【井筒麻三子のパリジェンヌ修行中】マルシェのある生活。
パリ2年生ライター井筒麻三子がパリの文化、情報を発信!! パリに暮らし始めてからよく聞かれるのが「パリのどこがいいの?」「何が違うの?」という質問。
パリ暮らしでよく聞かれること
パリに暮らし始めてからよく聞かれるのが「パリのどこがいいの?」「何が違うの?」という質問。
東京に居た頃に比べたら、確かにいろんなことが至極不便。
フランス語はまだまだままならないし、おかげで日本ならば問題にさえならないことも、ここではイチイチつまずいたり。
以前よりは随分マシになったとはいえ、相変わらず犬のフンはそこら中に落ちていて、通りは常に気をつけて歩かなくちゃいけない。
フランス人はよく言われる通り、個人主義で勝手。
イヤなところは沢山挙げられる。
では逆に、いいところは何なのだろう……考えてみて、米国でもロンドンでもなかったなあと思うのが、マルシェの楽しみかもしれないな、と。
食いしん坊の楽しみはマルシェ
もちろん他にも理由は色々あるのだけれど、自他共に認める食いしん坊の私にとって、この楽しさはかなりの重要ポイント。
パリにはとにかく、そこら中マルシェがあります。
アリーグルの市場のように、ほとんど毎日開いているところもあれば、週末の日曜日だけのところも。
パリ生活を始めた当初は勝手がわからなくて、近所のお店やスーパーで買い物を済ませていたけれど、恐る恐るマルシェに行き始めてみたところ、やはりここでの暮らしに欠かせないものなのだなあと気づきました。
まず、季節の変化を間近に感じられる。
各店舗の小さなブースに置ける野菜やフルーツは限られているから、まさにオン・シーズンなものがメインとなり、それを逃さず食べておかないと、あっという間に消えて行ってしまう。
例えば、「ミラベルの果実酒っていうのを作ってみよう」と思いつつ何度かマルシェに行き損ねていたら、全く見かけなくなってしまい。おかげでミラベル果実酒にトライするのは、来年までお預けとなりました。
マルシェはコミュニケーションの場
そしてマルシェは、人とのコミュニケーションの場でもあると思うのです。
何度か同じ市場に通っていると、この八百屋さんがいいなとか、魚屋さんはここが一番のクオリティとかが判ってくるので、そこに毎週並んでいるうちに、お店の人もこちらを覚えてくれる。
そんなお店は常連さんが沢山居るので、そういう人たちは挨拶から始まって、元気?どうよ?なんて会話が始まったり(その後に並んでいると当然待たさせるので、面倒ではある)。
私がイチゴのパックを裏側まで見てしつこく選んでいた時は「クスリでも探してるの?」と笑われたこともあったっけ……。
お店の人でなくても、列の前のおばさまから「今はカリフラワーのシーズンじゃないから、買っちゃだめよ」なんて指導を受けることもある。
パリは都会のはずなのに、そうしていそいそとマルシェ用のカゴバッグやカートを持って出かける人々の様子を見ると、まるで自然に囲まれた小さな村で生活しているようだなと感じる。
そのギャップ感が、パリの魅力のひとつだなと最近つくづく思うのです。