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8000円の服に2000円のブラをつけるより、 8000円のブラに2000円の服を着たほうがおしゃれに見えた話

人に見せない上に自分の視界に入ることも少ないランジェリー。窮屈に感じることもあるし、できれば着たくない。けれど「下着はいいもの身につけましょう」なんてことがいろんな場所でいろんな人によって言われている。“いい下着”っていったいどんなもの? 高価なもの? 自分の身体にフィットするもの? デザインが優れているもの?

8000円の服に2000円のブラをつけるより、 8000円のブラに2000円の服を着たほうがおしゃれに見えた話

■聞き飽きた「いい下着をつけましょう」論じゃないから話を聞いて

突然ですが、これを読んでいるあなたにふたつ聞きたいことがあります。

1.何のためにブラジャーをつけるか考えたことはありますか? 

2.雑誌のモデルが着てるトップスを「これ欲しい」と思って買ったことはありますか? いざ買って着てみたら「なんだかイメージしてたのと違う」と思ったことはないですか? 


答えを考えながら続きにおつきあいください。
このコラムは「下着は肌に直接ふれるものだからいいものを着たほうがいい」というどこかで聞いたフレーズに斜に構える人にこそ読んでほ欲しい話。「下着もおしゃれのうちだからお金をかけたほうがいい」とか、「フランス人の女性は下着に一番お金をかけてるんですってよ」とか聞き飽きた人もいるでしょう。私もそうでした。どんな価格のものを、どういう理由で身につけるかなんて、好きにさせてほしい。

それと、これもあらかじめ伝えておきたいのだけど、「ファッションライターなら下着もこだわるでしょうね」という先入観は捨ててくださるとありがたいです。私も正直、人に見せない挙句、自分の視界に入る時間も少ない物にお金をかけたくない。布の面積が小さいのに高いし。しかもランジェリーって窮屈だからできれば着たくない。

それでも私がなぜ年間100,000円近くブラジャーに投資するようになったのか、という話をします。ファッションライターの野田春香です。はじめまして。

■雑誌でモデルが着てる服を買ってみたら「イメージしてたのと違う」

冒頭の質問への答えは思い浮かびましたか。

私の場合、

1.ブラジャーを何のためにつけるのか、考えたことはなかった。せいぜい、歩いたり走ったりしたときに胸の揺れが不快だからそれを落ち着かせるためとか、バストの凹凸が服に響かないようにとか思っていました。

2.何度もあります。「イメージしてたのと違う。私が着ると素敵じゃない」。この現象に何度も遭遇してようやく、モデルと自分で体型が違うからだと気づいたのでした。体型が違うといい服がいい服に見えない。諦めるしかないのか。辛い。


こんなふうに思いながらおしゃれをする毎日でした。

そんなあるとき、「体型のコンプレックスはランジェリーでもカバーできる」と教えてくれる救世主が現れたのです。補正下着ブランドの「ブラデリス ニューヨーク」(以下ブラデリス)のスタッフさんでした。

私はDRESS読者のみなさんと同世代の30代。周りの友達も「胸もお尻もこれ以上重力に負けないように」と、続々と補正下着に手をつけはじめている年ごろです。「ランジェリーはデザイン重視」「とにかく気分の上がるものを」としか考えていなかった私も、20代から愛用していたランジェリーブランドに顔と体がフィットしなくなってきたことに悩みはじめ、それなら私もと、ブラデリスにフィッティング予約を入れてみたのは2年前のことでした。

お店に足を運び、スタッフの方と話したとき、唐突に「ブラジャー、何のために着ていますか?」と質問を投げかけられたのです(私が記事の冒頭でみなさんにも聞いた1の内容です)。
私が上記の答えを自信なさげに伝えてみると「きちんとしたブラジャーは、体型を美しく見せてくれるものなんですよ」と教えてくれました。耳にタコくらい聞いたことのある話だし、私だってきちんとしたブラ――安すぎず、着倒したヨレヨレのものでもなく、サイズ測定をしてもらって選んだ、ランジェリー専門ブランドのものーをつけてる、つもりなんだけど……。

■セミオーダーの下着を着た私、Tシャツ1枚でもおしゃれっぽい!

下着にお金をかける

ところが、いざ試着してみたら私のつもりは“つもり”でしかなかったと思い知らされたのです。ブラデリスのブラは、バスト〜デコルテを美しく“デザイン”してくれる。自分に合うサイズを選んでくれた後、さらにその人の体型にぴったりフィットするよう手縫いで直してくれるセミオーダー。

脇や背中や胸下の肉をしっかり胸元に集め、バストが綺麗な曲線を描くようにしてくれる。一般的なブラにありがちな“集合してもすぐ解散”が起きない。姿勢はシャンとするし、上半身はスラリと見えて、さっきまで鏡の前にいた自分とは見た目が雲泥の差。

さらに、着て来たTシャツを上から着てみたら、あれ、別物? なんだかピシッとして見えるし、高そう(このTシャツ2000円だったな、と心でつぶやきながら)。そうか、ブラが体型を変えてくれたから……。

今まで私が身につけていたブラは、ただバストの上で添い寝していただけ。なんなら、素敵な服の魅力を半減させる存在だったと思い知ったのです。下着はおしゃれを良くもするし、悪くもする。「いい下着をつけましょう」論の真意は、こういうことだったのか。

以来、街ゆく女性が、自分に合った下着をつけているかどうかわかるようになりました。自分にピッタリ合ったものを身につけている人は、白のTシャツ1枚でだって素敵に見えると気づいたのです。逆を言えば、素敵だなと思う人って、自分に合った下着をつけているということ。

ところで、もともとはデザイン重視で、気分の上がるものを選んでいた私はその選択も捨てることはできない。仮に体型を美しく見せてくれなかったとしても、見た目がかわいくて気分が上がるだけのブラも欲しい。それは諦めるしかないのかといえば、そうではありませんでした。

■ブラも服と同じ。普段着用、お出かけ用、寝るとき用と、着分けて

下着にお金をかけて、着分ける

ブラデリスには補正下着以外にドレスランジェリーの提案もしていて、そこではじめて、「ドレスランジェリー」という概念を知ることに。つまり着飾る専用。出かけるときに服を着替えるんだから下着も着替えなさいよ、という考え方。確かに、服は普段着、お出かけ用、寝るとき用と分けているのに、下着だけは着分けることをしてこなかった。なぜ気づかなかったのだろう。

以来、普段用、お出かけ用、寝るとき用と3種類のランジェリーを持つように。



普段着=シンプルなお仕事服でも素敵に見えるよう補正用。

おしゃれ着=ある程度の補正力は求めつつ、とにかく気分の上がるデザインやブランドのもの。

寝るとき用=しめつけのないコットン素材のものでリラックス感とコスパ重視。

この着分けによって、ランジェリーをより大切にするようになったし、今まで以上にランジェリーが好きになった。それにランジェリーから今日のおしゃれを考える楽しみもできました。
デザイン重視でやみくもに買っていた頃よりも少しお金はかかるけれど、その分シンプルで手ごろなファッションアイテムがサマになると思えば、DRESS世代の私としては、そのほうが大人になれた気がするのです。

ブラジャーをつける意味も、服がサマにならない理由もきちんと考えられなかった私が、ブラジャーひとつからおしゃれを見直せた。

最初に“聞き飽きた「いい下着をつけましょう」論ではない”と伝えたのは、ただ高価なものや上質なものを身につけても、それを選んだ理由がなければきっと自分にとっていい下着にはならないから。「いい下着」と一言でまとめても定義は人それぞれ。私のように体型をカバーして服がおしゃれに見えることが一番いいとする人もいれば、肌触りのやさしいものが一番いいとする人もいるでしょう。自分にとってブラを身につける理由を改めて見出して、自分にとっての「いい下着」とは何なのか考え、そして出会ってみてください。前より少しだけ、おしゃれにも体型にも、そして身の回りのあらゆることに、自信が持てるはずだから。

Photo/野田春香

※この記事は2020年7月25日に公開されたものです

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野田春香

大学時代からフリーでビジネスムック等のライター経験を積み出版社へ就職。女性ファッション誌の編集を経て現在はフリーランスの編集・ライターとして活動中。CLASSY.(光文社)、MORE(集英社)、姉ageha(主婦の友社)のフ...

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