって異なります。)
・ほとんどの観葉植物は、日当たりのいい場所が好きです。カーテン越しの明るい窓辺などに置けると理想的ですが、直射日光や空調の風が直接当たる場所は避けましょう。