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捏造される「ワーママ像」

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捏造される「ワーママ像」

先日、あるワーキングマザーのパネルディスカッションに登壇した時のこと。仕事はそこそこにしながら「やりがい」も得ていて、子供との時間もとても大事にしていて、伸び伸びと人生を楽しんでいるようなお話をされる方がいらっしゃいました。私は結構無理をして悩みながら走り続けているタイプなので、「こんな生き方もあるのか」と羨ましく思うと同時に、ちょっと自分の家族に対する罪悪感を覚えてしまいました。

でも、実はそのパネラー同士の打ち合わせの席で、彼女は「実はこういう悩みがあるが、それをパネルディスカッションで言うと聞いた人が後ろ向きになりそうなので、乗り越えたことを中心に話をしたい」と言っていました。とてもキラキラした彼女のストーリーの裏には様々な苦悩もあっただろうし、今ももがいているのかもしれません。

多くのワーキングマザーとお話する中で、会社でロールモデル的にみられるために「本当は持ち帰って仕事をしているが、それだと『ああはなりたくない』と言われるから後輩には見せないようにして平気な顔をしている」という話も聞いたことがあります。「ママになってもオシャレで育児にも手を抜かず、仕事も効率的に済ませる」、そんなハードルの高いワーママプレッシャーが世の中にあふれてきている気がします。

一方で、以前小室淑恵さんがご講演でお話されていた内容に、「会社でものすごく大変そうにしているワーキングマザーに休日話を聞きに行ったら、本当はすごく育児をしながら幸せを感じているけど、会社では大変そうなフリをしているという話をされた」というエピソードがあったように記憶しています。こういう「ワーママ像」を作っておかないといけない現実も未だにあるのではないかと思います。

どうして、ワーキングマザーたちは とてもキラキラしているように見せるか、とても大変そうに見せるかの両極端になってしまうのでしょうか。多くの「女性活躍」系のインタビュー記事も、苦労自慢風になってしまうか、輝きすぎてとても真似できないかのどちらかになりがちな気がします。

多くのワーママが自分の行動が「ワーママ」のイメージを作ってしまうという感覚をもっているのではないでしょうか。それはワーママがまだ少数で、多様性が少ない場面に置かれているためではないかと思います。

でも、仕事と育児の両立をしていれば、とても幸せなこともあるし、とてもツライこともある。その両方をそのまま見せたらいいじゃないか、と思います。そこから出てくるアイデアや仕事の効率向上などは職場でアピールしてもいいでしょうし、そのリアリティは後輩女性にとっても人生の選択についての一番の情報提供になるのではないでしょうか。

より多様な女性が多様な発信をしはじめることで、会社や社会においてカテゴリー内外の多様性が認識され、また断片的に「ここは真似できそう」「こういうところはこの人に倣いたい」という材料の1つ1つになっていくことが次世代を作っていくのかなと思います。

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中野 円佳

女性活用ジャーナリスト/研究者。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。14年、育休中に立命館大学大学院先端総...

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