川崎貴子さん×勝部元気さん――ダメ男対談・後編「お局さま化する女性がダメ男を作り出している」

川崎貴子さん×勝部元気さん――ダメ男対談・後編「お局さま化する女性がダメ男を作り出している」

向き合っていると「この人ってダメよねぇ〜」と、こっそり溜め息を吐きたくなる男性。それがダメ男です。ダメ男ループにハマる女性もいれば、イイ男とばかり付き合ってステップアップしていく女性もいます。一方で、ダメ男をイイ男にアップデートする女性がいるのも事実。彼女たちのダメ男改善スキルを学びたい!


ダメ男の定義やダメ男が生み出される社会的背景についてお届けした前編に続き、後編では著書に『愛は技術』などがあるジョヤンテ代表取締役の川崎貴子さんと、著書に『恋愛氷河期』があるコラムニスト・社会起業家で、リプロエージェント代表取締役の勝部元気さんに、ダメ男をさらに深掘りしていただきました。

「私がやる方が早い」は言ってはいけない

勝部さん(以下、勝):私個人としては、教育課程に問題があると考えています。たとえば、男性は幼い頃から「大きな夢を持ちなさい」と言われて育ってきました。それゆえ夢見がちで現実思考に欠ける男性は多いですし、その夢って、なんというか他人から刷り込まれたものだな、と感じてならないんですよね。

川崎さん(以下、川):食べるために働くのではなく、自己実現のために働いてほしい、というのは、私たちの親世代がかつて見た夢ですから、仕方がないなと感じるところもあります。その結果、好きな仕事しかしたくない人がたくさん生まれてしまった、とは思いますが。

勝:拙書『恋愛氷河期』にも書きましたが、ダメ男の母は毒親傾向があり、真の意味で子どもを自立させずに大人にしてしまった。核家族化が進む中で「孤育て」をするうちに、息子と向き合うことにコミットしてしまったわけです。社会の構造的な問題なので、その母親たちを責めるつもりは全くありませんが。

川:幼稚園コンサルをしている、私の友人の造語「カーリングママ」に近いかも。カーリングママは、子どもがつまづかないように、常に先回りして子どもが進む道を掃きまくるんです。でも、それを続けると、子ども自身は面倒くさいことや嫌なことを、率先してやろうとはしなくなります。それって不幸なことですよね。ダメ男を育ててしまう女性も、カーリングママに似ていると思うんです。相手のことを考えて、良い方向に育てるのが本当の愛情なのに。

勝:同じように面倒を見るにしても、自分の足で立って歩けるように育てるか否か――その違いはとても大きいですよね。単純に男女関係においてだけではなく、そういうことを考えられる人材は社会においても希少。会社でも学校でも、人を育てない人、育て方を間違っている人は多いです。

川:お局さまが典型例なのかと。仕事をたくさん抱え込んで「私がやる方が早いから」と指導せず、新たな挑戦もしないから、次のステージへ進めない。結果的に後輩も育たない。

勝:仕事でも共同生活でも「私がやる方が早い」はNGワードですよね。家事がわかりやすい例ですが、自分がする方が早いからとすべて巻き取ると、男性がその大変さを知る日は一生こないでしょう。家事をしようとしない男性の非は大きいですが、女性がその仕事を渡すのを早々に諦めてしまうのもどうかと思います。

川:女性が自分の負荷を増やしているだけですよね。幼い子どもを2〜3人抱えていると、気軽に外食もできません。そんなときに夫がパパッと数人分の食事を作れたら、どれくらいラクでしょうか。もし、家事をゼロサムでしていたら、子どもにコンビニ弁当を食べさせるか、仕事で疲れて帰宅した奥さんががんばるしかないわけで。

男性はがんばった結果得られるリターンを知りたい

勝:家のことも仕事も、いろいろな人に上手く頼りながら、やりくりできる人が真に自立している人だし、人を育てられる人でもあると思います。職場で見たことがある人も多いかと思いますが、できない人はひとりで仕事を抱え込んで、勝手に怒って人のせいにばかりしている(笑)。

川:本当に、勝手に怒ってますよね(笑)。家庭内でもお局さまになっちゃダメです。とはいえ、お局さま化しかけていても、改善する方法はあります。一番簡単なのはメンズライクな新品の家電や道具を買い揃えること。新しいもの好き、マシン好きな男性は多いですから。それを使いたくて上手く誘導すれば家事をし始めますよ。それともうひとつ、洗い物は洗えていれば良いし、洗濯物は乾いていればOK、と認識を改めてください(笑)。自分のやり方に固執して、脇からお局さまみたいに口うるさくダメ出しするのは最悪。男性のやる気をそいでしまうだけです。お局さまにいびられた新入社員が退職しちゃうのと同じですよ。

勝:確かに家事に関して「ガラパゴスルールに囚われているなぁ」と思える人はいます。自分のルールを客観視できるのが望ましいですよね。それに自分のやり方を相手に押し付けて、選択肢をひとつしか与えないと、たとえそれが良いやり方であっても、自発的にやろうとする気持ちは芽生えないと思います。教育と同じですね。

川:自分のやり方が最適な方法かどうかなんてわかりません。だから、プロセスはどうでも良くて、結果が良ければ問題ないんです。キッチンがぐちゃぐちゃになっても、料理ができていれば「助かったよ〜!」「美味しいね〜!」と褒めてあげること。業務効率を図るのはずっと後でOK。それくらい大雑把に育てないと男性はやめていっちゃう。

勝:「私はきちんとできるのに、どうしてあなたはできないの?」と責めるのは間違っています。できる人や教える立場にいる人は言いがちですが……。私たちが上司・先輩・先生にそう言われたら嫌な気分になるように、経験の少ない男性に頭ごなしに言うと、やる気を失ってしまうでしょうね。

川:男性はがんばった結果、何が得られるのかを知りたい生き物なんです。たとえば子育てだと「今子どもは1歳だから〜」「1年後には〜な状態になっている」など、現在の立ち位置や責任の所在を明らかにして、コントロールしてあげる必要があります。会社でもそうですよね? 「●歳くらいで課長に昇進すると、年収は●●●万円くらいになっている」とわからないと男性は不安になります。わかって納得すれば俄然やる気になるんです。家庭も会社も同じようなもので、敏腕マネージャーになれる女性の方が、デキる男性を育てます。とはいえ、女性にその役目を押し付けたいわけではなく、カップルのうち、長期ビジョンの物事を捉えられる方がマネジメント役になれば良いと思うんです。ふたりともしっかりしているカップルなんていません。補い合う関係性がカップルの意義ですから。

自己評価の低い女性はダメ男と付き合うと危険

勝:ダメ男を作る背景と関係している、日本女性の自己評価の低さについてもふれておきたいです。ジェンダーギャップ指数と同じように、世界の国々に比べて明らかに低く、それを生み出してしまう社会環境が問題視されています。男性にはその点についてもっと配慮をしてほしいものですが、女性自身で何かできることは?

川:「彼がもっとダメ男になれば、私が必要にされて、彼は私のもとから去っていかない」と信じて、ダメ男にしてしまう。自己評価を高くするのは難しいですが、環境は大いに関係しています。自己評価の低い女性ほど、ダメ男と付き合ってはいけません。ダメ男から「君はすごい」と言われたところで、どうしようもないじゃないですか(笑)。尊敬に値する素敵な相手から「君は素晴らしい」と言われて初めて、自己評価は上がるんです。それなのに自己評価の低い女性ほど、ダメ男をそばに置いちゃうんですよね。ダメ男にも良い迷惑ですよ。

勝:ふたりの関係性に社会性を持たせることで、その問題は解決に近づくかなと考えています。日本ではフォーマルな場にカップル単位で参加することは少なく、お互いのことを第三者に褒める機会や、第三者からカップルとして褒められる機会なんてめったにない。だから、自分たちについての客観的な視点が欠けてしまうんです。閉鎖性が強まれば強まるほど、人は社会の目から監視されず、モラルを失い、悪い言葉で言うと堕落します。結果、ダメ男になる。女性側も自分の目線しか入らないから相手の素性があまり見えず不安になる。そうならないためにも、カップルというふたり一組の単位で社会と関わることで、いろいろな人の目線を入り込ませ、ダメ男を生み出す悪のスパイラルを予防すると良いでしょう。

川:ダメ男は会社関係者との付き合いくらいしかせず、友達もいませんから、女性側が積極的に手を取って、皆が集まる場に連れ出す必要がありますね。

勝:それを嫌がるなら手を切るしかない。私は女友達に対し「彼を連れてきたら?」とよく誘うんですよ。彼女についてくる男性とついてこない男性の差は相当大きいと思います。なんだかんだやってくる男性は改善の余地がありますが、そうではない男性は正直どうしようもない(笑)。

川:確かに(笑)。そろそろまとめに入りましょうか。ダメ男にもタイプがあります。伸びる余地のあるかわいいダメ男と、箸にも棒にもかからない真のダメ男です。女性に言いたいのは前者のダメ男を毛嫌いしないで、ということ。仕事をがんばっていて、かつ自分磨きも完璧なデキるキャリア女性が、「ダメ男なんて論外。自分よりデキる人で、年収も高い人!」なんて言っていても、ご自身よりハイレベルな独身男性と出会うのは至難の業ですよ。極端な話、だから不倫に走ってしまうんです。それなら「かわいいダメ男を育ててみよう」という気概を持ってほしい。「まだまだね」と思える相手の方が伸びしろがありますからね。

勝:ダメ男から脱却できる男性の共通点は、悪いところは直して成長して行こうという向上心と話を聞く姿勢があるかどうかに尽きます。女性の皆さんも、相手の男性が同じベクトルで前進できる人かどうか、しっかり見極めていただきたいと思います。

(終)

勝部元気さん

1983年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社「株式会社リプロエージェント」の代表取締役を務めるなど、各種ソーシャルビジネスに携わっている。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも幅広い知識習得に努めており、所持資格数は66個にのぼる(2015年8月現在)。ブログ『勝部元気のラブフェミ論』は、男性なのに子宮頸がん予防ワクチンを打ったレポートで話題となり、一躍日本における男性フェミニストの代名詞的存在に。現在、雑誌・TV等でコメンテーター活動をしている他、Webでは女子SPA!と朝日新聞社WEBRONZAにて連載中。Facebookは「genki.katsube」、twitterは「@KTB_genki」。著書『恋愛氷河期』(扶桑社)が発売中。

Text=Sonoko Ikeda Photo=Shinsuke Yasui 撮影協力/ Seven 東京都港区六本木4-12-7 RBビル7階 03-6434-5300

この記事のライター

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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