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新卒1年目の妊娠、出産でゴールドマン・サックスを退職~起業に至る道

新卒でゴールドマン・サックスに入社、1年目で妊娠。同社が激務なこともあり、子育てとの両立は無理だと感じ退職。その後、知識をマッチングするサービス「visasQ(ビザスク)」で起業するまで経験を背景に、女性のキャリアについて端羽英子さんに語っていただきました。

新卒1年目の妊娠、出産でゴールドマン・サックスを退職~起業に至る道

■新卒1年目の妊娠、出産でゴールドマン・サックスを退職

はじめまして。知識をマッチングするサービス「visasQ(ビザスク)」を運営する(株)ビザスク代表を務める、端羽英子と申します。女性の起業やキャリアのつくり方をテーマに、今月から連載を始めます。

新卒でゴールドマン・サックスの投資銀行部門に入社したのが、私のキャリアのスタートでした。就活し始めた頃は、仲の良い友達の多くが官僚、日銀、大学院進学の道を選んでいて、「GS」(ゴールドマン・サックスの略称)をガソリンスタンドの略だと思っていたくらい(笑)。「外資系証券会社」に就職する人は少なかったのですが、地元・熊本で地銀に勤める父の話から金融に面白さを感じていたことと、どの部署に配属されるか明確で「私もプロフェッショナルになれる!」と思って入社を決意。

来たる就職に向けて仕事へのやる気が満ちあふれるとともに、学生時代から付き合っていた彼とも、就職後はお互い忙しくなるだろうし一緒に住もうか、だったら結婚しようかと大学卒業直前に結婚。さすがにまだ結婚は早すぎるんじゃないかと反対する両親を「あのとき結婚しておけば良かったなと思うより、結果ダメでもベストは尽くしたなと思いたい」と説得。「やらない後悔よりやる後悔」はこの後の人生のモットーになりました。

就職後は忙しくなるだろうとの予想は大当たりで、毎日朝から深夜2時3時頃まで働いて、0時に帰宅すれば「今日は早かったね」と言われるほどの激務。噂にたがわぬとても忙しい仕事から、新卒1年目で何よりも学んだのはコミットメントすることでした。当時の先輩たちからは「競合も99%まではできる。最後の1%まで完璧を追求してやりきるのが俺たちなんだ」と叩き込まれ、「お給料をいただいて働く」ということへの意識の基準を上げてもらったと思います。

■「子どもを持ちながらこの激務は無理」と諦めた

そんな忙しい中、入社1年弱で妊娠(今思うと、種の保存の意識が働いたんじゃないかと……)した私。育てるだけ育ててもらって、本当に申し訳なかったと思うものの、当時は「今でもいっぱいいっぱいなのに、子育てしながら深夜まで働くなんて到底できないし、配慮してもらえば誰かにしわ寄せがいくし、負い目を感じて苦しく働きたくない!」という若気の至りで、育休も取らずに退職届を書きました。

特にニューヨークの本社は女性の活躍の機会を守ることに寛容で、わざわざ東京オフィスの実績も何もない1年目の私に「妊娠したからって辞める必要はないし、会社は配慮できるよ」と電話を入れてくれるなど、本当によくしてもらいました。一方で、未だに尊敬しているくらい超優秀な上司の「どうして旦那さん側の方を採用した会社は配慮しなくていいのに、君を採用した僕たちは配慮しなくちゃいけないのかと正直思うことはある……」という本音の感想や、つわりできついときの「〇〇さんがサボっているって言ってたよ」という耳打ちもあって、完璧を目指さなきゃと気を張り詰めて働いていたぶん、頑張れないなと感じたのです。

■激務・プレッシャーからの解放。次の道へ

正直言って辞めたときは、プレッシャーから解放されてホッとしました。「晴れた日に 洗濯を干す 幸せだ」と一句読んで、専業主婦だった母にメールを送り「いいよねー」と盛り上がったことも。でもすぐに「石の上にも3年っていうのに、私は頑張りきれなかった」というコンプレックスが大きくなっていきました。頑張っている同期や大学の同級生に会いたくなかったし、オフィスが入っていたビルは見たくなかったし、「やっぱり働きたい!」と。

子どもを産んだら絶対またすぐに働こうと思ったとき、仕事を通じて学んだ中で、英語と会計は好きだったことを思い出しました。この2つの掛け算があれば、育児が始まって働ける時間に制限があったとしても「スーパー派遣社員」的な仕事が見つかるんじゃないかな? 米国公認会計士(USCPA)の取得を目指し、勉強を開始したのはそれからすぐのことでした。

妊娠中から資格取得に励み、転職するまで~起業に至る道

https://p-dress.jp/articles/1535

「出産後に働きたい!」と思い、妊娠中から資格取得に励んだ端羽英子さん。無事に米国公認会計士の資格取得に成功するも、面接で思うようにいきません。そんな端羽さんが強く望んだ日本ロレアルに転職できた理由とは――?

端羽 英子

ビジネスのことなら何でも1時間〜聞けるスポットコンサルティング「ビザスク」の代表取締役。「世界中の知見をつなぐ」をビジョンに、日々奮闘中。東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券投資にて企業ファイナンス、日本ロレア...

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