「社内で量より質の仕事を作っておこう」 41歳で出産した女性役員に聞く、産む前にしておきたいこと

「社内で量より質の仕事を作っておこう」 41歳で出産した女性役員に聞く、産む前にしておきたいこと

仕事が楽しすぎて、アラフォーにさしかかるまで、全力疾走——。でも、ふとした瞬間、「何かが足りない気がする」「このままでいいのかな」と迷い、立ち止まる女性もいるのでは。


仕事が楽しすぎて、アラフォーにさしかかるまで、全力疾走——。でも、ふとした瞬間、「何かが足りない気がする」「このままでいいのかな」と迷い、立ち止まる女性もいるのでは。

ユナイテッドアローズで女性初かつ最年少で執行役員となり、41歳で出産を経験した山崎万里子さんもその一人でした。リプロエージェントが1月30日に開催したイベント「高齢出産のリアル・育児に活かせた仕事のノウハウ」に登壇した山崎さんの実体験をレポートします。

■40歳で人生の棚卸しをして「子どもが欲しい」と思った

山崎さんが結婚したのは、36歳のとき。結婚当初は子どもを持とうとは思っていなかった山崎さんに心境の変化が起きたのは、自分の人生を棚卸ししたときだったといいます。

「こなしてきた莫大な量の仕事の達成感しかないことに気づき、生き方や働き方を変えるべきなのではないかと思ったんです。そのときに頭に浮かんできたのは子どもを持つ暮らしでした」

このとき山崎さんは40歳。夫に「子どもが欲しい」と結婚以来初めて伝え、妊活をスタートしました。妊活半年で自然妊娠したものの、山崎さんは染色体異常などの遺伝子リスクに直面します。

「妊娠中の体調は絶好調。でも41歳での妊娠ですから、遺伝子リスクはありました」。ダウン症などの染色体異常が起こるリスクは、20歳では1/1600であるのに対し、40歳では1/100と、年齢が上がるにつれて確実に上がっていくというデータがあります。

「妊娠中にNIPT(出生前遺伝学的検査)という最新の出生前診断を行い、結果は異常なしで安心しました。でも、万が一異常が出たときは出産しないと決めていたんです。これから出生前診断を受ける女性は、検査結果を見てどうするかを、あらかじめ決めておくことが大切だと思います」

その後、和痛分娩で元気な男の子を出産。出産時の痛みはお腹がチクチクする程度だったそう。

■すべては子どもの笑顔が基準! 巷の情報に惑わされない

出産を経て、いよいよ自宅での子育てがスタート。山崎さんは、仕事が好きな女性ほど気をつけるべきことがあると話します。

「完璧主義やこだわりの強さは、産後うつの原因になるので要注意です。赤ちゃんはミルクを飲まなかったり、気まぐれに泣いたりします。私はそういった『自分でコントロールできない状況』に陥って、うつになりかけました。だから、全部自分でやるのをやめたんです。育児だけで大変なのに、そこに仕事が加わればパンクしますから。両親と夫、私の4人体制で育児に臨みました。

こういうときは自己肯定が大切なんです。私は平日に子どもと過ごす時間は2時間ほどしかありません。母が食事の用意をしてくれるし、『母親としてこれでいいのかな?』と感じることがあります。でも、判断基準は子どもの笑顔です。子どもが笑顔でいるならば、これでいいのだと思うことにしています」

リラックスして、ストレスをためずに子育てをするには「ほど良く手抜きをする」「頑張らないことを頑張る」「行動の基準は、ネット上にあふれる情報ではなく、子どもの笑顔をベースにする」が重要だと山崎さんは言います。

■産む前にやっておきたい2つの意識改革

続いて話は、高齢出産に備えてどんな準備をしておくといいか、といったテーマに。

「1つめは、量ではなく質で仕事をするよう、切り替えておくこと。量だけで仕事をしていると、復職したときに絶対にこなせません。2つめは、自分にしかできない仕事を作っておくこと。復職したときに自分が楽ですし、新しい仕事にチャレンジする機会を得られやすいですから」

高齢出産をする女性の場合、会社でのキャリアがあるため仕事に裁量を持っていることもあります。仕事のペースなどの要望を出しやすいというメリットを享受しつつも、よりチャレンジできる環境に向けて、出産前から備えておくことは必須だと山崎さんは強調しました。

「分娩の仕方、仕事の仕方……どれも正解はありません。フルタイムを希望する人、時短勤務を希望する人など、個人の考え方や状況によって様々でしょう。どんなケースであれ大切なのは、自分のビジョンを持ちながらも、完璧を求めないこと。妊活や子育ては予想外のことばかりですから、理想が高すぎると参ってしまいます。しなやかな軌道修正力と自分で自分を幸せにすることが大切です」

女性の活躍がめざましい現代だからこそ、仕事と子育てをどう両立させるかが課題になっています。「子育ては母親がやるもの」といった、既存の価値観にとらわれるのはやめて、ひとりで抱え込まず、周囲の力も上手く借りながら、柔軟な発想で仕事と子育てに取り組みたいものです。

Text/Photo=薗部雄一

この記事のライター

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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